共通テストでは「思考力問題」が重要視されていますが、今までのセンター試験でも多くの思考力問題が出題されてきました。ここでは過去の古いセンター試験の問題から、私が思考力問題を選んで解説していきたいと思います!
※この問題は理系生物用ですが、知識は必要ないので、文系選択者にも役立つと思います!(今回の05の問題は少し理系よりの問題です。特に問5は文系では必要ないと思います。)
問題pdfはこちら↓
https://drive.google.com/file/d/1ws71LXShEOGGoeOOD6aAQLuHMT2n7Nr1/view?usp=sharing
問題文はこちら↓(図や表はPDFや動画で確認して下さい)
B
ミツバチの口(吻(ふん))の先に,ある濃度以上のスクロース溶液を接触させると,吻の味覚受容器から伸びる感覚神経に活動電位が生じ脳へと伝えられる。活動電位を引き起こす最低のスクロース濃度を感覚神経の閾(いき)値(ち)[%]とする。また,ある濃度のスクロース溶液を吻の先に接触させたとき,ミツバチは図1のように折りたたんでいた吻を伸ばしてスクロース溶液を吸おうとする。このとき吻の内部の筋肉が,脊(せき)つい動物の骨格筋のように運動神経から刺激を受けて収縮すると,吻が伸び出る。これを吻伸展行動とよび,この行動を引き起こす最低のスクロース濃度を吻伸展行動の閾値[%]とする。スクロースで引き起こされる感覚神経の興奮と吻伸展行動を調べるため,以下の実験1・実験2を行った。
実験1 ミツバチ3個体(Ⅰ~Ⅲ)を使って,異なる濃度のスクロース溶液を吻に接触させたときに,味覚受容器から甘味情報を伝える感覚神経の軸索に沿って伝わる活動電位の発生の頻度を測定した(表1)。また,これらのミツバチは0.01%と0.1%のスクロースによって吻伸展行動を示さず,1%と10%のスクロースによって吻伸展行動を示した。
実験2 吻に接触させるスクロース濃度を変えて,吻伸展行動を引き起こす筋肉の動きを詳しく調べた。その結果,0.1%のスクロースを吻の先に接触させたときは,瞬間的な弱い筋肉の収縮が散発的に見られ吻がわずかに動くことがあっても,その動きが吻伸展行動につながることはなかった。1%のスクロースを吻の先に接触させたときは,筋肉は持続的な収縮を示し吻伸展行動が見られた。
問3 実験1の結果から,感覚神経の閾値と吻伸展行動の閾値に相当するスクロース濃度について,Ⅰ~Ⅲのどの個体にも当てはまる関係として最も適当なものを,次の①~⑤のうちから一つ選べ。 3
① 0.01% < 吻伸展行動の閾値 < 感覚神経の閾値 ≦ 1%
② 0.01% < 感覚神経の閾値 < 吻伸展行動の閾値 ≦ 1%
③ 0.01% = 吻伸展行動の閾値 < 感覚神経の閾値 ≦ 1%
④ 0.01% = 感覚神経の閾値 < 吻伸展行動の閾値 ≦ 1%
⑤ 0.01% < 吻伸展行動の閾値 = 感覚神経の閾値 ≦ 1%
問4 実験2の結果を説明する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。 4
① 1%のスクロースを接触させたときは,0.1%のときよりも,筋肉の強縮の持続時間が長くなり,吻伸展行動が見られるようになる。
② 1%のスクロースを接触させたときは,0.1%のときよりも,筋肉の単収縮の間隔が長くなり,吻伸展行動が見られるようになる。
③ 0.1%のスクロースを接触させたときは筋肉は強縮を起こし,1%のスクロースを接触させたときは単収縮を起こしている。
④ 0.1%のスクロースを接触させたときは筋肉は単収縮を起こし,1%のスクロースを接触させたときは強縮を起こしている。
問5 動物の行動には,ミツバチの吻伸展行動のように生まれつき備わった行動のほかに,経験や学習による行動が見られる。経験・学習による動物行動の例として最も適当なものを,次の①~⑤のうちから一つ選べ。 5
① カモやアヒルのヒナが,ふ化後初めて見た動くものを親とみなしてついて歩く。
② イトヨの雄が腹のふくらんだ雌に対して求愛行動を行う。
③ カイコガの雄がフェロモンをたどって雌にたどり着く。
④ 繁殖期のイトヨの雄どうしが攻撃しあう。
⑤ ヒトは指先で熱いものに触れると思わず手を引っ込める。