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惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

原始惑星円盤におけるスノーラインの熱的不安定性【論文紹介】

次の動画:土星のリングを地震計として使った惑星内部構造探査(クロノサイズモロジー、土震学)【論文紹介】

概要

動画投稿日|2020年10月22日

動画の長さ|3:25

惑星形成を左右する重要なパラメータであるスノーラインの挙動はこれまで静的なものとして仮定されてきた。しかし物質と温度場の相互作用によって生じるフィードバックによって、スノーラインの位置が大きく変動しうることが示された。これによって近年観測された原始惑星円盤の多重リング構造を説明できるかもしれない。 (目次) 0:00 スノーラインとは 0:55 物質と温度場の相互作用 2:02 振動するCOのスノーライン 2:23 原始惑星円盤の多重リング構造 (参考文献) J.E. Owen. Snow lines can be thermally unstable. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, Volume 495, Issue 3, July 2020, Pages 3160–3174. https://doi.org/10.1093/mnras/staa1309 Maltagliati, L. The wild dance of snow-lines. Nat Astron 4, 554 (2020). https://doi.org/10.1038/s41550-020-1134-z (映像素材) 国立天文台 (NAOJ), ESO, ALMA, Woods Hole Oceanographic Institution (字幕全文) 惑星が誕生する前の原始惑星円盤では、中心星に近いほど温度が高く、 遠いほど温度が低くなるような、温度勾配が生じます。 そのため惑星円盤に充満するガスは、内側では気体になり、 外側では固体、つまり氷の状態になります。 このガスと氷の境界はスノーラインと呼ばれ、 惑星形成を左右する非常に重要なパラメーターです。 スノーラインの内側で形成する惑星は基本的に岩石が主体となりますが、 スノーラインの外側では岩石に加えて氷が豊富に存在するため、 形成される惑星は巨大化し、氷を豊富に含むような惑星となります。 そのため、スノーラインがどこに存在するかによって、 生まれる惑星の大きさや組成に大きな影響を与えるのです。 従来の研究では、スノーラインの位置は固定されているか、 中心星の形成によって徐々に外側に移動していくと仮定されていました。 しかし今年の5月12日に王立天文学会月報に掲載された論文で、 スノーラインの位置を仮定せずに、より現実的な物理過程を用いて、 スノーラインの挙動を調べた研究が発表されました。 この論文の本質は、円盤中の物質と温度が、 相互に作用するフィードバックを初めて検討したことです。 円盤の温度が下がってガスが凝縮すると、そこでガスが氷となります。 すると今度は生成された氷が光を吸収するので温度に変化が生じます。 温度が変化すると、またスノーラインが移動して、 ガスが凝縮したり、氷が昇華したりします。 このように物質と温度が互いに影響しあうことで、 スノーラインの位置が大きく変動しうるのです。 こういったフィードバックは従来の研究では考慮されていませんでした。 実際に解析的なモデル計算と数値計算を行ったところ、 非常に興味深い結果が得られました。 円盤の主要なガス成分であるCOやCO2、窒素、アンモニアに関して、 スノーラインが大きく変動することが示されたのです。 一方で惑星円盤の最も主要な成分であるH2Oについては、 あまりこういった効果は見られませんでした。 特にCOのスノーラインに関しては驚くべき結果となりました。 原始惑星円盤中で、COのスノーラインが、50AUから30AUの間で、 千年から一万年程度のタイムスケールで何度も行ったり来たりするような、 熱的に不安定な挙動を示すことがわかったのです。 こういった性質の発見だけでも驚くべきことですが、 この論文は近年報告された原始惑星円盤の観測結果を解釈する上でも 重要な役割を果たしていくでしょう。 数年前からアルマ電波望遠鏡で多重リング構造を持った原始惑星円盤が、 多数発見され始めています。 これまでの通説では、こういった多重リング構造は、 惑星形成によって生じたギャップだと解釈されてきました。 しかしこういったサブミリ波の観測では物質のトレーサーとして、 COの分布を観測しています。 したがって、今回の論文で示されたような、 COのスノーラインが円盤中を何度も往復するような現象でも、 こういった多重リング構造を説明できる可能性があります。 今回の論文は6月3日のネイチャー・アストロノミーで、 ハイライト研究として取り上げられたことからも、 従来の解釈に一石を投じる新しい仮説として、 今後注目されていくと考えられます。 それでは今回もご視聴いただき、ありがとうございました。 面白かったと思いましたら、ぜひチャンネル登録して頂けると嬉しいです。 それではまた。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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