電流
概要
電荷の流れを電流という。まずは向きと大きさを定義しよう。
正電荷は高電位の側から低電位の側へと移動し、負の電荷は逆向きに移動する。そこで、正電荷が流れる向きを電流の向きと定義する。
さらに、導体の断面を単位時間(
つまり、時間
となる。さらっと書いたが、電流の単位はアンペア
これで、向きと大きさの定義が完了した。
この電荷との関係はとても大事で、時間をどんどん短くしていくと、
となり、電流は電荷の時間微分となることが分かる。これはややこしい回路の問題を解く上で、とても大事な式となる。
(細かい補足)
ここでは、電流の強さを
このとき、例えばコンデンサーの充電中に、極板に溜まっている電荷を
そうすると、正の向きが揃うので、絶対値を外して
と書けることになる。
発展
ややこしいのが、電流というのは通常、原子核に束縛されない自由電子(化学の金属結合で出てくるやつ!)の流れのことであり、自由電子は負の電荷を持つので、実際に導体内で起こっている自由電子の流れと、ここで定義される「電流の向き」は逆になる。
ここが本当にややこしいので、下の例を通して理解してほしい。
【問】断面積
【答】まず、電流の向きを考える。定義から、正電荷が流れる向きが電流の向きなので、負の電荷である自由電子の動く方向とは逆向きが電流の向きとなる。
では、電流の強さ
となる。
となる。よって、電流の強さの定義から、
と求められる。
「え、でも電子って加速されるから、
補足
これまでの単元では、電荷の移動がなく固定された電荷分布を考えていて、つまり静電気学がメインであった。ここからの単元では、電荷が動く、つまり電流についても考察できるようになっていく。
歴史的には、
また、電流の単位について、実は
それまでは、「
と定義する。この定数を用いると、
となり、
通過したときの電流と定義されることとなった。これから分かる通り、
という単位間の関係式が成り立つ。これは電流の強さの定義(単位時間あたりの通過する電気量)からも納得できる。