斎藤研究室ではコンピュータービジョンとよばれる、コンピューターによる次世代の視覚情報処理の研究に取り組んでいます。普段、人間が視覚からの情報を頭で処理しているように、コンピューターでも三次元の画像認識を可能にし、それを駆使した新しい映像メディアの実現を目指しています。
Q「例えば将来、三次元テレビというのがどんどん普及していくと思う訳ですけれども、そのためにはですね、その撮ったものがもともと三次元であるわけですけれども、その三次元の映像が、三次元の形をですね、映像から推定しなければいけなくて、そういった推定する処理というのがこのコンピュータービジョン技術の一番重要なところになっていきます。で、こういった技術を使って三次元のコンテンツを上手く使えるようになるとですね、将来これから三次元テレビが皆さんが見れるものになってくということになります。」
三次元の映像情報を確立させることで、二次元の映像メディアを超えた、よりリアリティのある情報が得られるようになります。しかしながら、コンピューターに三次元の情報を認識させるということは、非常に難解な仕組みや精密さが必要とされます。
Q「えーっとそうですね普通の映像が入ってきた時にですね、その映像っていうのは単に色の二次元的な並びなんですけれども、この二次元的な並びからですね、そこに写っているのが人間なのか車なのかっていうことを認識することさえも実は難しくてそう言う風なことに実はぶちあたっていく訳です。実は一般的に見るとなんか簡単そうなんだけれど、良ーく考えてみるとそれはとても難しいと。そのギャップが難しい部分の一つかなと思います。」
このような研究の将来的な応用の一つとして、複合現実という技術が期待されています。現在インターネットの情報は膨大すぎるため、キーワードでの検索だけでは目的の情報になかなかたどり着けないことがあります。そこでもし複合現実が実現化されれば、携帯電話などのカメラで撮影した画像から自動的にその情報に関することが検索・表示されるので、的確かつ必要な情報に瞬時にたどり着けるのです。
この他にも斎藤研究室では、あらかじめマーカ付きの人間を撮影しておくことで衣服のテクスチャを置き換える仮想試着システム、画像上に直接演奏方法を提示し効率よく楽器の演奏練習が出来る演奏支援システム、瓦礫の下などに生き埋めになった生存者の有無及び三次元位置を調べるレーザー探知機の開発など、その研究の幅を広げています。
Q「我々がやっている技術がうまくいくとですね、おそらく何も考えずにもう見ただけでアクセス出来るとかですね。で、しかもアクセスされて来た情報が単なる文字とかそういう情報じゃなくて、もう映像情報そのもの三次元のボリュームをもった情報として伝わってくるので、その、インターネットを通して情報収集しているということさえも分からなくなってくるというか。もう何気なく普段から、自然体でインターネットの世界に入り込んでいくような、そんなことが我々の研究を通して実現出来るようなことも考えられるんじゃないかと思います。」
今後様々な応用が期待されるコンピュータービジョンによる三次元の情報処理技術。斎藤研究室ではこれらの研究を進めることで、より円滑に情報の収集を可能にする、新しい情報社会の土台を築いていきます。