植物ホルモンのひとつ。
「なにもかもやめて寝たいホルモン」というイメージで覚えよう。

アブシシン酸の主なはたらきとしては、以下の3つが挙げられる。
①種子の休眠維持
②気孔を閉じる
③老化促進
では、それぞれ詳しく見ていこう。
アブシシン酸には、種子が発芽しない状態(=休眠状態)を保つ働きがある。
もっと詳しく言えば、乾燥や低温などの環境に適応させると同時に、発芽を抑制する。
アブシシン酸は種子が成熟する頃、種子内で増加する。これにより、種子は休眠状態を維持することができるのである。
発芽可能な状態の種子が、発芽に適した環境の下で吸水すると、発芽を促進する植物ホルモンの「ジベレリン」が合成される。
このジベレリンの「発芽促進作用」が、アブシシン酸の「発芽抑制作用」を上回ると、発芽が進むのである。
植物は乾燥状態のとき、気孔を閉じることで蒸散量を減らし、体内の水分の減少を防ぐ。
この際、実は気孔は、アブシシン酸のはたらきによって閉じているのだ。

アブシシン酸には、葉の緑色が薄くなるなどといった、植物の老化を促進するはたらきもある。
他に、エチレン(植物ホルモン)も老化を促進する。
(エチレンの方が目立って老化促進のホルモンとして記載されることが多い。)
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