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惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

JAXA火星衛星探査計画MMXは巨人NASAを出し抜くか?~文科省資料に秘められた野望

次の動画:史上初の火星ヘリコプターが惑星探査に革命をもたらす【NASAインジェニュイティを解説】

概要

動画投稿日|2020年8月1日

動画の長さ|4:30

火星の衛星フォボスからのサンプルリターンを狙って、開発が進められているJAXAの火星衛星探査計画「MMX」。この動画では一惑星科学者の視点で、NASAをも出し抜くJAXAの遠大な野望を、文科省発表資料から読み解きます。 (目次) 0:00 動き出した開発計画 0:27 サクセス・クライテリア 0:58 「火星飛来物質」 1:36 火星からの間接的サンプルリターン 2:12 他国との競争 3:06 間接的か直接的か 3:45 既に競争は始まっている (参考文献) 文部科学省 宇宙開発利用部会(第53回)会議資料 https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/mext_00057.html 資料53-4 火星衛星探査計画(MMX)プロジェクト移行審査の結果について https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000034537.pdf Hyodo, R., Kurosawa, K., Genda, H. et al. Transport of impact ejecta from Mars to its moons as a means to reveal Martian history. Sci Rep 9, 19833 (2019). https://doi.org/10.1038/s41598-019-56139-x 【映像素材】 JAXA、文部科学省、いらすとや 【字幕全文】 2020年2月19日、文部科学省宇宙開発利用部会で、 正式に国のプロジェクトとして認可されたJAXAの火星衛星探査計画MMX。 既にミッションの概要はJAXAの公式チャンネルでも紹介されていますので、 この動画では、日本惑星科学会に所属する一研究者の視点で、 一般には報道されない、文科省発表資料に隠された野望を紹介します。 ここで注目するのは、19ページに載っている成功基準の表です。 成功基準とは、企業で言う売上目標に相当するもので、 業界的には「サクセス・クライテリア」とも呼ばれています。 資料の41ページに成功基準のさらなる詳細が書かれています。 基準は3段階に分かれており、「ミニマム・サクセス」、 「フル・サクセス」、「エクストラ・サクセス」が定義されています。 企業に例えるとそれぞれ、「採算ぎりぎりの最低限の売上」、 「予想通りのまずまずの売上」、「想定以上の売上」、に該当します。 この中に「火星飛来物質を探す」という表現が出てきます。 火星飛来物質とは何でしょうか。 MMXは火星の衛星フォボスからのサンプルリターンを狙うミッションです。 そのため基本的には火星ではなくフォボスの物質を取ってくるのですが、 フォボスの表面には火星本体から供給された物質も、 一定の割合で存在していると 考えられます。 これを「火星飛来物質」と呼んでいます。 こういった物質の存在を仮定することは別におかしいことではありません。 例えば地球にも、月から飛んできた隕石が来たりしていますので、 惑星と衛星の間で、物質のやり取りがあるのはごく普通のことです。 2019年にJAXAや千葉工大、東工大などのグループが、 フォボス表面に存在する火星飛来物質の量を理論的に推定しました。 その結果、MMXで採取する予定の10gのフォボス・サンプルの中に、 火星飛来物質がおよそ34粒程度含まれると見積もられました。 日本は「はやぶさ」が持って帰った、 小惑星の微粒子の分析を行った実績がありますので、 日本の研究者にとっては分析できない量ではありません。 つまりJAXAは、フォボスの表面物質だけでなく、 火星本体からの間接的なサンプルリターンも狙っているのです。 このことは、何を意味するのでしょうか。 火星からのサンプルリターンは、巨人NASAですら成し遂げていない、 人類の夢とも言える偉業で、各国の宇宙機関がしのぎを削る分野です。 日本のMMXは2024年に打ち上げられ、2025年にフォボスに到達し、 地球へのサンプルリターンは2029年に予定されています。 一方、アメリカとヨーロッパの合同ミッションである、 「マーズ・サンプル・リターン・ミッション」は、 2026年に打ち上げられ、火星表面でサンプルを回収し、 2031年に地球に帰還する予定です。 また中国の火星サンプルリターンミッションは2028年に打ち上げられ、 地球帰還は2030年以降になると見られます。 つまりJAXAのMMXミッションは、他国の火星ミッションに先駆けて、 いち早く火星本体からのサンプルを持って帰る可能性があるのです。 もしあなたが、日本の10倍以上の予算を持つ、 他国の宇宙機関の人間だとしたら、 この状況をどう思うでしょうか。 もちろんMMXミッションは、 火星から間接的にしかサンプルを持って帰れないので、 直接火星本体から試料を採取する、 他国の火星探査機の意義が失われるわけではありません。 地質学においては、採取したサンプルそのものだけでなく、 採取した地点周辺の、地質的な状況も非常に重要視されます。 例えば、ある石が落ちていたとしたら、 その石が山の中にあったのか、砂漠にあったのか、 氷河の上に落ちていたのかで、全く意味が変わってくるからです。 MMXで採取される火星飛来物質は、 火星のどこから飛んできたのかわからないと予想されるため、 科学的な価値としては一段階落ちます。 しかしそれでも人類初の火星圏からのサンプルリターンという、 偉業は揺るがないでしょう。 予算や人員に厳しい制限がある日本の惑星探査業界において、 研究者たちが知恵を絞って生み出したアイディアの結晶がMMXです。 人類初の火星サンプルリターンを目指して、 既に競争は始まっているのです。 それでは今回もご視聴頂き、ありがとうございました。 この動画で使った文科省発表資料については、 概要欄にリンクを掲載していますので、興味がある方はご覧ください。 研究者や官僚たちが、どのような戦略で探査計画を立案しているのか、 そのプロセスを垣間見ることができますので、おすすめです。 最後まで見て頂き、ありがとうございました。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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