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惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

火星の地震活動検出はなぜ意義があるのか?【NASA InSight探査】

概要

動画投稿日|2020年3月27日

動画の長さ|4:28

NASAの探査機InSightが火星で地震を検出したことが大きなニュースとなりました。しかしなぜそもそも地震が観測されただけでニュースとなったのでしょうか?実は、火星で生命が生存できるかという議論に深くかかわるのです。専門家の視点でニュースの裏側を解説します。 (目次) 0:00 火星の地震 0:39 内部探査とハビタビリティ 0:48 気候を安定化させる炭素循環 1:30 地震は惑星が生きている証拠 1:48 火星は現在も「生きているのか」? 2:13 初めての本格的な火星内部探査 2:50 苦難続きの火震観測 3:37 残る謎 4:10 あとがき (参考論文) 1. Hauber, E.,P. Brož, F. Jagert, P. Jodłowski, and T. Platz (2011), Very recent and wide‐spread basaltic volcanism on Mars, Geophys. Res. Lett., 38, L10201. https://doi.org/10.1029/2011GL047310 2. Banerdt, W.B., Smrekar, S.E., Banfield, D. et al. Initial results from the InSight mission on Mars. Nat. Geosci. 13, 183–189 (2020). https://doi.org/10.1038/s41561-020-0544-y 3. Giardini, D., Lognonné, P., Banerdt, W.B. et al. The seismicity of Mars. Nat. Geosci. 13, 205–212 (2020). https://doi.org/10.1038/s41561-020-0539-8 【画像素材】 NASA, JPL, CNES, Pixabay, Space Engine 【字幕説明】 「NASAの探査機 InSightが火星で 地震を観測!」 2月24日に発表された論文を、各種メディアがこぞって報道しました。 しかしなぜ火星で、地震が観測されたことが、科学的にそんな重要なのか、 どのメディアでもきちんと解説されていなかったので、 専門家の視点で、このニュースの裏側を解説したいと思います。 そもそもInSightの総経費は約800万ドル、日本円でおよそ 900億円もかかっています。 そこまで巨額のお金をかける価値のあるミッションだったのでしょうか。 実は、InSightの目的は、 火星に生命が居住できるか、という議論に密接に関わるのです。 生命が生きるためには、適切な温度が必要です。 地球の場合は、様々な温室効果ガスのおかげで、 地表面が最適な温度に保たれています。 その中で最も重要な役割を担っているのが二酸化炭素です。 近年の地球温暖化問題によって、みなさんなにかと 二酸化炭素には悪いイメージがあるかもしれませんが、 二酸化炭素が全くないと、地球全体が凍結してしまい、 生命が存在することはできません。 大気中の二酸化炭素は岩石との反応によって、 惑星内部に継続的に吸収されていきますので、 どこからか二酸化炭素を大気に供給しないといけません。 その役割を担っているのが、火山です。 生命が惑星上で生存するためには、火山から安定的に 二酸化炭素が放出されることが、一つの重要な条件なのです。 火山が存在するということは、惑星内部がまだ熱く、 マグマも流動していて、地震も起きることを意味しています。 このことはまさに、惑星が「生きている」ことを示しているのです。 一般的に、惑星は形成した当初は熱い状態で、徐々に冷えていきます。 地球のような大きい惑星ほど冷えるのは遅く、 一方、火星のような小さい惑星ほど冷えるのが速くなります。 火星に生命が住めるのか、あるいは過去に住んでいたのかを考える上で、 問題となるのが、現在の火星は地質学的に 「生きているのか」、「死んでいるのか」という疑問です。 これまでの探査からは、火星で活火山は見つかっていません。 しかし今までの探査機は全て、火星の表面しか観測していませんでした。 そのため、火星の内部はまだ温かく、 地下では地質的な活動が続いているという可能性が残されていたのです。 InSightの目的は、地震計と熱流量計によって火星内部の 活動を捉えることで、「火星がまだ生きているのか、死んでいるのか」 という疑問に答えを出すことにあったのです。 実は火星での地震観測の試みは今回が初めてではありません。 今からおよそ40年以上前の1975年に、NASAの探査機 ヴァイキングに 地震計が搭載され、地震波の検出が試みられました。 この時は、地震計が探査機本体に搭載されていました。 しかし火星では強い風が吹いているため、 風によって探査機が揺れてしまい、確実に地震だと断定できる シグナルを検出することができませんでした。 その教訓を踏まえ、InSightでは風による振動対策を施した 高感度の地震計を直接地面に設置する方法にしました。 ただ地震計の開発は難航し、当初の予定よりも打ち上げが2年 延期されるという事態も起きました。 火星に着いてからも観測は困難を極めました。 振動対策を施したとはいえ、風の影響を厳密に取り除くのは難しく、 火星で強風が吹く、昼と夜の時間帯は観測が難しかったようです。 しかし夕方ごろになると、風がちょうど吹き止む時間帯があり、 その時に確実に地震だと考えられる振動を検出できたとのことです。 それでも観測データを査読者に納得させるのはなかなか大変だったようで、 初めて地震を検出したことを公式にプレスリリースしてから、 およそ1年近くかかって、ようやく論文が出版されました。 この論文で報告された地震は174回で、そのほとんどは小さい地震ですが、 マグニチュード4に達するものもあったということです。 ただいくつかのイベントについては、隕石の衝突や、他の原因不明の 振動も含まれているとのことで、今後さらに解析が行われるでしょう。 現在も火星で地震が起こるということは、 火星内部は地質学的にまだ生きていることが示されました。 これこそが、InSightが解決しようとした疑問への答えであり、 900億円費やした価値が十分にあったと言えるのではないでしょうか。 それでは今回もご視聴ありがとうございました。 面白かったという方は、ぜひチャンネル登録をお願いします。 皆さんのご支援が、次回の動画を作成する時の、 大きな励みとなります。また、内容について、ご意見がある方は、 コメントでご指摘頂けると幸いです。よろしくお願いします。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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