共通テストでは「思考力問題」が重要視されていますが、今までのセンター試験でも多くの思考力問題が出題されてきました。ここでは過去の古いセンター試験の問題から、私が思考力問題を選んで解説していきたいと思います!
※この問題は理系生物用ですが、知識は必要ないので、文系選択者にも役立つと思います!
問題pdfはこちら↓
https://drive.google.com/file/d/1h5GlYIoIkPEPVl_1CMrBgnBiIlvl7UgQ/view?usp=sharing
問題文はこちら↓(図はPDFや動画で確認して下さい)
B ワモンゴキブリ(以下「ゴキブリ」という。)は,触角による匂(にお)いの感覚と口による味の感覚の二つを結び付ける学習と記憶の能力をもっている。この能力を調べる目的で,以下の行動観察実験を行った。行動の違いを量的にとらえる方法として,ゴキブリが二つの異なる匂いのそれぞれに留まる時間の長さを測り,その違いに着目した。
実験1 バニラの匂いもペパーミントの匂いも経験したことのないゴキブリを,一匹ずつバニラとペパーミントの二つの匂い源を置いた測定場に放し,個体ごとにペパーミントの匂い源を訪問していた時間の長さ(Tp)とバニラの匂い源を訪問していた時間の長さ(Tv)を測った。ペパーミントの匂いに引きつけられる度合い(誘引率)を,
誘引率[%]=Tp/(Tp+Tv)×100で表して,図1のaを得た。図の横軸は誘引率,縦軸は誘引率10%ごとの区間に入った個体数を示してある。
実験2 ペパーミントの匂い源のそばに砂糖水を,バニラの匂い源のそばに食塩水を置いて,ゴキブリに1回だけ味を経験させ,1週間後に実験1と同じように二つの匂い源のみを与えて誘引率を測定したところ,図1のbが得られた。
実験3 実験2と同じ訓練を1日1回,3日間続け,1週間後に誘引率を測ると図2のaが得られた。その後,バニラの匂い源のそばに砂糖水を,ペパーミントの匂い源のそばに食塩水を置いて1回だけ味を経験させる「逆訓練」を行って,1日後に誘引率を測ると図2のbが得られた。この「逆訓練」を1日1回3日間続けたところ,図2のcが得られた。
問3 図1と図2に関する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。 4
① 図1のaでは,ペパーミントの匂い源を訪れたゴキブリはいない。
② 図1のbでは,すべての個体がペパーミントの匂い源を訪れている。
③ 図2のaでは,バニラの匂い源を訪れたゴキブリは半数以下である。
④ 図2のbでは,バニラよりペパーミントの匂い源をより長く訪れたゴキブリは半数以下である。
問4 実験1~3から分かる記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。 5
① ゴキブリは,常に最後に砂糖水と組み合わされた匂い源のみを訪れる。
② ゴキブリの匂いの記憶は1日以上もつが,1週間以内に消える。
③ たった1回の味の経験でも,半数以上のゴキブリは匂いへの誘引率を変える。
④ 砂糖水や食塩水と匂いとの関係を3回以上経験すると,ゴキブリは食塩水と組み合わされた匂い源を訪れなくなる。