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ジベレリンのはたらき(伸長成長促進・休眠打破・種なしブドウの作成)について解説します。ジベリリリ~ン♪で覚えよう。
語呂「ジベレリリン!目覚まし時計で休眠打破!」
ジベレリンによる発芽制御についての講義はこちら↓
• ジベレリンによる発芽制御【植物ホルモン】 高校生物
●ジベレリンのはたらき
①細胞の伸長成長を促進。
②種子の発芽を促進(休眠打破[きゅうみんだは])。
③単為結実(たんいけつじつ。受粉をしなくても果実が形成される現象)を促進。→種なしブドウの生産に利用されている。
●ジベレリンはセルロース繊維を水平方向に配置させる。結果、ジベレリンとオーキシンが共同すると細胞は縦方向に伸張する。
エチレンはセルロース繊維を縦方向に配置させる。結果、細胞は肥大する。
つまりセルロース繊維はベルトのような役割を持っている。
●種子の胚はジベレリンを生産し、糊粉層の細胞(種皮のすぐ内側にある細胞層で、糊粉というタンパク質を主体とする小粒を多量に含んでいる)にはたらきかける。すると、糊粉層の細胞はアミラーゼを分泌するようになる。アミラーゼによって胚乳内のデンプンが分解され、グルコースとなり、そのグルコースを胚が受け取って発芽する。この流れが『休眠打破』である。
●(背の低い)コケ植物は、一般的にジベレリンをつくらない。ジベレリンは維管束植物(背が高いシダ・種子植物)に普遍的にみられるホルモンである。シダ植物・種子植物がコケ植物に比べて大きくなれた(つまり、「伸長成長」できた)理由の一つは、伸長成長促進物質ジベレリンを獲得したからである可能性がある。
●ジベレリンは種子、成長している葉など、さまざまな部位で合成される。師管と道管を通って輸送される。
●1900年代はじめ、アジアの農家は、イネがひょろ長くなりすぎて成長する前に倒れてしまう病気に気付いていた。ジベレリンは、イネ馬鹿苗病菌Gibberella(ジベレラ) fujikuroiの培養液中から、イネ苗に徒長を誘起する物質として、黒沢英一(1926)によって発見され、藪田貞治郎・住木諭介(1938)によって結晶化・命名された。
ジベレリンは果実の肥大化を促進する。ブドウでは花にジベレリンを処理すると花粉の受精能力が壊されて、胚発生がないまま子房の肥大を誘導することができる。ブドウをジベレリン水溶液で処理して単為結実をおこさせ、さらにもう一度若い果実を処理して果肉の生育を促進させて、タネなしブドウの生産に利用している。単為結実とは、被子植物で、受精が行なわれずに子房が発達し、種なしの果実を生じる現象である。
まさにジベレリンがいい例だが、このように、植物ホルモンは、はたらきが多様で、はたらきかける細胞も様々である。植物の発生的な段階によっても、効果がころころ変わる。今後研究が進むにつれ、より明確なストーリーが明らかになるだろう。
●ジベレリンは頂芽、根の分裂組織、若葉、種子(の細胞質基質や色素体)でつくられるらしい。
●ジベレリンは維管束系を通って移動する。
●ブドウではジベレリン処理をすると花粉の受精能力が壊されて胚発生がないまま子房の肥大を誘導する(単為結実)。
●ジベレリンの受容体は核内にある。
●ジベレリンがない状態では、DELLAタンパク質がジベレリン応答を抑制している(どのように抑制しているのかについてはよくわかっていない)。ジベレリンが細胞内受容体であるGID1(イネの場合)と結合すると、DELLAタンパク質はそこに引き寄せられ、最終的に分解に導かれる。その結果、ジベレリン応答が起こる。
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