局地風
局地風とは
特定の地域に限って吹く風のこと。地方風、局所風ともいう。地域独特の気候を生み出すこともある。季節風(モンスーン) も含まれる。
局地風の具体例1(ヨーロッパ)
- シロッコ
春に、サハラ砂漠からイタリア南部に吹く、蒸し暑い風
- フェーン
アルプス山脈を越えた、高温で乾燥した南風
- ボラ
アルプス山脈から吹き下りる、寒冷で乾燥した北風
- ミストラル
アルプス山脈からアドリア海に向かって吹き下りる、寒冷で乾燥した風
フェーンのしくみ
基本的に高度が上がるにつれ、温度は下がり、高度が下がるにつれ温度は上がる。
フェーンが吹くときは、風上側に湿った風が吹く。その空気は山を登る。その際、水が凝縮することで熱が発生する。その結果、温度が下がりにくい。そして、山頂までで雨が降る。すると、風下側の空気は乾燥する。高度が下がるにつれて、登る際の温度低下より大きく温度が上がり、最終的に高温乾燥のフェーンとなる。
たろー先生の動画などの解説も参考になる。
局地風の具体例2(世界)
- スホベイ
中央アジアで吹く東または南東の乾熱風
- チヌーク
ロッキー山脈東側に吹き下りる、高温で乾燥した風
- ハルマッタン
西アフリカで吹く乾燥した貿易風
- ブリザード
北米大陸北部や南極地方に吹く、地吹雪を伴った寒冷な風
局地風の具体例3(日本)
特に東日本の大学を受ける場合、からっ風とやませは覚えておくべきであるが、他は少しマニアックなので、地理の知識を特別につけたい人だけ覚えればよい。
- からっ風
冬に関東平野に吹く乾燥した寒冷な北風
- やませ
夏に、日本の東北地方の太平洋側に吹く寒冷な風
- 清川だし(山形県東田川郡庄内町清川付近)
夏場に吹く強い風で、農作物などに局地的な被害をだすことから、広戸風(岡山県津山盆地)、やまじ風(愛媛県法皇山脈から吹き下ろす)とともに日本三大悪風と呼ばれる。
- 六甲おろし(兵庫県)
冬場に季節風が山を越えて太平洋側に吹き下ろしてくる風。阪神タイガースの歌の愛称として有名
※「おろし」と「だし」
おろし(颪)は、日本の太平洋側に吹く山から吹き下りてくる風のことであり、だしは日本海側に吹き下りる風である。
学術用語化した局地風
有名な局地風は学術用語となり、他の地域で同じメカニズムで吹く風のことも、その名で呼ぶようになっている。 例えば
- フェーン
山岳などを超えて吹き降ろす強風で、高温・乾燥のもの。フェーン現象とも。
- ブリザード
吹雪を伴った、低温の強風。また、吹雪や地吹雪自体のことを指す。
- モンスーン
ある季節特有の風。また、雨期の風や風雨のことを指す。もとは、アラビア語の「季節」に由来し、アラビア海の季節風のことを指していた。