慶應義塾大学商学部 山本勲教授は、企業や労働市場における労働者の多様な価値観を考慮した人的資源管理のあり方、労働者のメンタルヘルスと企業行動の関係などを解明することで、望ましい労働市場の制度設計を目指す研究を行っています。
「一言で言うと、働き方について研究をしているという事になりますが、学問の領域と言うと労働経済学という分野になり、、手法としては理論と実証があるとすれば、実証分析、実証経済学と言う様な手法で、データを使って、そのデータに基づいて統計的な解析をしていくということになります。」
現在の日本の労働市場は、少子高齢化・グローバル競争・低成長といった環境変化の中で、かつて経済合理性が高いと評価された日本的雇用慣行は見直しを余儀なくされ、労働者の属性・価値観の多様性や労働者の仕事と生活の調和を考慮した人的資源管理や市場システムが模索されています。そんな中で山本先生は、企業と労働者の連関を重視したさまざまなデータを活用しながら研究を進めています。
「特徴的なのは、今労働経済学の分野でとても流行っているんですが、一人の労働者、あるいは一つの企業を毎年毎年追跡して調査していくパネルデータというのがあります。パネルデータを使う事によって、同じ経済主体を毎年追いかけており、同格的にその人達がどう変わっていったのかと言うような事を把握することができる。例えば、政策が変更された時に企業行動がどう変わったかとか、労働者の行動がどう変わったか、あるいはリーマンショックが起きました、東日本大震災が起きました、その前後で何が変わったんでしょうか、という事をかなりピンポイントで捕える事ができます。」
また、慶應義塾大学はパネルデータの拠点として、パネルデータ設計解析センターを所有しています。10年近く、約4000世帯からの家計データを毎年収集して日本を代表するパネル調査を行っており、山本先生もその構築やデータを使った検証に力を入れています。
「データというのがこの世の中変わってきていて、色んな所にデータが出来上がってきているんですが、データを使って何かを検証したり、何かを考えて行くという様な作業というのが、どうしても忙しいために実務でなかなか行われていなかったり、政策でもなかなか行われていなかったりする。学術的にデータを使った検証を沢山行い、所謂、ファクトファインディングと言う所を多くやっていく事によって、何かを議論する、今後の方向性を考える時の材料を提供するのが私の役目かと思っています。その材料が沢山、しかも客観的なデータに基づいた材料が沢山出てくれば、本質的な議論をすることができるという事で、そのような貢献の仕方があるのではないかなと思っています。」