教育業界は努力の末に結果が出ることを美化しすぎています。
ウサギと亀の童話は亀の努力の素晴らしさを伝える話ですが、この世界は、どこなら自分がウサギとして輝けるかを探すことが大事です。それが現実です。
僕はここ10年以上医学部系予備校に身をおいてきましたが、「現役時点でこのクラスに入れていない生徒が多浪の末、どこかの医学部に入れたのを一度も見たことがないから、クラス分けテストでそこに入れないなら医学部を目指すのはやめた方がいい」と高2の段階では生徒たちに伝えています。そのクラスのレベルはかなり高く、誰もが努力でどうこうできるレベルではありません。この動画を見ている人たちがわかる指標を示すなら「空間の回転体」の僕の授業を理解してすぐにアウトプットできるようなレベルの生徒でなければ、何年浪人しても医学部は厳しいです。あくまで1例ですので空間の回転体が解けなければ絶対無理という訳ではないです(むしろ私立医学部の中堅以下では滅多に空間の回転体は出題されません)。
ある一定レベルの生まれつきの数学の才能がなければ医学部には受験で合格できない、と言っています。
指定校推薦で行けるなら絶対それで行くべきです。実際にはとても医学部に合格するのは厳しいなと思う生徒でも指定校で医学部に進学する例は多々見てきました。
なぜこんな話をするかというと、ほとんどの医学部志望の浪人生は、少なくとも僕から見て10年浪人してもまず受からないと感じています。実際に医学部予備校で働いてきて、現役時点で僕の言うクラスに入れていなかった多くの生徒が浪人、時には3浪4浪5浪6浪としていくのを横で見ていますが過去に一人たりとも受かったのを見たことがないです。医学部予備校では30歳を越える多浪生も何人も見てきました。
もう少し客観的にわかりやすい伝え方をすると医学部に合格しうる数学の才能(才能という表現を使いましたが向き不向きの話で偉い偉くないとは全く関係ありません)を持っている生徒は1浪でどこかには引っかかります。
それも大抵、現役時点でどこも引っかからなかったのが不思議という学力の高い生徒です。
逆に社会人から医学部志望などの特殊な例を除くと、1浪でどこも引っかからなかった生徒たちは何浪してもその先合格したのを一度も見たことがありません。正直、3年4年と勉強をして行方知れずになっています。しかもそれは医学部志望の受験生のかなり多くがそういう道をたどります。
僕が生徒たちへ向けて、現役時にこのクラスから現役どころか多浪の末、どこかの医学部に引っかかった例を一度も見たことがないと、どれだけ伝えても、ほとんどの生徒が多浪の末、行方知れずになります。行方知れずの例としては歯学部や薬学部に切り替えるか、引きこもりになってしまうか。何年も世間一般から離れている以上、かなりの割合で引きこもりになっていると想像しています。
それが現実です。ここの動画を見ている医学部志望の人、僕は基本的に2浪目以降は絶対に反対です。
医学部予備校にいると、勉強は向き不向きの問題で努力量の問題ではないことを痛いほど思い知らされます。おそらく多くの人が、3〜4年一生懸命努力すれば誰だって数学の能力が医学部合格のレベルまで伸びると信じているかと思いますが、現実は違います。この現実をできるだけ早い段階で伝えて、目の前の生徒たちが人生を無駄にしないようにと僕は普段向き合っています。
それをすんなり理解できる生徒と理解できない生徒がいるわけですが、その違いは何かというとスポーツ系の部活をやっているかどうかです。
体育会系の部活をやっている生徒は、他の生徒と嫌でも生まれつきの体格差や才能を目の当たりにして、努力ではひっくり返せない現実・理不尽を普段から目の当たりにしています。努力量で判断されるのではなく、上手い人間がレギュラーメンバーに選ばれる現実を知っています。仮に何年もその部活に所属したとしても、次から次へと下の学年の優秀な後輩がレギュラー枠を奪っていくだけで、何年も練習を続けているからレギュラーになれるわけではないことを知っています。
勉強もそれと全く同じです。スポーツのように他者のずば抜けた能力を目のあたりにする機会がないので簡単にはその現実が受け入れられないかも知れませんが。
社会もそうです。
この文章を読んでいる人だけでも、向き不向きで自分の人生の時間の使い方を考えてください。向き不向きがわからない人は急いで探すべきです。
どこなら自分がウサギになれるかを探してください。努力も大事ですが、ウサギになれる場所を見つけて油断しない(昼寝しない)ことの方が重要です。