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惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

NASA 第15、16次Discovery計画採択ミッションを研究者が予想

概要

動画投稿日|2020年2月28日

動画の長さ|9:22

2020年2月14日に、NASAは次期ディスカバリー計画の最終候補ミッション4つを発表しました。選ばれたのは、どのような探査ミッションでしょうか?日本一早く、惑星科学の専門家が解説します。そして、最終的に来年選ばれるミッションを大胆に予想します。 【訂正】 動画中では16個のミッションが提案されたと紹介しておりますが、正しくは「25個」でした。 (目次) 0:00 最終候補4つのミッション 0:33 ディスカバリー計画とは? 1:55 DAVINCI+ 金星着陸探査 2:27 VERITAS 金星周回探査 3:01 IVO イオ探査 3:29 Trident トリトン探査 4:08 採択ミッション予想 (参考文献) NASA Selects Four Possible Missions to Study the Secrets of the Solar System NASA Press Release 20-016, 2020/02/14 https://www.nasa.gov/press-release/nasa-selects-four-possible-missions-to-study-the-secrets-of-the-solar-system 【音楽素材】 https://www.bensound.com/ 【画像素材】 NASA, Pixabay、Space Engine 【関連動画】 NASAが再び月に人を送る理由ーアルテミス計画のすべて    • NASAが再び月に人を送る理由ーアルテミス計画のすべて   【字幕説明】 みなさん、こんにちは。 学校で教えてくれない今どきの惑星科学の話をします。 金星は地球から最も近い惑星ですが、この30年間、 NASAは一機も探査機を送り込んできませんでした。 しかしこの状況がとうとう変わるかもしれません。 2020年2月14日に発表された次期NASAミッション、 第15次、第16次ディスカバリー計画の最終候補に残った 4つのミッションのうち 2つが金星行きのミッションであることが発表されたのです。 そもそもディスカバリー計画とは何でしょうか。 惑星探査は数百億から数千億円かかる巨大な国家プロジェクトです。 プロジェクトによってランクがあり、ざっくり言うと、 かかるお金の大小によって、ランクが決まります。 これは建物を建てるのと似ています。 一口に建物を建てると言っても、一戸建てを建てる場合、 マンションを建てる場合、高層ビルを建てる場合で、 かかる経費や時間が変わってきます。 一戸建ては比較的お金がかからず、短期間で建てられますが、 高層ビルを建てるには巨額のお金が必要で、時間もかかります。 ディスカバリー計画は、NASAの数あるプロジェクトの中では、 比較的小型のミッションであり、「より速く、より良く、より安く」 を合言葉としています。 ディスカバリー計画では、一つのミッションにかけられる経費が、 約5億ドル(日本円でおよそ550億円)と決められています。 ディスカバリー計画のもう一つの特徴として、 探査計画はNASAが決めるのではなく、一般の研究者からの公募で決まります。 こちらは、ディスカバリー計画の公募要領を記載した募集要項です。 この募集要項だけで、なんと142ページもあります。 審査のプロセスがどれだけ厳しいものか、 これだけでもイメージがつかめるかと思います。 さて、今回のディスカバリー計画の公募には、 合計16個のミッションが提案されました。 そのうち、今回は第一次選考で、4つのミッションに絞られました。 それでは厳しい選考を勝ち残った 最終候補4つのミッションを見ていきましょう。 まず最初のミッションは、DAVINCI+です。 NASAゴダード宇宙飛行センターから提案された金星探査ミッションです。 頑丈な装甲で覆われた着陸機をパラシュートで金星大気に降下させ、 金星大気の希ガス濃度を測定し、大気の起源に迫ります。 また地表面付近での硫黄と炭素の濃度を測り、 金星に現在も活火山が存在しているか調べる予定です。 過去のNASAミッションと異なり、 DAVINCI+では金星を回るオービター(周回機)も飛ばします。 上空のオービターから金星の地形を観測する予定です。 次のミッションは、VERITASです。 NASAのジェット推進研究所から提案されたミッションです。 合成開口レーダーを用いて、分厚い雲と大気に隠された 金星の地形を観測します。 これによって、惑星科学最大級の謎、 プレートテクトニクスが現在の金星にもあるのか、という問題に 答えることを目標としています。 合成開口レーダーを使った金星探査は 過去のミッションでも行われていますが、 この問題に答えを出すには空間解像度が足りていませんでした。 そのため、今回提案されたミッションでは レーダーの空間解像度を高める予定です。 三つめのミッションは、アリゾナ大学と ジョンズ・ホプキンズ大学・応用物理学研究所が共同で提案する、 イオ・ボルケーノ・オブザーバー(IVO)です。 このミッションは、木星の衛星イオを探査し、 衛星の内部と地表面の火山活動を観測します。 イオは木星の潮汐力によって、表面で活発な火山活動が起きており、 太陽系で最も活動的な天体です。 イオ内部にはマグマの海が広がっているのか、 このミッションで答えを出すのが目的です。 最後のミッションは、アメリカ月惑星研究所と ジェット推進研究所が共同で提案する、トライデントです。 このミッションでは海王星最大の衛星トリトンをフライバイ探査します。 トリトンは1989年にヴォイジャー2号がフライバイした後は、 一度も探査されておらず、多くの謎に包まれています。 しかし、太陽から遠く離れた冷たい天体であるにも関わらず、 地表面は比較的若いことが確認されており、 氷火山や内部海の存在が示唆されています。 トライデント・ミッションでは、ニュー・ホライズンズの冥王星探査と同様に、 トリトンをフライバイし、地表面を詳細に観測することを計画してます。 今回、最終候補に残った4つのミッションは それぞれ300万ドル(約3億円)を受け取り より詳しい提案書を、来年行われる最終選考に提出する予定です。 最終選考で残った4つの候補から2つのミッションを選び、 2025年から2030年に打ち上げられる計画です。 ここからは、4つの候補からどのミッションが最終的に生き残るか、予想してみます。 あくまでも一研究者の個人的な見解ということをご了承ください。 まず4つのうち、2つが金星探査ミッションだったということで、 金星ミッションが一つは選ばれる確率は高いと考えられます。 前回のディスカバリー計画の選考では、 今回提案されたDAVINCI+の前身である、DAVINCIミッションが 最終選考まで残りましたが、結局選ばれず、 サイエンス誌で、落胆した関係者の特集記事まで組まれたほどでした。 これまで30年以上、NASAが金星ミッションを選んでこなかったことを考えると、 そろそろ金星が選ばれてもおかしくない雰囲気があります。 ただし提案された2つの金星ミッションが どちらも選ばれる確率は低いと考えられます。 同じ天体が探査対象であると、科学的成果がかぶってしまい、 わざわざミッションを二つにするうまみが薄れてしまうからです。 実際、これまで打ち上げられたディスカバリー計画のミッションで、 対象天体が同じ、2つのミッションが選ばれたことはありません。 ちなみに、前回の選考では小惑星探査ミッションが2つ選ばれ、 関係者を大いに驚かせましたが、選ばれたミッションは、 それぞれトロヤ群小惑星とメインベルト小惑星が探査対象ですので、 同じ小惑星に行くわけではありません。 それではDAVINCI+とVERITAS、どちらが最終選考で生き残るでしょうか。 私はDAVINCI+ミッションではないかと見ています。 その理由は3つあります。 一つめの理由は、これまで金星表面に着陸したアメリカの探査機はないからです。 金星の着陸探査は、これまでソ連しかやったことがなく、 最後の着陸探査は1984年のヴェガ2号です。 したがって金星地表面の科学データはいまだにソ連時代のデータが使われており、 NASAとしては、米国史上初の金星着陸探査に挑むことで、 この状況を変えたいと思っていることでしょう。 二つ目の理由は、VERITASで提案している合成開口レーダーを使った、 周回観測は、NASAが最後におこなった30年前の金星ミッション、 マゼラン探査機でも同様のことが行われたからです。 VERITASではマゼランの時よりも、空間解像度を上げることを提案していますが、 NASA史上初の金星着陸と比べると、どうしてもインパクトに欠ける印象があります。 三つめの理由は、前回DAVINCIミッションを提案した研究者が、 今回は選考する側である、NASA惑星探査部門のトップを務めているからです。 さすがに、出来レースと言われないよう、 選考過程にはあまり干渉しないのかもしれませんが、 それでも身内が選考する側にいるというのは、大きな強みです。 以上の理由から私はDAVINCI+ミッションが選ばれる、と見ています。 それでは残り一枠は、IVOとトライデント、どちらが選ばれるでしょうか。 この2つのミッションは、科学的に見ればどちらも非常に魅力的ですが、 私はトライデントが選ばれると予想します。 理由は二つあります。一つめの理由は、 トリトンはこれまで一度しか探査機が訪れたことがなく、 イオに比べて圧倒的に観測データが不足しているからです。 トリトンを含む海王星系の観測データは、 1989年にボイジャー2号によって得られたのみで、 多くの謎に包まれています。 それに比べて、イオを含む木星系は、パイオニア10号、11号や ガリレオ探査機、そして現在運用中のジュノー探査機などによって、 探査されてきました。 イオをメインターゲットにしたミッションはないものの、 トリトンに比べるとデータ量は豊富です。 NASAが一般世論や科学界に与えるインパクトを考慮すれば、 史上初の海王星探査を選ぶのが妥当に思えます。 二つめの理由は、木星からは強力な放射線が出ているため、 探査機の開発が困難になるからです。 木星は太陽系の中で、最も強烈な放射線を出す惑星であり、 さらにイオは木星のすぐ近くを公転しています。 そのため、イオに近づこうと思うと、探査機は強烈な放射線帯の中を 通過しなければいけず、探査機に搭載された機器を保護するための、 放射線シールドや、放射線耐性のある部品を使わないといけません。 もちろん技術的に不可能ではありませんが、 放射線対策を万全にしようとすると、コスト(お金)がかかります。 そのため、予算に限りがあるディスカバリー計画では、 放射線対策にお金が割かれてしまい、 開発が難航されることが予想されます。 実際、これまで木星に行った探査機はいずれも 放射線対策を厳重に施した大型の探査機ばかりです。 IVOではディスカバリー計画の予算枠に収まりきらないと判断されてしまう、 可能性があると思われます。 以上の議論をまとめますと、このチャンネルでは、 第15次、第16次ディスカバリー計画に選ばれるのは、 金星を着陸探査するDAVINCI+ミッションと、 海王星の衛星トリトンをフライバイ探査する、トライデント・ミッション が選ばれると予想します。 皆さんはどのようにお考えでしょうか? ご意見ありましたら、ぜひコメントでお寄せ頂けると嬉しいです。 最終選考の発表は2021年ですので、来年答え合わせをすることにしましょう。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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