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惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

限定的核戦争と気候モデル【論文紹介】

次の動画:原始太陽系に起こった謎の大激変【後期重爆撃仮説】

概要

動画投稿日|2020年5月8日

動画の長さ|5:32

近年、新興の核保有国による小規模な核戦争の危険性が叫ばれています。こういった限定的核戦争が起きた場合、地球にどのような影響が出るのでしょうか?最新の気候モデルの研究を、研究者の視点で解説します。 (目次) 0:00 核戦争と地球惑星科学 0:41 核の冬 1:22 新興の核保有国による脅威 1:44 印パ核戦争の危険性 2:07 気候モデルによる予測 2:47 ミニ核戦争が世界にもたらす影響 3:40 ロスアラモスの反撃 4:10 核爆発のモデル化は困難 4:55 おわりに (参考文献) 1. Jägermeyr, J. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA https://doi.org/10.1073/pnas.1919049117 (2020). 2. Lovenduski, N. S. et al. Geophys. Res. Lett. 47, 3 (2020). https://doi.org/10.1029/2019GL086246 3. Turco, R. P., Toon, O. B., Ackerman, T. P., Pollack, J. B. & Sagan, C. Science 222, 1283–1292 (1983). https://science.sciencemag.org/content/222/4630/1283 4. Toon, O. B. et al. Sci. Adv. 5, eaay5478 (2019). https://advances.sciencemag.org/content/5/10/eaay5478 5. Yu, P. et al. Science 365, 587–590 (2019). https://science.sciencemag.org/content/365/6453/587 6. Reisner, J. et al. J. Geophys. Res. Atmos. 123, 2752–2772 (2018). https://doi.org/10.1002/2017JD027331 7. Robock, A., Toon, O. B. & Bardeen, C. G. J. Geophys. Res. Atmos. 124, 12953–12958 (2019). https://doi.org/10.1029/2019JD030777 8. How a small nuclear war would transform the entire planet https://www.nature.com/articles/d41586-020-00794-y 【画像素材】 Pixabay, Lawrence Livermore National Laboratory, 広島平和記念資料館, Space Engine 【字幕説明】 核戦争と惑星科学。 SFのようなテーマですが、実は密接な関係があります。 天体衝突による爆発や、火山や山火事から発生するすすは、 核兵器の爆発と似たような物理現象であり、 実は地球惑星科学と非常に関連が深いのです。 広島、長崎で原爆が使用されて以来、放射能が人体や生命に 重大な影響を及ぼすことは生物学的観点から重点的に研究されてきました。 しかし核兵器によって地球の気候にどれだけ影響が出て、 生態系や経済活動に具体的にどう悪影響がもたらされるのか、 実はまだ解明されてない点が多いのです。 冷戦時代に米ソの2大国が核戦力増強に励むなか、 全面核戦争が地球の気候に破滅的な影響を与えることを 初めて世界に訴えたのが、伝説的な惑星科学者 カール・セーガンでした。 1983年にサイエンス誌に掲載された論文でカール・セーガンらは、 気候モデルの計算から、核兵器によって巻き上げられたすすが地球全体を覆い、 数か月間にわたって「核の冬」が訪れると警告しました。 その後、別のグループがネイチャー誌に掲載した論文で、 ここまで極端な寒冷化効果は起きないことが示されたものの、 こういった研究者からの説得力あるデータは、 冷戦末期に米ソが核戦力を縮小する一つのきっかけとなったのです。 冷戦後、超大国が全面的に衝突する核戦争の確率は下がりましたが、 一方で現在新たな脅威が生まれつつあります。 それが、新興の核保有国による、より小規模なスケールの核戦争です。 現在進行形で核兵器開発を進める北朝鮮やイランの例はもちろん、 研究者が特に懸念しているのはインド・パキスタンの軍事衝突です。 カシミールを巡って何度も戦火を交えてきたこの2か国は、 どちらも核兵器を200発以上保有しており、偶発的に核が使用される可能性も 決してゼロではないと指摘されてきました。 そこで研究者らは、もし印パの間で小規模の核戦争が勃発した場合に、 世界の他の地域に、どのような影響がもたらされるのか、 詳しく予想しようとしました。 このような研究を引っ張ってきたのが、 コロラド大学とラトガース大学の気候モデルのグループでした。 彼らは印パ両国がそれぞれ広島級原爆を100発打ち合った場合に、 発生したすすがどのように地球環境に影響するのか計算しました。 ここでポイントとなったのが、巻き上げられたすすの挙動です。 2017年にカナダで発生した大規模な山火事では、 煙が太陽の日射によって加熱され、従来の予想よりもより高い高度に すすが到達して、広い範囲に長期間にわたって滞留するという これまでの常識を覆すような現象が確認されました。 彼らはこの効果をモデルに取り込むことで、より精度良く爆発の現象を 再現することにしました。 その結果、たとえ小規模の核戦争であっても、巻き上げられたすすが 地球全体を覆い、10年間にわたって世界の平均気温を5℃程度 低下させることがわかりました。 それによって世界の食料生産や生態系にも 大打撃をもたらすこともわかりました。 これは、戦地から遠く離れた日本にとっても他人事ではありません。 例えばScience Advancesに掲載された論文では、 食物連鎖の底辺を支える植物やプランクトンの基礎生産が 日本でも3割も減ることが示されています。 また米国科学アカデミー紀要に掲載された論文では、 人類の主食である小麦やお米、とうもろこし、大豆の生産量に どう影響が出るのか詳しく調べています。 その結果、寒冷化と降水量の減少によってウクライナやロシアの穀倉地帯の 生産量が壊滅的に減少し、日本でも北海道の農業が大打撃を受けることが 報告されました。 このように小規模の核戦争でも全世界に深刻な影響を与えることが 気候モデルによって具体的に裏付けられたことは、大きな反響を呼びました。 一方で、これらの研究に真っ向から反対するグループもいます。 その中心が、アメリカにおける核兵器開発のメッカ、 ロスアラモス国立研究所のグループです。 彼らは独自の気候モデルの計算によって、 コロラド大やラトガース大が主張する、 すすが上層大気まで巻き上げられるような現象は起きず、 寒冷化はあまり起きないと反論する論文を出版しました。 両者のモデルの本質的な違いは、 爆発現象をどれだけ正確に計算できているかの違いにあります。 核爆弾が起爆したとき、内部では非常に複雑な熱化学反応が進行します。 しかしこういった反応はあまりにも複雑であり、 モデルで全てを計算することはできず、様々な仮定が入ってきます。 そのため、反応モデルが異なると、 核燃料から生成される最終的なすすの量が変わってきます。 ロスアラモスのグループは、自分たちのモデルのほうが正しく反応過程を 模擬できていると主張し、核の冬は起きないと報告しました。 しかしこれに対して、コロラド大・ラトガース大のグループは即座に 反論コメントを雑誌に掲載し、ロスアラモスのグループの計算の おかしい点を指摘しています。 このように現時点でまだ結論は出ていませんが、ミニ核戦争がもたらす脅威を 正しく評価しようという機運が高まっているのは事実です。 我々研究者の仕事は、できるだけ正確なデータを国民や政策立案者に提供し、 核兵器の脅威を正しく議論してもらうことにあるのです。 それでは今回もご視聴ありがとうございました。 面白かったという方は、ぜひチャンネル登録をお願いします。 皆さんのご支援が、次回の動画を作成する時の、大きな励みとなります。 また、内容についてご意見がある方は、コメント頂けると幸いです。 どうそ、よろしくお願いします。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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