植物ホルモン
植物ホルモンとは
簡潔に言うと、植物自身がつくり出す、微量で細胞の成長や生理的なはたらきを調節する物質のこと。
植物ホルモンは、体内の一部で産生された後、体内を移動して色んな組織で作用する。
その産生量や移動量は、環境要因(光や重力など)により変動する。
こうした植物ホルモン量の変動が、植物の情報の伝達や発生・成長の調節において、中心的な役割をはたしているのである。
植物ホルモンのはたらき
例えば以下のような場面で、植物ホルモンがはたらいている。
- 気孔の開閉
- 種子の発芽
- 生長
- 葉の落葉
- 果物の成熟
など
また、動物同様、植物ホルモンにもさまざまな種類があり、それぞれ異なる役割がある。
以下に主な植物ホルモンの例を挙げるので、覚えておこう。
主な植物ホルモン
教科書に出てくる主な植物ホルモンとしては、
- オーキシン
- ジベレリン
- アブシシン酸
- エチレン
が挙げられる。
このうちエチレン以外のホルモンは、植物の体液中に溶けた状態として存在するが、エチレンは気体の状態で存在し、植物外にもはたらきかけることに注意しよう!
ちなみに、なかのひとが勝手に考えた4種の植物ホルモンのイメージは、こんな感じだ。
オーキシンは、高校生物では最も多くのはたらきが記載されているホルモンで、他のホルモンと一緒に登場することもある。 植物ホルモンの単元は、「オーキシンとゆかいな仲間たち」といってもよいくらいだ。
そして、ジベレリンはぐんぐん成長するイメージ、アブシシン酸は寝たり閉じたり、眠そうなイメージ。 そして、エチレンは植物を太らせたり、気体として周りに振り撒くイメージ。
各ホルモンの詳しいはたらきは、それぞれのページで確認しておきましょう。
(補足)その他の植物ホルモン
新課程(2023年以降)の教科書では取り扱われていないが、資料集等に記載されている、上で挙げた以外の植物ホルモンについても、はたらきとともに挙げておく。(重要度は低め)
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サイトカイニン
はたらき:細胞分裂の促進、側芽の成長促進、葉の老化抑制など
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ジャスモン酸
はたらき:動物の食害ストレスに応答し、 タンパク質分解酵素の阻害物質の合成を誘導する。
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ブラシノステロイド
はたらき:茎の伸長成長、葉の成長、細胞分裂の促進、発芽促進など (ジベレリンと同じようなはたらき)