ジベレリン
ジベレリンとは
植物ホルモンのひとつ。
「何かを成長させるホルモン」 というイメージで覚えよう。
おもなはたらき
ジベレリンの主なはたらきとしては、以下の3つが挙げられる。
①種子の休眠打破
②伸長成長の促進
③子房の発育促進(種なしぶどうの単位結実の誘導)
では、それぞれ詳しく見ていこう。
①種子の休眠打破
ジベレリンには、発芽しない状態(=休眠状態)の種子の発芽(=休眠打破)を促す作用がある。
種子は発芽までの間、アブシシン酸の作用により休眠状態になっているが、発芽に適した環境要因になると、種子でジベレリンが合成されることで発芽する。
休眠打破の詳しいながれは以下のとおりである。
◎休眠打破のながれ
- 発芽に適した気温の時に種子が吸水すると、胚でジベレリンが合成される(光発芽種子の場合、適温と水の他に光が一定時間あたる必要がある)
- ジベレリンが糊粉層に作用する
- 糊粉層からアミラーゼが分泌される
- アミラーゼが、胚乳中のデンプンを糖に分解する
- 糖が胚に呼吸基質として提供される
ジベレリンが合成されると、こうして種子は発芽するのだ。
②伸長成長の促進
ジベレリンは、植物の茎が縦に成長するの(=伸長成長)を促進するはたらきもある。
なお、伸長成長にはジベレリンのほかに、オーキシンの作用も必要である。
では、ジベレリンとオーキシンはそれぞれどのように伸長に関わっているのか、みていこう。
◎茎の伸長促進の詳細
ジベレリンの役割:微小管を横に並べる
オーキシンの役割:一つ一つの細胞の成長を促進する
この2つのホルモンが力を合わせることで⋯
- ジベレリンにより、茎の細胞の微小管が横に並ぶ
- 細胞壁のセルロース繊維が横に並び、横長の細胞がたくさんできる
- オーキシンにより、一つ一つの細胞が成長し、その結果茎は縦に長く成長する
このようなながれで、茎が伸長成長するのである。
③子房の発育促進
ジベレリンには、果実の発育を促進するはたらきもある。
いくつかの植物では、受粉が刺激となってめしべ内のジベレリンが増加し、果実の形成が始まることが知られている。
このジベレリンのはたらきは,種なしぶどうの産生などにも応用されている。
ちなみに
ジベレリンが発見されたのは、イネが以上に伸長してしまう、「馬鹿苗病」という病気の研究がきっかけだそうだ。
この病気の原因の化学物質がジベレリンと名付けられたのだが、後に病気でない植物からもジベレリンが見つかり、植物ホルモンであることがわかったらしい。
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