参考書なんていくら持っててもいいですからね
どうもフジです。
今回は「参考書はたくさん買っていいのか?それとも1冊に絞るべきか?」というテーマについて考えていきます。
「参考書は1冊に絞って極めろ」というアドバイス、みなさんよく耳にされるかと思いますが、これは間違いないと思います。ただ、その“正しさ”の意味を取り違えると、むしろ非効率な学習を引き起こす可能性すらあると私は考えています。
結論から言えば「たくさんの参考書に触れたうえで、自分に最適な1冊を選びきって極める」のが正解。つまり“複数の参考書を買って試すこと”が必要不可欠なプロセスである、参考書はたくさん買わなきゃいけない、というのが私の主張です。
「1冊に絞るべき」は正しいのか?
多くの人が耳にしたことがあるであろう「参考書は1冊に絞って完璧に仕上げるべきだ」というアドバイス。これは非常に合理的です。「あれこれ手を出すとどれも中途半端になる」「迷わず繰り返す方が定着する」といった理屈は本当にその通りで、私も経験的に正しいなあと感じます。勉強は“習熟”が成果を決める分野ですからね、同じ教材を何度も繰り返すことに意味があるのは間違いありません。
しかしここで見落とされがちなのが、「どの1冊を極めるのか?」という選定プロセスの重要性です。
もしあなたが手に取ったその1冊が、自分にとってベストな参考書でなかったとしたら…。そのまま信じてやり続けた場合、学習の効率は大きく落ちてしまいますよ。それでも「1冊を極めたから偉い」と言えるでしょうか?
「1冊に絞るべき」というアドバイスは、最適な1冊を選び出せていることを前提にした話なのです。その選定を疎かにしているにもかかわらず、「最初に決めたから」「先生が配ったから」という理由だけで突き進むのは、むしろリスクの高い判断と言えるのではないでしょうか。
最適な参考書を見つけるために必要なのは“比較”というプロセス
ここでひとつ確認しておきたいのは、どんなに有名な参考書でも、万人にとってベストな教材ではないという事実です。教材には、難易度の設計、説明の粒度、レイアウトや構成、演習問題の質など、さまざまな設計方針があります。そしてこれらは、学習者のレベルや好みによって“合う・合わない”が大きく変わってくるんですよね。
たとえば、数学で配られた青チャートを使っていた生徒が「なんとなく難しい」と感じたとします。それは決してその人がダメだってわけじゃなく、より適切な教材、たとえばFocus Goldや、基礎問題精講のような教材の方がフィットしていた可能性があるってことなんですよ。にもかかわらず、「最初に手に取ったから」という理由でそのまま青チャートを使い続けたらどうでしょうか。理解のスピードは上がらず、挫折のリスクも高まるはずです。
ここで必要なのが「比較検討」です。
複数の教材に触れてみることで、自分にとっての最適解を選び取る。このプロセスを経たうえで1冊を極めるのと、なんとなく最初の1冊を使い続けるのとでは、学習の質に雲泥の差が出ます。選択肢を比較し、その中から納得して選んだ教材は、途中での迷いや疑念が圧倒的に少なくなります。その“選びきるための比較”こそが、参考書をたくさん買うことの最大の意義なのです。
中途半端で終わらせないためにあえて複数に手を出す
複数の参考書を購入してそれらに触れることは、“中途半端にしないための下準備”にもなっています。
どんな参考書でも、1冊をきっちり完走するには、それなりに強い意志とモチベーションが必要です。その途中で、「これで本当にいいのか?」「もっといい教材があるんじゃないか?」といった迷いが生じると、モチベーションは一気に失速します。そしてこの迷いは「他の選択肢を知らないこと」に起因する場合が多いってわけです。
最初の段階で他の参考書もざっと見ておき、「この1冊が自分に一番合っていた」と納得して選んだ人は、その後の継続が非常に安定します。たとえば英単語帳を例に取れば、鉄壁・シス単・速単・ターゲットなどを一度は開いてみたうえで「やっぱり鉄壁が自分には合う」と感じた人は、途中で浮気することなく最後までやり切れる可能性が高くなるでしょう。迷いが少ないから集中できる。集中できるから定着する。これは学習における非常に重要な好循環です。
「最終的には1冊に絞るべき」は本当だが選びきった末の1冊であれ
誤解してほしくないのは、私は「複数の参考書を並行して全部やれ」と言っているのではないという点です。大事なことなので文字を大きくして書いておきますが、最終的には1冊に絞ってそれを徹底的に使い込むべきだと考えていますよ。私がここまで話してきたのは、その1冊が“自分で選びきった1冊”であるべきだって話です。
参考書をたくさん買う行為は、一見すると無駄に思えるかもしれません。ですが、それは「無駄に終わらせたとき」だけです。最適な1冊を見極めるためのプロセスとして活用できれば、それは極めて価値ある投資になります。
大切なのは、たくさんの参考書を買うことでもなければ、無理やり1冊にこだわることでもありません。自分の目で選び、自分の意思で決断し、その選んだ道を信じて進むこと、それこそが、受験における“正しい努力”を可能にする土台です。
というわけで今回は以上。




