【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
キューネ発酵管について解説します(酵母菌を用いてアルコール発酵の観察実験を行います)。実験中ずっとパンのにおいがします。
●キューネはドイツ生理化学の創始者の一人。その業績は計り知れない(神経の両方向伝導の証明、ミオシンの発見、トリプシンの命名、ロドプシンの吸光に伴う変化の発見、酵素の概念の樹立)。酵素一般をエンザイムenzyme(酵母の中にあるものという意味)と命名したのはキューネである。
問題1:アルコール発酵の化学式をかけ。
答え:C6H12O6→2CO2+2C2H5OH
問題2:問題1の反応では、グルコース1分子あたり何分子のATPが生成するか。
答え:2分子
問題3:動画のような実験を行った後、水酸化ナトリウムを加えよく混ぜると、キューネ発酵管内の圧力が減少した(指を開口部に当てておくと、指が管内に吸いつけられた)。これは、水酸化ナトリウムが( )を吸収したためである。空欄を埋めよ。
答え:二酸化炭素
問題4:動画のような実験を行った後、盲管部から溶液を取り出して、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液を加え、60~70度に加熱した。すると、液が黄変し、ヨードホルムのにおい(消毒薬臭)がした。このことから、アルコール発酵によってある物質ができたことがわかった。ある物質とは何か。
答え:エタノール
*ヨードホルム反応でエタノールがあるかどうか調べている。
問題5:酵母菌はミトコンドリアを持つか?持たないか?
答え:持つ(酵母菌は真核生物である。真核生物はミトコンドリアを持つ)。
問題6:酸素が存在すると、発酵が抑制される現象を何というか。
答え:パスツール効果(発酵速度が好気的条件下で抑制される現象をパスツール効果という。酸素が存在し、酸素を使って呼吸を行うことができるならば、1分子のグルコースから呼吸では最大38ATPが生成されるので、アルコール発酵より呼吸を行った方が効率的である)
*ガス捕集部分についた目盛で生成するガス量を『簡易的に』知ることができますが、この器具は、発酵強度を『精確に』測定するのには適していません。
*綿栓で蓋をせず、きつく密閉してしまうと、内部で気体(CO2)が発生しているので、破裂する恐れがあり、危険です。
*今回は、概念だけを示したいので、少し適当に実験しています。
実際の実験方法(例)
① 10[g]のパン酵母を10[%]グルコース水溶液100[mL]に入れる。
② よく混ぜ、10分程度放置する。
③ 気体が発生してきたら、キューネ発酵管の盲管部(上に伸びている閉じているところ)に隙間なく入れる。
④ 盲管部の上部にたまる二酸化炭素の体積を1分間隔で測定する。
●アルコール発酵に酵母菌が関係することは、シュワン(動物についての細胞説を提唱したことで有名な動物生理学者。胃液からペプシンを発見者したのも彼である)が見抜いていた。その後、パスツール(自然発生説の否定で有名な微生物学者)が、糖などを含む培地で酵母菌を培養すると、糖が消費されてアルコールができることを確認した(ちなみに、発酵が酸素によって抑制される現象を『パスツール効果』と言う。たまに問われる)。
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