2025年の共通テストが終了しました。受験生の皆さんはお疲れ様でした。
この記事では今年から加わった「情報Ⅰ」について、試験問題を読み解き出題の意図を紐解くとともに、今後受験する方がどのようなことを学ぶべきか考察していきます。
(※解答というより、何を問いたかったかに焦点を当てます)
各問の詳解
第1問
第1問は4つの問いに分けて作問されていました。
問1では「デジタル署名」「IPアドレスの枯渇」が取り上げられました。
いずれも社会における情報空間上での問題への対応ということになり、
実社会において実践的に役立つテーマとしての出題と考えられます。
問2では「7セグメントLED」の問題が出題されています。
まずは情報において欠かせない「2進数」の考え方を確認したうえで、
エラーコードの種類をカバー出来るLEDの数についての出題を行っています。
後者の問いにおけるポイントは何個あれば想定されるエラー数を表示しきれるか、という観点で問いが行われていることで、
〇〇個部品があった場合に何種類のエラーを表示できるか?ではなく、
「5000種類のエラーを表示しなければならない」という前提の中で何個部品を調達するか?という実践的な問いに仕上げてあります。
解き方としては数学的な考え方になるわけですが、数学が実社会で役立つというところをわかりやすく示しているとも言えるかもしれません。
問3のテーマは「チェックディジット」です。
バーコード等にも付与される誤りを検出する符号の話です。
きちんと問題文を読めば計算自体は可能かと思います。
スムーズに問題に取り組むためには、
仕組みそのものが実際にどうなっているか、というより「こういった仕組みが世の中にある」という知識を持っておくことが重要です。
問4のテーマは「情報デザイン」です。
いわゆる「UI/UX」と言われる部分で、問題にしてしまうと少し平易になってしまいますが、実践的には重要な内容と言えます。
ただし、問題文がやや難解な表現となっている印象があるため、少し混乱した受験生も多かったかもしれません。
以上、第1問について各問を見てきましたが、
一貫しているのは、きわめて実践的な内容を取り上げているということです。
これを踏まえると、日頃触れている情報機器やソフトウェアに対して
「なぜこのようにデザインされているか」「どういった仕組みでシステムが動いているか」といった考え方を持つことが大事と言えるでしょう。
第2問
第2問はAとBの二部構成でした。
Aでは、「レシート」をテーマにその後側で動いているシステムについての問題が出題されています。
実店舗とECの両面で展開しているスーパーをテーマにしており、
どこまで具体的にシステムの動きをイメージ出来ているかによって難しく感じるか易しく感じるか分かれる内容となっています。
特に会員情報の「対応付け(紐付け)」や「レコメンド(推薦)」の仕組みとして必要な要件を問うなど、第1問に引き続きかなり実践的な内容の印象です。
このような問題に対応するためには
「サービスに登録することによって情報がどのように流れるか」といったことを意識しておくことが大切であり、
現代では様々なサービスに登録することがある中で、その後側ではどのような仕組みが動いているかについて解説・指導することが重要と考えられます。
Bでは、「乱数を用いたシミュレーション」の問題が出題されました。
どうしても数学的な要素が強くなってしまいますが、表1において吹き出しで解説が記述してあるなど、可能な限り数学の得意・不得意による差を排除しようという意図が感じられます。
この問題は実践的な内容というよりも、「繰り返し処理」によるシミュレーションという情報科学ならではのアプローチについての問いとなります。
よって、来年以降も「シミュレーション」が出ると考えるというよりは、こういった「情報科学ならではのアプローチ」の他の例は何なのかを考えることが重要と言えるでしょう。
第3問
第3問は3つの問いに分かれており、専らプログラミングについての問題となります。
問1では、まず、「手作業で考えた場合」を示し
問2でそれをプログラミングに落とし込み
問3でさらにプログラミングによって追加で新しいことを出来る、というシナリオ構成となっています。
いわゆるアナログな作業をプログラミングに落とし込むことによるメリットを問題の中で提示し、改めて理解してほしいという意図になるかと思います。
正答するためにはシンプルに「アルゴリズム」に対する考え方のイメージを掴めていれば良いということになります。
そのイメージを体得する上でおそらく最も近道なのは
Python / JavaScript等のプログラミング言語でプログラムを組むスクリプトを作成すること、となりますが
コードの部分は日本語も混ざっていることもあり、ビジュアルプログラミング言語によるトレーニングでも対応出来るように見受けられます。
この第3問が最も「情報らしい」問いと言えるかもしれません。
また、汎用性も高いことから同様の問題が今後も出題されると見込まれますので、
受験するまでに「アルゴリズムを組み立てる」感覚を掴んでおくことが重要となります。
第4問
第4問は4つの問いに分かれています。「データサイエンス」に関する問題で、旅行者数に関する「データの可視化」についてです。
問1では名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度の4つの尺度の理解について問うてから
棒グラフ・帯グラフの解釈について出題されています。
グラフの読み解きについては他の科目でも求められることが多いことから苦戦することはないかもしれませんが、
尺度については事前に知識として持っていないと正答は少し難しいかもしれません。
このように、一部「知っていないと難しい」内容が存在することに注意が必要です。
ただし、量は限られているので、受験前にそれらの内容を復習しておけば問題無く対応出来るかと思います。
問2・問3・問4では散布図と相関係数から得られる情報を読み解く問題が出題されています。
問題そのものとしては図を読み解くことが全てとなりますが、
文脈としては「興味をもって分析をさらに掘り下げていく」というものになっており、
社会において求められるデータ分析の方法についての出題となっています。
「可視化することによってデータをもとに判断を行う」ことが出来るかどうかを問われていますが、
こういったデータ分析は実社会でも多く行われていることから、やはり実践的な内容ですね。
これらを踏まえたポイント
第1問・第2問Aともに身近な内容をベースにした作問が行われているのが特徴でした。
第4問も「データ」に関する問題とはなっていますが、社会人となってからも求められるようなスキルについての出題となっています。
一方、いわゆる「情報」の考え方についての出題となったのは、第2問Bおよび第3問と少し限定的になっていました。
これらの問題はいずれも今後題材を変えて同様の出題が出来る構成となっているように思います。
今後対策を行うとすれば
・たとえば「QRコードによる決済アプリはどのように動いているか?」など
継続して実践的、かつ、身近な内容への理解を深めること
・「シミュレーション」に代表される情報科学特有のプローチや、
プログラミングにおける「アルゴリズム」のイメージを掴むこと
・情報機器やデータに関する用語を最低限抑えておく
この3点を意識して勉強していけば問題無いです。
まとめ
本記事では今年からはじまった共通テスト「情報Ⅰ」について見てきました。
対策に苦労された受験生も多かったのではないかと思いますが、
問題としては文章を正しく読み解けば解けるものも多く、ホッとされたのではないでしょうか。
来年もまったく同じ難易度となるかどうかは未知数ですが、
情報についての知識は社会に出たときにすぐに役に立つものも多いですし、試験勉強のための勉強に留まってしまうのは少し勿体ないです。
指導される方も、学ぶ方も、「楽しく実践的になるよう」扱っていけると良いですね。
来年以降受験される方は、日頃からスマホやパソコンに触れる際にその仕組みに意識を向けておくだけで大きく変わってくると思いますので
ぜひ広い視野で様々なことを学んでみると良いかと思います。
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