慶應義塾大学商学部井口知栄准教授は、多国籍企業のグローバルイノベーション戦略、すなわち多国籍企業の子会社がホスト国で研究開発活動を行うことが、多国籍企業の競争優位の源泉にどのようにつながるのか、ホスト国にいかに貢献できるのか、という点を探究しています。
Q. 「日系企業が多国籍企業化して例えば東南アジアのタイ、マレーシア、フィリピンなどに海外進出をする時に最初は生産工程などを海外進出させますが、そこからさらに発展させて行くと研究開発を海外に進出させます。私の研究は日系企業が海外進出してどのようにグローバル研究開発を各国でしているか。また各国でした研究開発の結果をどのように企業が使っているのか。例えばそれを新商品開発の為に使うのが多いんですけど、それを現地のホスト国、インドですとかマレーシア、タイの為に使っているのか、それとも本社に知識を持って帰ってそれをさらにブラジルの子会社に使うとか、どのように獲得した知識を使っているのか、それを研究しています。」
昨今、グローバル市場で競争を強いられている日系企業。では日系企業は現地でどのように知識を獲得しているのか、現地で消費者に受け入れられる物やサービスをどのように作っているのか、または作れていないのか、という疑問が研究の背景にあります。
Q. 「企業が生産だけで、工場の中で生産しますよね、そうすると外との、もちろん人は中で人材として働いていますが、外との行き来でコラボレーションがあまりなかったと思われます。これが研究開発になりますと、大学との共同ですとか、コラボレーション、現地の研究機関、それから政府系の研究機関などもあります。それらとコラボレーションをするようになります。そうすると日経企業が現地に進出しまして、ただ生産して輸出する、生産して販売するだけでなく、現地の方々とコラボレーションを通じて、もっと現地に貢献して行く事ができると言ったことが明らかになります。それをもっともっとホスト国が積極的に誘致するべきかなと思いますし、日本の企業ももっとグローバル化、研究開発をする事によってホスト国に貢献できると思いますので、その点でも社会的に意義があると思います。」
具体的な研究方法としては、対象となる国に出向いて企業にアポイントメントを取り、インタビュー形式でデータを集めます。現時点ではタイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシアなどの国でその研究成果が上がろうとしています。
Q. 「これまでは日系企業のアジアへの進出を中心に研究をしてきました。東南アジア、インドなども含めていますが、それらの地域で日系企業はどのような研究開発をしているか。今後ヨーロッパに進出している企業ですとか、アメリカ、ラテンアメリカに進出しているような日本企業も多いですが、それら各国で同じような現象が見られるはずなので、そう言った事を見ながら比較をして行きたいと考えています。」