古代インド
概要
イスラーム勢力がくるまでのインドのお話です。
仏教中心からヒンドゥー教中心になっていく過程も見ていきます。
時代
〜7世紀
場所
詳細
古代文明
インドで最も古い文明は、インダス川流域を中心とするインダス文明です。
モヘンジョ=ダーロやハラッパーが代表的な遺跡として存在します。
その後パンジャーブ地方に進出したアーリヤ人の文明の遺跡の中には、最古の賛歌集『リグヴェーダ』も見つかっています。
前1000年頃ガンジス川流域に移動したアーリヤ人にヴァルナ制と呼ばれる身分差の概念が生まれます。
これは人はバラモン(司祭)、クシャトリヤ(武士)、ヴァイシャ(農民、商人)、シュードラ(隷属民)の4つの身分にわかれるとする観念です。
バラモン身分の人々が司る宗教をバラモン教と呼びました。
また、排他的に結合をはかるジャーティ(カースト)集団の関係は、インドの社会制度「カースト制」につながるものとなります。
マガダ国
前6世紀ごろ、マガダ国が有力な都市国家となります。
この時代に、クシャトリヤなどに支持されて広まったのが、ガウタマ=シッダールタを開祖とする、ヴァルナ制などを否定した仏教です。
また、苦行や不殺生を強調した、ヴァルダマーナを開祖とするジャイナ教や思索を重視したウパニシャッド哲学も誕生します。
マウリア朝
前4世紀になると、チャンドラグプタ王によりインド最初の統一王朝、マウリア朝が生まれます。
最盛期はアショーカ王で、仏典結集を行うなど仏教に帰依しました。
クシャーナ朝
1世紀になるとインダス川流域にクシャーナ朝が成立します。2世紀のカニシカ王の時代が最盛期で、ローマとの交易も非常に盛んでした。
この時代には仏教が変容を見せます。
それまで出家が求められていたのに対し、救済のために出家しないまま修行を行う菩薩信仰が広まり、自らを大乗、それまでのものを小乗と呼び区別しました。
ヘレニズム文化の影響を受け仏像も作られるようになり、大乗仏教はガンダーラを中心に広く伝わりました。
サータヴァーハナ朝
クシャーナ朝と同時期に南部で勢力を持ちました。(前1世紀〜3世紀)
他のインドの王朝と同様、仏教やジャイナ教の活動が盛んでした。
さらに南の地域ではチョーラ朝が「海の道」の港市として交易で栄えました。
グプタ朝
4世紀に入り生まれたこの王朝は、チャンドラグプタ2世の時に最盛期を迎えました。
グプタ様式が成立した仏像で栄えた仏教と並行してバラモン教も再び盛んになり、バラモンの言葉であるサンスクリット語が公用語となりました。
民間で形成されたヒンドゥー教も定着し始め、シヴァ像なども作られました。
文化も栄え、『マヌ法典』が編纂されたり、二大叙事詩『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』が完成したり、カーリダーサにより戯曲『シャクンタラー』が作られたりしました。
ヴァルダナ朝
7世紀にハルシャ王により興されたヴァルダナ朝は、主にヒンドゥー教が信仰されていましたが、仏教やジャイナ教も認められていました。
唐から来た玄奘はナーランダー僧院で仏教を学び『大唐西域記』を記し、その後訪れた義浄も『南海寄帰内法伝』を記しました。
ヴァルダナ朝はハルシャ王の死後すぐに衰え、ラージプートと呼ばれるヒンドゥー勢力の抗争が行われる時代となり、8世紀のイスラーム勢力の訪れを待つこととなります。
補足
細々と覚えることが多いこのブロックは丸暗記してしまうのが個人的にはおすすめです。
文化の部分は移り変わることだけキャッチしておき、時代は王朝にあてはめるパズルのように認識しています。
流れで覚えたい方は調べてみればかなり出てくるので、インドの奥深さを知ることができると思います。興味があればぜひ調べてみてください。