カーボンニュートラル
概説
「植物を燃やして出た二酸化炭素は、植物の光合成によって取り込まれた二酸化炭素に由来するため大気中の二酸化炭素の総量は長期的には変化しない」という考え方。
温暖化の原因
地球温暖化の原因は、温室効果ガスの排出。その中でも二酸化炭素の影響が大きい。
「地球温暖化は大気中の二酸化炭素濃度の上昇が原因である」
という立場に立ち、この問題を考えていこう。
「大気中の炭素量」に着目する
大気中の二酸化炭素濃度は上昇の一途を辿っており、直近200年で二酸化炭素濃度は0.01%上昇した。
この二酸化炭素はどこから来たのだろうか?
二酸化炭素は、炭素が燃焼することで生じる。
化石燃料は、炭素と水素でできている。例えばガソリンの主成分はオクタン、化学式はC₈H₁₈で、炭素が大量に含まれている。
つまり、化石燃料を燃やすという行為は、
「地下に埋まっていた炭素を大気中に放出する行為」
であると言い換えられる。
人類は、化石燃料という形で地中に蓄えられていた炭素を大気中に放出することで二酸化炭素濃度を上昇させている。
炭素の吸収・固定
植物が行っている光合成を、化学式で書くと以下のようになる。
6CO₂ + 12H₂O → C₆H₁₂O₆ + 6O₂ + 6H₂O
炭素原子に注目すると、大気中の二酸化炭素として存在していたC原子は、グルコースとして植物の体内に取り込まれる。グルコースは植物の身体の材料として用いられ、植物体を構成する。
大気中から取り込んだ二酸化炭素から取ってきた炭素分子で植物の身体は構成されているのです。
こうして、炭素は空気中から植物体内に移動しました。これを炭酸同化(炭素同化)と言う。炭素を固定するとも言う。
炭酸同化が行われると、グルコースになった分の二酸化炭素が大気中から除去されるため、大気中の二酸化炭素濃度は低下する。
カーボンニュートラル
では次に、植物を燃やす場合を考えてみよう。
植物の身体は、光合成で作られたグルコースをもとに作られている。つまり、植物を構成する炭素は全て大気中の二酸化炭素に由来する。
グルコースが燃えると、グルコース中の炭素が二酸化炭素となって大気中に還っていく。
つまり、植物を燃やしても、それによって放出された二酸化炭素はもともと大気中にあったものなので、長期的な二酸化炭素濃度は変化しない。
これが、カーボンニュートラルの基本的な考え方。
もちろん、新たに植物を植えなおさないと炭素は大気中に放出されたままになって二酸化炭素濃度は上がってしまうため、伐採後の植林は必要。
バイオエタノール
カーボンニュートラル理論を用いた、最たる例がバイオエタノール。