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惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

恒星間天体が太陽系に飛来する確率【論文紹介】

概要

動画投稿日|2020年1月26日

動画の長さ|8:58

2017年に初めて観測された恒星間天体。恒星間天体が太陽系に飛来する確率はどのぐらいあるのでしょうか? 最新の研究から驚くべき事実がわかりました! (参考文献) Capture of interstellar objects: a source of long-period comets. T.O. Hands & W. Dehnen (2019) Monthly Notices of the Royal Astronomical Society: Letters, slz186. https://doi.org/10.1093/mnrasl/slz186 【音楽素材】 https://www.bensound.com/ 【字幕説明】 みなさんこんにちは。学校で教えてくれない今どきの惑星科学の話をします。 本日紹介するのは、2020年1月7日に、イギリスの王立天文学会月報に掲載された、恒星間天体に関する論文です。 恒星間天体とは太陽系の外から飛来した天体のことです。私たちの地球や、太陽系内の惑星は、小惑星や彗星も含め、みんな太陽の周りをまわる軌道を持っています。そのため軌道は必ず円軌道か楕円軌道になります。一部の彗星はとても細長い楕円軌道を持っていて、周期が200年以上になるものを「長周期彗星」と呼びます。現在確認されている最も長い周期をもつ彗星は、「ウェスト彗星」で、その周期は何と、少なくとも25万年以上と見積もられています。こういった彗星は、太陽系の最も外側の領域である、「オールトの雲」から来ると考えられています。 これに対して恒星間天体は、オールトの雲のさらに外から来る全く別の天体です。太陽系に一度だけ飛来した後は、外に飛んでいき、二度と戻ってくることはありません。こういった恒星間天体がまれに太陽系内に飛来するとは予想されていましたが、つい最近まで実際に確認されたことはありませんでした。 しかし2017年に、観測史上初めて、恒星間天体が発見されました。この恒星間天体は「オウムアムア」と名付けられ、世界的に大きなニュースとなりました。この時点では、恒星間天体がいったいどれぐらいの頻度で太陽系内に飛来するかわかっていませんでした。恒星間天体が飛来するということは、1億年に1回というような、もの凄くレアな現象なのか、あるいは数千年に1回程度起こる現象なのか、誰も全く見当がつかなかったのです。しかし、つい最近になって事態は大きく動きました。 2019年に史上2個めの恒星間天体「ボリソフ彗星」が観測されたのです。これによって、恒星間天体の飛来は、ものすごくレアな現象ではなく、ある程度の頻度で起こりうることが明らかになったのです。 このことは、長周期彗星に関する新しい疑問を投げかけたのです。人類がこれまで発見してきた長周期彗星の中には、実はもともと太陽系の外に起源をもつ恒星間天体であったものが、太陽系の内側に飛来してきたときに、太陽や惑星の重力に捕まって、長周期彗星となったものが含まれている可能性が出てきたのです。これまで太陽系で生まれた天体だと思っていたものが、実は外から来た天体であったというのです。それでは、具体的にどれぐらいの確率で恒星間天体は太陽系の重力に捕らえられて、彗星となるのでしょうか? チューリッヒ大学とミュンヘン大学の研究者がこの問題に取り組みました。恒星間天体の飛来する確率を計算するには、天体同士の重力による相互作用を計算する必要があります。この問題は、ニュートンやラプラスの時代から考えられている、非常に古典的な問題です。2つの物体間に働く万有引力の計算方法は、皆さん高校の物理で教わったかと思います。しかし、物体が3つ以上になると簡単な式で解くことはできなくなり、さらに1000個や1万個のような多くの物体の引力を計算しようとすると、コンピューターで計算する必要が出てきます。惑星科学では、このような多体系の重力計算を、N体計算と呼びます。今回紹介する論文では、コンピューター上で仮想の恒星間天体をおよそ4億個作り、その軌道を計算しました。そして、太陽と惑星の重力によって捕らえられる確率を計算しました。この論文では計算を高速化するために、GPUを用いた計算プログラムを構築したそうです。 その結果、恒星間天体が4億個あった場合、長周期彗星として捕獲されるものが19万2千個、周期が200年以下の短周期彗星として捕獲されるものが965個あることがわかりました。これによって、1km以上サイズの彗星タイプの恒星間天体が捕獲される確率は100万年に12個、1km以上のサイズの小惑星タイプの恒星間天体が捕獲される確率は100万年に1200個、オウムアムアのような小さい岩石型の天体が捕獲される確率は、100万年でおよそ1万個、となることがわかりました。 また、恒星間天体が多く存在する領域がどこにあるかも計算されました。この図は太陽からの距離と、天体が存在する確率を示しています。青い線がこれまでに発見された長周期彗星の分布、そしてオレンジの線が今回計算された恒星間天体の分布です。この図から研究者たちは、恒星間天体を発見するためには、0.5天文単位の内側と、5.2天文単位の付近を観測したほうが良いと述べています。それぞれ、水星の軌道と、木星の軌道付近に対応します。 今回推定された恒星間天体の捕獲確率から、今現在太陽系に捕獲された恒星間天体の数を推測することができます。その結果、1km以上のサイズのボリソフ彗星のような天体についてはおよそ100個、オウムアムアのような小さな岩石型の天体だと10万個の恒星間天体が、太陽系内に存在するという予想が得られました。しかし実際には太陽系の彗星や小惑星は、他の惑星や太陽に衝突して破壊されたり、太陽系の外側に弾き飛ばされたりして、失われるものも多いのです。こういった力学的寿命が短い天体を除くと、恒星間天体の数は、彗星タイプで約20個、オウムアムア・タイプで20000個程度と計算されました。 このように私たちの太陽系内には、太陽系外から来た天体が多数存在している可能性があることがわかりました。そのうち、人類が観測可能な恒星間天体はいくつぐらいあるのでしょうか?多くの彗星は太陽から6天文単位以内、およそ木星の軌道より内側に来ると、太陽からの放射熱によって表面が蒸発し始め、明るく光ります。彗星が光はじめると望遠鏡で観測可能となります。そのため観測可能な範囲に存在する恒星間天体の確率を求めると、およそ0.033%となることがわかりました。これに先ほど求めた、太陽系に存在する全ての恒星間天体の数をかけてみましょう。すると、観測可能な彗星タイプの恒星間天体は0.0066個、オウムアムア・タイプの恒星間天体は6.6個となります。この数字を見て、みなさんいかがお考えでしょうか?ボリソフ彗星のような恒星間天体はものすごくレアな天体で、一方でオウムムアのような恒星間天体はある程度の頻度で観測されることが期待できるということです。 そして本研究で得られた結論から、さらに重要なことが示されています。それは、私たちがこれまで太陽系内の物質だと思っていた、彗星の中には、もともとは太陽系の外から来たものが、それなりの確率で混じっている可能性があるということです。その中には、もしかしたら地球に衝突した恒星間天体もあるかもしれません。恒星間天体は惑星の進化や地球の歴史においてどのような役割を果たしてきたのでしょうか?恒星間天体の研究はまだここ数年で始まったばかりです。今後も引き続き最新の話題を紹介していきたいと思います。それではご視聴ありがとうございました。よかったらチャンネル登録お願いします! #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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