Follow Us!!:

アプリなら、たくさんの便利な機能が無料で使える!
今すぐアプリをダウンロードして、もっと自由に学ぼう!

履歴の確認
お気に入り・フォローの登録
通知の受け取り
ファイルの作成・追加・複製
メモの作成・確認
モチベボードの投稿
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
運営会社お問い合わせ利用規約プライバシーポリシー

© 2025, okke, Inc.

惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

カーニアン多雨事象と知られざる大量絶滅【論文紹介】

次の動画:地球内部のコアには水が豊富にある【論文紹介】

概要

動画投稿日|2021年1月17日

動画の長さ|6:03

2億3300万年前の三畳紀後期、超海洋パンサラサの海底で大規模な火山活動が発生し、雨が100万年以上降り続く「カーニアン多雨事象」と名付けられた極端な気候変動が発生しそれによって引き起こされた大量絶滅が、恐竜の時代の幕明けとなった可能性が高いことがわかってきました。 (目次) 0:00 三畳紀の環境変動 1:08 最初の論文 2:05 世界各地から報告された証拠 2:47 全球湿潤化の原因 3:24 日本で発見された証拠 4:03 新たな大量絶滅 (参考文献) Michael J. Simms, Alastair H. Ruffell; Synchroneity of climatic change and extinctions in the Late Triassic. Geology ; 17 (3): 265–268. https://doi.org/10.1130/0091-7613(1989)017%3C0265:SOCCAE%3E2.3.CO;2 H. Visscher et al. (1994) Rejection of a Carnian (Late triassic) “pluvial event” in Europe. Review of Palaeobotany and Palynology 83, 1-3, 217-226. https://doi.org/10.1016/0034-6667(94)90070-1 J. Dal Corso et al. (2020) Extinction and dawn of the modern world in the Carnian (Late Triassic). Science Advances 6, 38, eaba0099. https://doi.org/10.1126/sciadv.aba0099 J. Dal Corso et al. (2018) Multiple negative carbon-isotope excursions during the Carnian Pluvial Episode (Late Triassic). Earth-Science Reviews 185, 732-750. https://doi.org/10.1016/j.earscirev.2018.07.004 Wagner T., Magill C.R., Herrle J.O. (2018) Carbon Isotopes. In: White W.M. (eds) Encyclopedia of Geochemistry. Encyclopedia of Earth Sciences Series. Springer, Cham. https://doi.org/10.1007/978-3-319-39312-4_176 C.R. Scotese (2013) Map Folio 45, Late Triassic (Carnian, 222.6 Ma) https://doi.org/10.13140/2.1.2412.8802 Y. Tomimatsu et al. (2020) Marine osmium isotope record during the Carnian “pluvial episode” (Late Triassic) in the pelagic Panthalassa Ocean. Global and Planetary Change 197, 103387. https://doi.org/10.1016/j.gloplacha.2020.103387 九州大学プレスリリース (2020) 大量絶滅と恐竜の多様化を誘発した三畳紀の「雨の時代」 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/535 (Image Credits) Pexels, The Natural History Museum, Environmental Systems Research Institute, Inc., 九州大/熊本大/JAMSTEC/神戸大/千葉工業大/早稲田大 (字幕全文) 近年これまでほとんど注目されてこなかった、全球規模の気候変動と知られざる大量絶滅の関係が明らかになりつつあります。 2億3300万年前の三畳紀後期、当時パンゲア超大陸の沖合にあった、現在のカナダ西部の海底で大規模な火山活動が発生し、雨が100万年以上降り続く「カーニアン多雨事象」と名付けられた極端な気候変動が発生し、それによって引き起こされた大量絶滅が、恐竜の時代の幕明けとなった可能性が高いことがわかってきました。 まずこの時代の少し前に起こった背景から見ていくことにしましょう。 三畳紀の地球は、全ての大陸がパンゲア超大陸に集まっていました。 気候は全球的に乾燥していて、特に内陸部ほど乾燥した暑い気候だったことが地質記録からわかっています。 三畳紀の始まりには、地球史上最大の大量絶滅であるペルム期末大量絶滅が起こっています。 この大量絶滅の影響で、それから2000万年後のカーニアンにおいても、生物種が緩やかに回復していた状況であったと考えられます。 しかし1989年イギリスの研究者が初めて、カーニアン期に気候が突然湿潤化した可能性を論文で報告しました。 それまで乾燥していた気候を示す堆積物に、突然河成堆積物の薄い層が現れたのです。 また同時期に地層中の炭素同位体比が極めて軽くなっていたこともわかりました。 一般的に淡水には軽い炭素12が多く含まれるため、炭素同位体が軽くなったということはこの時代に、大量の淡水が大気中に供給されたことを意味します。 しかしこの論文は発表された当初は全く注目を浴びませんでした。 1994年には、オランダの研究者たちが、河成堆積物は雨ではなく、地下水面の上昇によってもたらされたものであり、しかもこういった湿潤な環境は全球的なものではなく、ごく限られた領域の局所的な現象だとする反対論文を発表したのです。 このように当初は反対意見が根強かったものの、近年カーニアン期に全球的な降雨イベントが生じたと解釈される地質証拠が、世界中の地層から徐々に報告されてきました。 「カーニアン多雨事象」と名付けられたこの気候変動によって、2億3400万年前から2億3200万年前にかけて地球は100万年以上も続く、「雨」の時代となっていたことが明らかになったのです。 2018年に発表されたレビュー論文では、集約された炭素同位体の高解像データから、カーニアン期の地層に、強いネガティブなピークが4回確認されました。 このことからカーニアン期には、少なくとも4回の多雨イベントが発生したことが示されています。 それではこのような全球的な大雨を引き起こした原因は何だったのでしょうか? 最有力の原因と考えられているのが大規模な火山噴火です。 カナダのブリティッシュコロンビアからアラスカにかけて、ランゲリア洪水玄武岩と呼ばれる台地が広がっており、その厚さは場所によって数キロメートルにも及びます。 この巨大火成岩岩石区の大地はちょうどカーニアン多雨事象と、ほぼ同時代に誕生したことがわかっています。 つまり、火山から供給された大量のCO2が地球を温暖化させ、全球的に湿潤な気候をもたらした、というのが最も有力なシナリオです。 実は日本国内でもこのシナリオを裏付ける証拠が2020年11月25日に発表されました。 九州大学を中心とするグループが、岐阜県の木曽川河床で得られたカーニアン期の堆積岩の同位体分析を行ったところ、大規模な火山活動がカーニアン多雨事象とほぼ同時に発生したことがわかったのです。 この時代、超海洋となっていたパンサラサ海で巨大な海底火山の噴火が発生し、その時に作られた玄武岩が海洋プレートの移動によって分裂していき、それが現在のランゲリアや極東ロシア、そして日本に分布するに至ったという仮説です。 それではカーニアン多雨事象は当時の生命にどのような影響を与えたのでしょうか? カーニアン期の生物相に何らかの大規模な変動が生じていたことは、実は1960年代から気付かれ始めていましたが、これまでは年代決定の誤差などが大きく、あまり決定的なことは言えませんでした。 しかし数十年に及ぶ分析技術の進歩とデータの蓄積によって、2020年9月16日にScience Advancesに掲載された論文で、カーニアン期にこれまで知られていなかった大量絶滅イベントが生じていたことが、初めて報告されました。 この論文では化石のデータベースのレビューを行い、カーニアン多雨事象に伴って海洋生物の33%が絶滅したことを報告しています。 さらに重要な点は、この時代に現代の生物につながる多くの生物種が出現したことです。 その中には、カエル、トカゲ、カメ、ワニなどが含まれます。 そしてカーニアン多雨事象の後に、それまで目立たない存在だった恐竜が多様な進化を遂げていったことで、その後1億年以上もの間、生態系のトップとして繁栄したことも明らかとなりました。 2005年にはカーニアン期の地層から、最初の哺乳類と考えられる化石も発見されています。 ただしこの化石についてはまだ議論が続いている状況です。 カーニアン多雨事象と生物の大量絶滅の因果関係はまだ完全にはわかっていませんが、火山の噴火に伴うCO2濃度の上昇による気温の上昇や、海洋の酸性化と無酸素化、炭素循環の乱れなどが密接に関連していると考えられています。 これまでビッグファイブの影に隠れてあまり注目されてきませんでしたが、2億3000万年前の地球に起こった全球的な気候変動と大量絶滅が、惑星と生命の進化の分岐点となり、現代の扉を開けたことがわかり始めています。 それではご視聴いただき ありがとうございました。 次回もお楽しみに。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

タグ

#高1#高2#高3#大学#レベル3#最新研究・実験・その他#環境と生物の変遷#講義

関連動画

4:08
紫外線が引き起こしたデボン紀末大量絶滅【論文紹介】惑星科学チャンネル Planetary Science Channel
4:35
6-7億年前の全球凍結時代に生命はなぜ生き延びることができたのか?【スノーボールアース】惑星科学チャンネル Planetary Science Channel
5:41
知られざる中国の火星探査機「天問1号」を研究者が解説惑星科学チャンネル Planetary Science Channel
4:16
砂嵐が加速する火星の大気散逸【論文紹介】惑星科学チャンネル Planetary Science Channel
6:11
ハビタブルな周連星惑星の気候安定性【論文紹介】惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

関連用語