幹細胞
幹細胞とは
幹細胞とは、生物の体内にある細胞の中で、特定の器官や組織に変化する前(未分化)の、様々な細胞に分化する可能性を持つ細胞のことをいう。
幹細胞の種類
幹細胞は、体内にあるもの と、人工的につくられるものに分類することができる。
①体内にある幹細胞
体内にある幹細胞は、組織幹細胞(または体性幹細胞)と呼ばれる。
組織幹細胞は、限られた種類の体細胞のみに分化することができる。
例えば、生物基礎で登場する「造血幹細胞」は、様々な血球に分化することはできる。だけど、血球ではないもの、例えば、筋肉に分化することはできないのである。
これが、「限られた種類の体細胞のみに分化する」ということだ。
これに対して、人工的につくられる幹細胞は、少し異なる特徴を持つ。
②人工的につくられる幹細胞
人工的につくられる幹細胞には、ES細胞やiPS細胞と呼ばれる細胞がある。これらは、まとめて「多能性幹細胞」と呼ばれる。
これらの細胞は組織幹細胞とは異なり、体のほぼ全ての細胞に分化することができる能力(=多能性)を持っている。
多能性幹細胞のこの特徴は、医薬分野で活かせるのではないかと期待されていて、現在盛んに研究が行われている。
例えば、病気やけがで損傷を受けた組織や器官に分化させて、移植するという治療方法などが考えられている。(この治療法を再生医療という)
※利用の課題
多能性幹細胞には様々な利用可能性がある一方で、倫理的な問題には細心の注意を払わなければいけないということも、把握しておこう。
主な多能性幹細胞
先程も挙げたが、多能性幹細胞には、作製方法が異なる2種類のものがある。
- ES細胞(胚性幹細胞):哺乳類の胚から取り出した幹細胞を培養したもの
- iPS細胞(人工多能性幹細胞):分化後の体細胞に特定の遺伝子を加えて細胞を初期化したもの
この2つの幹細胞は高校生物ではとても重要なので、作製方法や課題などについて、必ず理解しておこう。
各細胞の詳細は、各用語のページで確認しよう!
また、ES細胞やiPS細胞について動画で詳しく学びたい人は、「おうち生物 ES細胞とiPS細胞」をチェック!