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神出鬼没な木星の水。25年に及ぶ論争に決着がつく【NASAジュノー探査機の論文紹介】

次の動画:太陽の化学組成に秘められた謎の異常【論文紹介】

概要

動画投稿日|2020年7月10日

動画の長さ|5:27

今年の2月に発表されたジュノー探査機による観測から、木星の赤道域には太陽系の平均組成のおよそ3倍にもなる水が存在することがわかりました。これによって25年間におよぶ論争にひとまずの区切りがついたことになります。さらに今回の観測から、木星形成論や原始太陽系円盤にどのような制約が与えられたのでしょうか? 【目次】 0:00 序論 0:35 木星の大気構造 1:04 これまでの観測 1:43 論争をよんだガリレオ・プローブの観測結果 2:14 説明困難な観測データ 2:53 NASAジュノー探査機によるマイクロ波観測 4:24 木星形成論に対する示唆 4:48 まとめ 【参考文献】 C. Li et al. (2020) The water abundance in Jupiter’s equatorial zone. Nature Astronomy 4, 609-616. https://doi.org/10.1038/s41550-020-1009-3 H.P. Larson et al. (1975) Detection of water vapor on Jupiter. Astrophys. J. 197, L137-L140. http://adsabs.harvard.edu/full/1975ApJ...197L.137L V. Kunde et al. (1982) The tropospheric gas composition of Jupiter's north equatorial belt (NH3, PH3, CH3D, GeH4, H2O) and the Jovian D/H isotopic ratio. Astrophys. J. 263, 443-467. http://adsabs.harvard.edu/full/1982ApJ...263..443K G.S. Orton et al. (1998) Characteristics of the Galileo probe entry site from Earth-based remote sensing observations. J. Geophys. Res. 103, E10, 22791-22814. https://doi.org/10.1029/98JE02380 B. Ragent et al. (1998) The clouds of Jupiter: Results of the Galileo Jupiter Mission Probe Nephelometer Experiment. J. Geophys. Res. 103, E10, 22891-22909. https://doi.org/10.1029/98JE00353 G.L. Bjoraker (2020) Jupiter's elusive water. Nature Astronomy 4, 558-559. https://doi.org/10.1038/s41550-020-1086-3 【映像素材】 NASA-JPL/Caltech, NASA/Ames Research Center, Southwest Reseach Institute, GAPT.iaa.es, American Astronoomical Society, University of Copenhagen/Lars Buchhave 【字幕全文】 太陽系最大の惑星、木星には大量の水が含まれていると考えられています。 しかしこれまでの観測では水の存在量に関して、 説明するのが難しい観測値が報告されており、 長い間論争が続いてきました。 2020年2月10日にNature Astronomyで出版された、 NASAのジュノー探査機の観測によって、 とうとうこの論争に決着がつきました。 さらにこの観測から木星が誕生した頃の、 原始太陽系円盤に関する重要な情報が得られました。 早速詳しく見ていきましょう。 木星の主成分は水素とヘリウムですが、 それらに続いて3番目に多い元素が酸素です。 木星の大気中ではほぼ全ての酸素は水素と結合して、 水の状態で存在しています。 地球と同様に木星でも水は凝縮して雲を作ります。 しかし木星の雲の観測は容易ではありません。 木星大気には水の雲よりも高い高度に、 アンモニアの雲や、硫化水素アンモニウムの雲が存在するため、 水の雲を遮蔽してしまうからです。 初めて木星大気の水蒸気を観測したのは 1975年の カイパー空中天文台でした。 その後82年にボイジャー探査機、 95年にガリレオ探査機と立て続けに観測され、 木星大気には、太陽系の平均組成の1000分の1程度の水しかなく、 非常に乾燥しているという結果が得られました。 しかしこれらの観測は雲に覆われてない領域を主に対象にしており、 そういった領域はそもそも水が少ない場所であるため、 木星の平均的な組成とは異なるとの指摘がありました。 また、大気の上のほうの水蒸気量しか計測できていなかったため、 水が多いと予想される大気の深いところを観測する必要がありました。 95年に木星に到達したガリレオ探査機には、 大気に突入するプローブが搭載されており、 プローブで大気中の水蒸気量を直接計測することで、 論争に決着がつくと期待されました。 しかしガリレオプローブは予想外のデータを出してきました。 これまでの観測よりも深いところにプローブは到達していましたが、 水の存在量は太陽系の平均組成よりも低く、 予想されていた水の雲も検出されなかったのです。 このデータは多くの研究者を悩ませることになりました。 木星の周りには大きな氷衛星がいくつもあり、 木星が形成された当初は、 周辺に水が豊富にあったことを示唆しているからです。 また94年に木星に衝突したシューメーカー・レヴィー第9彗星のように、 外部からも水が継続的に供給されてきたはずです。 それにも関わらず、木星が太陽系の平均組成よりも、 乾燥しているというデータを、どのように説明すべきでしょうか。 様々な議論の末、学会内で主流の意見となったのが、 「ガリレオ・プローブはたまたま木星の乾燥した場所に突入しただけで、 平均的な木星大気には水が豊富に含まれているはずだ」 という解釈でした。 この解釈が果たして正しいのかどうかを確かめるため、 2016年に木星に到着したNASAのジュノー探査機によって、 大気中の水の観測が行われました。 大気の上層にあるアンモニア雲を透過できるように、 ジュノーではマイクロ波放射計による観測が行われました。 マイクロ波放射は身近なところでは、 電子レンジで使われていて、 水を精度良く検出できるのと同時に、 障害物を透過することができます。 ただし、それでも水の観測は容易ではありません。 まず木星自身が強力な電波を発しているため、 木星由来の放射成分を観測データから取り除く必要があります。 さらに、マイクロ波放射に敏感なのは水だけではありません。 木星に大量に存在するアンモニアのほうが吸収が強いため、 その影響をデータから慎重に取り除いていく必要があったのです。 これらの解析の結果、木星の赤道域の平均的な水の存在量は、 太陽系の平均組成の、およそ3倍程度であることがわかりました。 これによって、木星には水が豊富に含まれていることが初めて証明され、 従来の学会の主流派の考え方が正しいことが明らかになったのです。 こうして25年におよぶ論争にひとまずの区切りがつきましたが、 まだ完全に議論が収束したわけではありません。 この論文で報告されたのはあくまでも木星の赤道域のみであり、 他の緯度のデータは今後解析していく必要があります。 木星は緯度によって気象条件が大きく変わる惑星ですので、 赤道域のデータを全球平均と見なせるかどうかはまだわかりません。 もし仮に今回の赤道域の水のデータが、 木星の平均組成を代表しているとしたら、 木星が誕生したころの原始太陽系円盤の環境には、 どのようなことが言えるでしょうか。 これまで提案されてきた木星の形成論には、 水が枯渇した微惑星が集積して木星が形成されたというモデルや、 逆に水が豊富なクラスレートが集積するモデルがありました。 しかし今回の水の観測値を木星の平均値と解釈するなら、 そういった極端な木星形成モデルは、棄却されることになります。 ジュノーの観測データの更なる解析が、木星の起源だけでなく、 45億年前に原始太陽系円盤で起こったことを知る上での、 重要な手がかりを私たちに与えてくれるでしょう。 それでは今回もご視聴ありがとうございました。 面白かったという方は、ぜひチャンネル登録して頂けると嬉しいです。 皆さんのご支援が、次回の動画を作成する時の、大きな励みとなります。 内容についてご意見がある方は、コメント頂けると幸いです。 よろしくお願いします。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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