慶應義塾大学 理工学部 杉本研究室では、ユーザーの認知や実環境の操作対象の状態を考慮したインタラクションを実現する拡張現実環境の研究を行っています。
拡張現実環境を構成する上では,実環境のセンシング技術がキーテクノロジーです。
杉本研究室では、プロジェクタから投影する輝度パターンと光センサを用いたDisplay-Based Computingという考え方に基づく位置・姿勢の計測システムや距離画像カメラを用いた実環境のモデル化を行う計測システムを構築しています。
可視光領域と赤外などの不可視領域を活用することで,高い精度での位置合わせを行った動的なプロジェクションによる拡張現実環境の構築が可能となっています。
また、拡張現実環境での位置・姿勢計測技術を用いて小型ロボットにプロジェクタなどの画像提示装置から映像を投影し実世界指向のゲーム環境を構築する研究や、実環境にあるディスプレイの位置に応じて、医療用の画像を任意の断層で表示するシステム、また未来の状態を把握しながら操作を行う事ができる距離画像カメラ搭載ロボットの遠隔操作インタフェースなど、様々な研究開発をおこなっています。
Q. 拡張現実環境を構築する上では私達のいる実環境とコンピュータの中の情報環境をどのような手がかりによって重ね合わせるかという事が非常に重要な研究要素になります。私達の研究室では、光センサーとプロジェクターを組み合わせる事によって空間構造化された輝度指標を使った計測の技術や、距離画像カメラを用いた画像処理に基づく計測の技術を基盤としながらAR環境の構築をおこなっています。
杉本研究室では、コンピュータの中で情報処理を行うことのみではなく、実環境での空間性を考慮したヒューマンインタフェースを構築することに主眼を置いて研究を進めています。また、計測技術と実時間でのユーザーとの相互作用を重視して、実環境と密接に連携した拡張現実環境を構築するための技術開発をしています。
Q. 私達の研究分野では情報と人が接する界面の設計を行っています。コンピュータやネットワークの中にある情報と、実環境が継ぎ目無く統合することによって、私達が普段の環境の中で自然に行動しているだけでコンピュータからの情報支援を受けられる、そんな未来を作っていきたいと考えています。
実環境と情報環境を密接につなぎ合わせる事により、"人と人"、"人と環境"の間での新しい相互作用:インタラクションの創成を目指す杉本研究室。
今後も私たちの生活する実環境とコンピュータやネットワークによって構成される情報環境が継ぎ目なく接続された拡張現実感環境を構築するべく、更なる研究開発を進めていきます。