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金属結合


概要

「金属結合」とはその名の通り、金属元素同士が作る結合のこと。電子が好きじゃない(電気陰性度が小さい)金属が集まっているから、最外殻電子が放り出されて自由電子になっています。

金属結合_1.png

自由電子があることで金属結晶は、

  • 電気・熱伝導性が高い
  • 金属光沢がある
  • 展性・延性がある

などの性質を持ちます。

詳細

金属結合

原子はオクテットの状態が安定であり、電気陰性度の小さい金属元素は最外殻電子を他人に押し付けたがります。そんな金属たちが集まると、みーんな電子を押し付けあうけど結局誰も電子を受け取らず見て見ぬ振り状態になります。

金属結合_2.png

このようにして結果的にたくさんの原子でたくさんの自由電子を共有する結合が金属結合です(*注1)。

金属結晶の性質

(1)電気・熱伝導性が高い

自由に動ける電子がいるので、電圧をかけると自由電子が移動して電流が流れます。また、電子の運動エネルギーという形で熱も伝わりやすいです。

(2)金属光沢がある

金属に光沢があるのは日常生活でもよく体感しますね。仕組みは超難しいですが、かなり雑にいうと自由電子にはあらゆる光を反射する能力があるから、という感じです(*注2)。

(3)展性・延性がある

展性は叩いたりして圧縮すると変形する性質、延性は引っ張ると変形する性質です。たとえば、金を叩いて伸ばした金箔・銅を引き伸ばした銅線・鉄を叩いて作る日本刀などは展性・延性が利用されています。

きっちりと原子間で電子を共有する共有結合やクーロン力でガチっと固まるイオン結合と違い、たくさんの原子がたくさんの電子を共有する金属結合では、多少原子の位置がずれても問題ありません。だからバキっと割れたりせずに伸びたり広がったりできるわけです。

金属結合_3.png

補足

  • かないTeachannelさん・受験メモ山本などの動画でも詳しく説明されています!
  • (*注1)原子の量子力学的な性質を加味して金属結晶を考えるのがバンド理論です。「電子を押し付け合う」とか「見て見ぬ振り」とかはイメージしやすいように言いましたが、もっと原理的に知りたい人は勉強してみるといいかもしれません。
  • (*注2)物理の原子分野を勉強した人なら、水素がある特定の色の光を出すことを知っていると思います。これはたとえばK殻とL殻のエネルギーの差分に相当する光が出るため、いつも波長が一定の値になるというのがあります。 一方、金属結晶は(常識的な範囲で)あらゆるエネルギーを吸収・放出できます。だから光を吸収してそのままもう一度放出することで金属光沢が出てくるわけです。ではなぜ金属結晶でそのような性質を持つかというと、これを考えるためにもバンド理論が必要になります。大学の固体物性の授業を楽しみにしておきましょう。

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