LCCとはLow Cost Carrier 、直訳すると低価格運送業者とでも言いましょうか、とにかく安い航空会社ということです。
21世紀に入ってから全世界に普及し、航空交通を身近にしたことで観光業の活性化に大きく寄与しました。
LCCの意義というのは、とにかく航空交通を身近にしたということです。
21世紀の現在、世界的に長距離輸送の主役は航空機です。日本では例外的に高速鉄道が発達しているので中距離輸送も鉄道のシェアが高いのですが、中距離輸送も世界的には航空機のシェアが非常に高いものになっています。逆に言えば、中長距離輸送は航空機に頼るしかない状態なのです。
それなのに航空機はこれまで運賃が高いという欠点がありました。そのため、簡単に言うと長距離移動の敷居が高く、移動しづらい状況にあったわけです。
ところが、LCCの登場で価格破壊が起き、所得の低い人でも気軽に長距離を移動できるようになりました。これが、LCC登場の最大の意義です。
鉄道や道路が十分に整備されていなかったり、低規格であったりするような発展途上国でも、LCCによって国内移動が容易になり、国内の移動にも積極的に航空機が使われるようになってきました。
他にも影響はあります。人が安く、簡単に移動できるようになると何が起こるか。そう、観光需要の拡大です。
すこし経済学に絡んだお話をします。
経済学に価格弾力性という概念があります。簡単にいうと、値段が変わるとどれくらい需要が変わるかという指標です。
米のような生活必需品は、値段が多少変わろうが消費量は大して変わりません。これを「価格弾力性が低い」といいます。
そして、ぜいたく品は価格が変化すると消費量がめっちゃ変わります。安くなればめっちゃ売れるようになるし、ちょっとでも高くなればすぐ売れなくなってしまうのです。ぜいたく品のように、値段がちょっと変わっただけで売れ行きが大きく変わるものを「価格弾力性が高い」といいます。
旅行って、究極のぜいたく品ですよね。ですから、旅行は値段が高いとなかなかしてもらえない。逆に安くなると、「安いんなら旅行でもいくか、」となるでしょう。旅行は価格弾力性が高いため、安くなると需要が大きく伸びるのです。
LCCの登場による航空運賃の劇的な低下は、まさしくこの全国旅行支援のような効果をもたらし観光需要の掘り起こしに成功したのでした。LCCの誕生、就航が観光需要の拡大に繋がるというのはこういうことなのです。
最近はコロナでめっきり減りましたが、それ以前は日本中のそこかしこにいた外国人観光客。急激に外国人観光客が増えたのも、ビザ要件緩和など他にも理由はあるものの、要因の一つにLCCがあります。
2010年代から中国や東南アジアを中心にLCCの日本航路が続々と就航し、比較的所得水準の低いアジア諸国からも日本へ観光に来やすくなったのですね。
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