## 概要
電磁波が、波動としての性質だけでなく粒子としての性質も持つことに対し、ド・ブロイは、電子のような粒子だと考えられているものも波動の性質を持っているのではないかと考えた。このように物質が波動として振るまうときの波のことを**ド・ブロイ波**もしくは**物質波**という。

また、質量 $m$、速さ $v$、運動量 $p=mv$ の粒子のド・ブロイ波としての波長は次の式で与えられる。
$$
λ=\frac{h}{p}=\frac{h}{mv}
$$
この式は光子の運動量を与える式 $p=\frac{h}{λ}$ と等価であり、この関係式によって物質としての性質と波動としての性質が結びついていると考えられる。

### 例
日常的なスケールの例として、質量 $1\space\mathrm{kg}$, 速さ $1\space \mathrm{m/s}$ の物質のド・ブロイ波長を求めてみると
$$
λ=h=6.6\times10^{-34}
$$
と原子のサイズと比べても非常に小さい値となる。このことから日常で物質の波動性を観測できないことは納得できるだろう。


次に、$100\mathrm{V}$ の電圧で加速された電子のド・ブロイ波長を求めてみよう。電子の質量はおよそ $9.1\times10^
{-31} \space\mathrm{kg}$, 電気量は $1.6\times10^
{-19} \space\mathrm{C}$である。

$$
\begin{align}
\frac{1}{2}mv^2&=eV\\\\
\therefore mv&=\sqrt{2meV}
\end{align}
$$

代入して
$$
\small\begin{align}
λ&=\frac{6.6\times10^{-34}}{\sqrt{2\times9.1\times10^{-31}\times1.6\times10^{-19}\times100}}\\\\
&=1.2\times10^{-10}
\end{align}
$$
これは原子やX線と同程度であり、ミクロな世界では波動性を観測できると考えられる。

ド・ブロイ波長

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