概要
関数 に対して、
を の における微分係数 という(ある点 での値であることに注意!)。数学IIの範囲では、極限については「 を に限りなく近づけること」とぼんやり思っておけばOK。極限については、数学IIIでどっぷりと学ぶ。この式は下のようにも書けるので、使いやすい方を使えばOK。
極限の中身の は 点 の間の平均の傾きを表し、上の極限値は、どんどん を に近づけていくという意味なので、 の における接線の傾きになる。
の での微分係数が存在するとき、 は で微分可能という。
例
[1] の での微分係数を、定義に従って求めてみる。
( については、極限の定義より、「 は限りなく に近づくが にはならない」ので、 で割ることができる(下の例も同様))
詳細(数学III:微分可能性)
微分係数が存在するためには、 極限が存在するというポイントをクリアしないといけない。この極限が存在するための必要十分条件は、
とが一致すること。
つまり、 を の右から近づけた右側極限と、 を の左から近づけた左側極限が一致するということ(もしその点の両側で分ける必要がなさそうであれば、一気に極限を出して良い(上の例[1]))。
極限の式の中に があるので、 が存在することも前提となっている。
例(数学III)
[2] の での微分係数を定義に従って求める。 の左右で関数が変わるので、両側で分ける必要がある。
右側極限は、
( の右側極限を考えているので、。よって が得られる)
左側極限は、
( の左側極限を考えているので、。よって が得られる)
となり、 左側極限と右側極限が一致しない。よって極限が存在しないので、微分係数は存在しない(上の必要十分条件を満たさない)。