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惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

天王星の消えた熱源の謎~30年以上未解決の難問

次の動画:神出鬼没な木星の水。25年に及ぶ論争に決着がつく【NASAジュノー探査機の論文紹介】

概要

動画投稿日|2020年7月28日

動画の長さ|4:57

天王星は自転軸が横倒しになっていることが特徴的ですが、惑星から放出される熱エネルギーが、他のガス惑星に比べて異常に低いことが、大きな謎となってきました。この動画では近年提案されてきた、天王星の謎を解決する新しいアイディアを紹介します。 (目次) 0:00 異常に小さい天王星の惑星放射 1:37 二つの仮説 2:19 内部で熱輸送を遮断? 3:01 巨大衝突の影響 4:06 待ち望まれる天王星探査ミッション (参考文献) Helled, R., Nettelmann, N. & Guillot, T. Uranus and Neptune: Origin, Evolution and Internal Structure. Space Sci Rev 216, 38 (2020). https://doi.org/10.1007/s11214-020-00660-3 A. Vazan & R. Helled (2020) Explaining the low luminosity of Uranus: a self-consistent thermal and structural evolution. Astronomy & Astrophysics 633, A50. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201936588 C. Reinhardt et al. (2019) Bifurcation in the history of Uranus and Neptune: the role of giant impacts. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 492, 4, 5336-5353. https://doi.org/10.1093/mnras/stz3271 K. Kurosaki & M. Ikoma (2017) Acceleration of Cooling of Ice Giants by Condensation in Early Atmospheres. The Astronomical Journal 153, 260. https://doi.org/10.3847/1538-3881/aa6faf 【画像素材】 Space Engine, NASA/JPL-Caltech/GSFC, Jacob Kegerreis / Durham University, Calvin J. Hamilton 【字幕全文】 天王星は自転軸が横倒しになっていることが有名ですが、 実はもう一つ未解決の重要問題があります。 天王星から放出される惑星放射は他のガス惑星に比べて異常に低いのです。 惑星放射とは、固体惑星で言う 地熱のようなものに相当します。 惑星は誕生する時に物質を集積しますが、 この時に解放される重力の位置エネルギーと、 岩石に含まれる放射性元素の壊変熱が、惑星放射の源となります。 つまり惑星放射は、天体自身が発熱する温度に対応するのです。 ガス惑星の場合は岩石成分の割合が少ないため、 集積時の重力エネルギーが主要な熱源になります。 惑星放射を調べることで、 惑星が冷却していく過程を明らかにすることができ、 それはすなわち惑星の熱的な進化の歴史を追うことになるのです。 1986年に天王星をフライバイ探査したNASAのボイジャー2号によって、 天王星の惑星放射が計測されました。 その結果、天王星から放出されるエネルギーは、 太陽光の反射成分ばかりであり、 惑星自身が持つ熱源が、ほとんど存在しないことが明らかになりました。 天王星は他のガス惑星や海王星と比べて著しく惑星放射が小さく、 太陽系で最も温度の低い惑星であることが判明したのです。 特に謎とされたのが、天王星とほぼ同じ大きさ・組成を持つ海王星からは、 しっかりと惑星放射が観測されていることです。 そのため、なぜ天王星だけ、惑星放射が小さいのか説明が難しく、 惑星科学における重要な未解決問題となってきました。 このことを説明するために、二つの仮説が提案されてきました。 一つは、天王星は既に内部まで冷えてしまった天体であるという仮説。 もう一つは、天王星の内部はまだ熱い状態だが、 何らかの原因で熱が外に逃げておらず、温度が低いように見えているだけ、 という仮説です。 最初の仮説では、天王星だけ、 他の惑星に比べて冷却速度を速くする必要があります。 2017年に東京大学のグループが、大気中の水やメタン、 アンモニアなどのガスが凝縮して氷になることで、 従来の見積もりよりも速く 天王星を冷却できることを発見しましたが、 その後、冷却量が十分でないという反論があり、 さらなる検討を迫られています。 一方、2番目の仮説については、古くから検討が進んでおり、 比較的有力な説だと見なされてきました。 天王星の内部には熱の輸送を妨げる何らかの構造があり、 それによって天王星の内部は熱く、外側が冷たいという考え方です。 今年の1月に出版されたスイスのグループの論文では、 天王星内部の組成が大きく変わる領域で、熱の輸送が妨げられ、 45億年にわたって熱を外に逃がさず、 内部に熱を保持したままにできることが理論的に示されました。 しかしここで問題となってくるのは、天王星の内部構造が原因だとすると、 なぜ似たような組成を持つ海王星も同じようにならないのか、 という点です。 この疑問に対する一つのアイディアが巨大衝突です。 天王星の軸が横倒しになっていることを説明するために、 原始天王星に地球サイズの原始惑星が衝突したことで、 自転軸が倒れてしまった、というアイディアは古くからありました。 しかし巨大衝突が起こると、内部構造がかき乱されてしまい、 熱を内部に保持する機構が失われてしまいます。 これに対して、2019年のスイスのグループの論文では、 斜めの巨大衝突だった場合は、天王星の内部構造を破壊することなく、 熱を内部に保持する機構を維持できることが理論的に示されました。 また海王星には正面からの巨大衝突が起こったことで、 内部構造がかき乱され、熱を輸送しやすい構造になり、 また衝突による運動エネルギーも埋め込まれることで、 海王星からは現在でも内部からの熱が外に放出されている、 というシナリオが提案されました。 巨大衝突説は他にも、天王星の衛星たちの軌道分布も説明できるため、 天王星と海王星の作り分けも含めて、 様々な観測事実を統一的に説明できる、有力な仮説と見なされています。 ただし天王星については、まだまだ観測データが少ないため、 決定的なことを言えないのも事実です。 探査機による天王星の観測はボイジャー2号による、 1回のフライバイ探査しかなく、 天王星の内部構造や平均組成は大きな謎に包まれています。 これまでNASAの公募でも何度か、 天王星探査ミッションが提案されてきましたが、 まだ採択されるには至っていません。 太陽系で最も謎に満ちた惑星、天王星。 人類がその謎を解き明かす日はいつか来るのでしょうか。 それでは今回もご視聴ありがとうございました。 面白かったという方は、ぜひチャンネル登録して頂けると嬉しいです。 皆さんのご支援が、次回の動画を作成する時の、大きな励みとなります。 内容についてご意見がある方は、コメント頂けると幸いです。 よろしくお願いします。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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#高1#高2#高3#大学#レベル3#最新研究・実験・その他#太陽系の天体#講義

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