〇松山の世界史チャンネル
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今日は「受験世界史の王道、地中海3つの文化圏形成」と題して東京大学の2021年の問題を紹介していきます。
この問題はローマ帝国が滅亡した後に、地中海に3つの文化圏が形成されるまでの過程を問うもので、受験世界史においてはまさに王道中の王道ともいうべき問題です。
東大に限らず、一橋大や京大を始め多くの大学で問われる視点です。
世界史という科目は、異なる世界がお互いに影響を与えながら形成されていくという、世界史の本質に迫る問題です。
解答のポイント(番号は文章展開の順番)
1.征服者と被征服者との間の宗教をめぐる様々な葛藤、摩擦
①ゲルマン民族の大移動により西ローマ帝国が滅亡
②ゲルマン国家の多くがアリウス派を信仰していたため、ローマ系住民と対立
2.生き延びたローマ帝国(東ローマ、ビザンツ帝国)と周辺勢力との間の、宗教をめぐるさまざまな葛藤、摩擦
⑤7世紀にイスラム勢力が台頭すると、ビザンツ帝国はシリアやエジプトを奪われる
⑦ビザンツ帝国はイスラム勢力に対抗するために聖像画(イコン)の使用を禁止
⑧西欧ローマ教会は、教皇グレゴリウス1世以来、ゲルマン人への布教を強化しており、布教に聖像を使用したためこれに反発
3.政権の交代や特定地域の帰属関係の変動
③フランク王国は、クローヴィスがアタナシウス派に改宗したことでローマ系住民の支持を獲得して勢力を拡大
④ビザンツ帝国はユスティニアヌスが地中海世界を再統一
⑨教皇はビザンツ帝国に対抗するために、フランク王国のピピンに戴冠
⑩イスラム教勢力はウマイヤ朝がアラブ人に特権を認めため、被支配民族から反発を受け、アッバース朝により滅亡
4.3つの文化圏が成立していった過程
⑥バルカン半島と小アジアを中心に勢力を維持し、帝国の言語はラテン語からギリシア語へと変化した
⑪アッバース朝はマワーリーのジズヤを廃止し、ハラージュを均等に負担することで信徒を平等としてイスラム帝国を実現
⑫西欧では教皇がカールに戴冠して、ビザンツ帝国から自立し、西欧文化圏が成立
⑬ビザンツ帝国はバルカン半島に進出したスラヴ人への布教を進めてギリシア正教文化圏を形成
⑭地中海世界はカトリックのフランク王国、ギリシア正教のビザンツ帝国、イスラム教勢力に3分されるにいたった