国公立2次試験対策用に生殖をテーマにして遺伝問題を解説しました。(かなり難しい問題です。)是非チャレンジしてみて下さい!
※センター試験のみ必要な人は解く必要はありません。
以下問題文(図や表は除く(動画内で確認して下さい))
マウス精巣にある精原細胞は,隣接する支持細胞であるセルトリ細胞からの制御を受けて,自己増殖と精子形成へ向けた分化を行う(図1)。精原細胞,セルトリ細胞のいずれに機能異常が起きても精子形成は正常に進行しない。精子形成に関与する遺伝子を明らかにするために,雄マウスが劣性遺伝により不妊を示す変異マウス系統Aを調べた。その結果,不妊雄の精巣では精原細胞とセルトリ細胞は存在するが,精子形成へ向けた分化が行われていないことが明らかとなった。
問1 変異マウス系統Aと同様の表現型を示す変異マウス系統Bは,精原細胞に機能異常を示し,セルトリ細胞の機能は正常であることが明らかとなっている。変異マウス系統Bの不妊雄の精巣へ正常な機能をもつ精原細胞を移植すると,移植した細胞(ドナー細胞)は移植先の精巣(レシピエント精巣)に定着して精子形成が起こる。
同様の実験方法を用いて,変異マウス系統Aの不妊雄で精原細胞とセルトリ細胞のどちらに機能異常があるかを調べることとする。変異マウス系統Aの不妊雄が,(1)精原細胞に機能異常を示す場合,(2)セルトリ細胞に機能異常を示す場合,それぞれ表1に示すドナー細胞とレシピエント精巣のどの組み合わせで精子形成が起こることが予想されるか。解答欄(1),(2)に表1の(あ)~(う)から選び,記号で記せ。なお,変異マウス系統Aは精原細胞かセルトリ細胞のいずれか一方のみに機能異常を示すものとする。
問2 問1の実験により変異マウス系統Aの不妊雄では精原細胞に機能異常があることがわかったものとする。そこで,精原細胞で発現する遺伝子のゲノムDNA配列を調べた。その結果,変異マウス系統Aの不妊雄では常染色体上に存在する遺伝子Cのホモ接合変異(機能欠損型の対立遺伝子cのホモ接合cc)が見つかったが,同じ常染色体上に存在する別の遺伝子Dにもホモ接合変異(dd)が見つかった。ここで変異マウス系統Aの雌は遺伝子C,Dの両ホモ接合変異をもつ個体(ccdd)が繁殖可能であるものとする。
この雌(ccdd)と野生型雄(CCDD)を交配して子供(F1世代)を得た後に,F1世代のマウス同士を交配して次世代(F2世代)で遺伝子C,Dのホモ接合変異ccとddが分離した雄を得る計画とする。遺伝子C,D間の減数分裂時の組換え価が雌雄共に20%であるものとして以下の(1),(2)に答えよ。なお,F1,F2世代とも十分な個体数を用い,雌雄は同頻度で出生するものとする。
(1) F2世代のマウスのうち,遺伝子型がccとなる雄(遺伝子Dの遺伝子型は問わない)の予想される出現頻度を解答欄に百分率[%]で記せ。
(2) F2世代のマウスのうち,遺伝子型がccDDとなる雄の予想される出現頻度を解答欄に百分率[%]で記せ。
問3 問2の実験により変異マウス系統Aの不妊雄はいずれも遺伝子型ccであったものとする。そこで,新たに野生型マウスのゲノムに人為的に遺伝子C(トランスジーンCとする)を組み込んだトランスジェニックマウスを作製した。その結果,以下に示す染色体にトランスジーンCがそれぞれ1箇所組み込まれたトランスジェニックマウス系統1~3が得られた。
系統1 野生型遺伝子Cが存在する染色体とは異なる常染色体
系統2 野生型遺伝子Cが存在する染色体と同じ常染色体
系統3 Y染色体
トランスジーンCはどの染色体に組み込まれても野生型遺伝子Cと同等に機能するものとする。トランスジェニックマウス系統1~3の雄(遺伝子型CCに加えてトランスジーンCがゲノム全体で1箇所組み込まれた個体を用いる)と変異マウス系統Aの雌(遺伝子型ccでトランスジーンCをもたない個体を用いる)を交配してF1世代の子供を得た後に,各トランスジェニックマウス系統ごとにF1マウス同士を交配して,F2世代の雄を解析した。その結果,F2世代で遺伝子型ccとなる雄はいずれもトランスジーンCをもつ場合にのみ,精子形成が回復して繁殖可能であった。
トランスジェニックマウス系統1~3に由来する各F2世代について,遺伝子型ccの雄のうち,繁殖可能な個体の予想される出現頻度を求めよ。ただし,系統1については分数で解答欄(1)に,系統2と系統3については百分率[%]でそれぞれ解答欄(2),(3)に記せ。なお,トランスジーンCをもつ個体は雌雄共にすべて繁殖可能であり,減数分裂時の組換えは考慮しないものとする。
出展:京都大学2015