アプリ「okke」で効率よく学ぶ!

油脂


概要

「油脂」とはいわゆる油のことで、グリセリンと高級脂肪酸がエステル化した化合物のこと。ちなみに、高級脂肪酸とはLOUIS VITTONに売ってる脂肪酸とかではなく、たとえばなど炭素数が多いカルボン酸のことです。

油脂_1.jpeg

油脂は、高級脂肪酸に二重結合が少ないほど固体(牛脂とか)に、多いほど液体(オリーブオイルとか)になりやすいです。また固体の油脂を「脂肪油」、液体の油脂を「脂肪」と呼び分けます。

脂肪油の二重結合に、人工的に水素を付加させることで、二重結合が減って固体になったものを「硬化油」といいます。植物性油脂の硬化油としてマーガリンが有名です。

また、二重結合が特に多い液体の油脂は、空気中の酸素によって二重結合が酸化されて固体になります。このような性質を持つ脂肪油を「乾性油」、そうでないものを「不乾性油」と言います。人工的に水素をくっつけた硬化油との違いに注意しましょう。

詳細

油脂の構造

油脂は、グリセリンと高級脂肪酸のエステルです。自然界に存在するサラダ油、牛脂、魚の油などが油脂の一例です(*補足1)。高級脂肪酸の種類によっては、不斉炭素原子が存在することにも注意が必要です。

油脂_2.jpeg

油脂を構成する高級脂肪酸の一例は以下の通り。油脂の性質は脂肪酸で決まるので、頻出の脂肪酸は名前と二重結合の数を覚えておきましょう(*補足2)。

油脂_3.png

また細かい話ですが、油脂は自然界に存在するものなので、1種類の油脂の中でも脂肪酸のくっつき方はバラバラです。よって油脂の脂肪酸の数は、全て加水分解してみて全体の構成比で考えます。まあ最悪この話は無視しちゃってもいいですが、余裕がある人は理解しておきましょう。

油脂_4.jpeg

油脂の性質

油脂の性質は、脂肪酸の種類によって、特に脂肪酸の二重結合の数によって決まります。一直線に長い分子構造の脂肪酸は、シス型の二重結合があると折れ曲がってしまいます。折れ曲がった脂肪酸は、分子同士が近づきづらくなって分子間力が小さくなります

油脂_5.jpeg

これにより脂肪酸は、二重結合が少ないほど融点が高く固体になりやすく、二重結合が多いほど融点が低く液体になりやすいです。つまり、油脂の中に二重結合が多いほど液体になるということです。そして常温で液体の油脂を「脂肪油」、固体の油脂を「脂肪」と言います。

硬化油

液体の脂肪油に、人工的に水素を加えて脂肪にしたものを「硬化油」と言います。植物性油脂にはオレイン酸が多く含まれ、これに水素を付加させてステアリン酸にして硬化油にしたのがマーガリンです。

油脂_6.jpeg

乾性油と不乾性油

また、脂肪油の中でも特に二重結合が多いものは、空気中の酸素に酸化されて固まってしまいます。こんな性質を持つのが「乾性油」、そうでないものが「不乾性油」です。二重結合が多いと、酸素がぶつかってお隣の分子と繋がる反応を起こします。これによって分子が酸素で次々と繋がった高分子になり固体になるわけです。

油脂_7.jpeg

この性質を利用したのが、油性インクや油絵などになります。硬化油も乾性油も固体になるという点は同じですが、全く違う形であることに注意しましょう。

けん化

エステルである油脂は、強塩基を加えることで「けん化」を起こします。

油脂_8.jpeg

この結果得られる高級脂肪酸塩が「セッケン」です。詳しくはそれぞれの辞書をチェック!

けん化価とヨウ素価

けん化価」とは、油脂の平均分子量を見積もるための指標のこと。具体的には「1gの油脂をけん化するのに必要なの質量[mg]」で定義されます。

また「ヨウ素価」とは、油脂中の平均の二重結合数を見積もるための指標のこと。具体的には「100gの油脂に付加できるヨウ素の質量[g]」で定義されます。

これらの指標が、

  • なぜ必要なのか
  • 具体的にどう計算するのか

などは、それぞれの辞書を確認してみてください。

補足

  • (*補足1)「石油」も油という字が付いていますが油脂ではなく、アルカンや芳香族化合物が混ざったものになります。
  • (*補足2)炭素数と二重結合数がわかれば、分子式もわかります。アルカンの一般式はなので、水素の1つがに代われば二重結合0のです。あとは二重結合が1つ増えるごとに、水素を2減らしていけばOKです。

タグ

# 油脂
# グリセリン
# 高級脂肪酸
# 脂肪
# 飽和脂肪酸
# 不飽和脂肪酸
# 脂肪油
# 脂肪酸
# 脂肪族カルボン酸
# パルミチン酸
# ステアリン酸
# オレイン酸
# リノール酸
# リノレン酸
# けん化価
# ヨウ素価
# 硬化油
# 乾性油