ホームページ:http://mathematics-monster.jp/
全講座の問題はホームページから閲覧・印刷可能です。
2025年5月13日に「世界一貧しい大統領」で知られるウルグアイの元大統領のホセ・ムヒカさんが亡くなったそうです。もし知らない人がいましたら、2012年ごろの環境問題と持続可能な発展に関するスピーチをYoutubeか何かで検索して是非見てほしいです。僕の考え方の根本はこの人の発言の多くから影響を受けています。僕自身、約11年前に仕事のしすぎで倒れ、2015年に授業動画を撮影することを始めた頃に、この人のスピーチを絵本にしたものを本屋で見つけ、幸せの本質にようやく気付けました。それまで誰もが追い求める幸せに対する違和感がようやくわかったのをはっきりと覚えています。
ムヒカさんの言葉を簡単にまとめると、今の人間たちは豊かさを勘違いしている、何か物を買うときにあなたが払っているものはお金ではなく、そのお金を得るためにあなたの人生という時間を払って買っているんだよ。物がたくさんあることが豊かなのではない、多くの選択肢があることが幸せなのではなく、今ある選択肢だけで十分満足できることが幸せなんだ。
貧しい人というのは物を持っていない人のことではなく、際限なく物を欲しがる人のことなんだ。10万時間使える電球を作れるのに、消費主義を維持するために1000時間しか使えない電球しか作ってはいけないのが今の社会で、そのために働きすぎていつの間にか私のような老人になって人生を終える。というようなことを強調していたかと記憶しています。物事の本質を見抜くことができ、それを世界中に広めてくれた人でした。
これらは教育にも当てはまると僕は思います。今の日本ではより良い教育、より良い経験、より良い環境、より良い成績をお金で解決しようとし、幼少期から色々な習い事をし(習い事をさせて)、塾に通い(通わせ)、少しでも良い成績を取ること、少しでも良い学校に入り、少しでも良い環境にいること、選択肢が多いことが幸せだと考えている人があまりにも多いと感じます。でも真に身につけなくてはいけない能力・価値観は、自分にある限られた選択肢に満足すること、たとえ選択肢がなくても満足できること、配られたカードに満足し、それで戦うことです。戦うと言っても、僕が近年思うに人は競争では幸せになれないように感じます。自分は自分の時間の使い方をどうしたいのか、自分の手札と相談しながらひたすら自分に問いかけ、周りに流されずに行動を積み重ねることだと感じます。
僕は高校時代に学校でほとんど授業を受けた記憶がありません。実は化学を一切勉強していません。センター試験は生物を独学で勉強し、生物物理で受験しました。なので化学という科目がどういう科目なのか、自分に向いているのかどうかすら実はわかりません。それ以前に、学校教育が僕には全く向いていませんでした。集団生活が全く向いていない、いわゆる社会不適合者だと近年ようやく自分自身自覚しました。中学生までは本当にギリギリ誤魔化していましたが、高校時に学校に通うのがしんどくなり、大学も一度は中退し、二度目に入った大学も自分が興味のない授業の単位を取るのが本当に本当にキツかったです。いまだに、卒業できないとか、今度こそ卒業するために三度目の大学受験に向けて勉強している悪夢を見ます。
もちろん会社員などできるはずもなく、今では予備校の決まった時間に出向いて授業することもしんどくなり今年は集団授業を引き受けていません。また、いつも言っている通り体力もありません。
自分の手札がそのようなものであることを自覚した上で、自分の時間をどう使うのかを考えることが大事なんだと思います。人は人、自分は自分であって、他人と同じ土俵に立ってはいけないです。幼少期からずっと競争に明け暮れている日本人の多くは、周りの価値観に振り回されてみんな不幸を感じている気がします。だから日本人の幸福度は低く、自殺者がとても多いのだと思います。
ムヒカさんは働きすぎな日本人が本当に幸せなのかとインタビューのたびに疑問に思っていました。日本の子供達に向けてこう言っていました。
日本にいる子供達よ。君たちは今人生で最も幸せな時間にいる。
経済的な価値のある人材となるための勉強ばかりして早く大人になろうと急がないで。
遊んで遊んで、子供でいる幸せを味わっておくれ。
ムヒカさんの考え方・価値観が日本の当たり前になる日が来ることを僕は望みます。