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【密度効果】最終収量一定の法則・相変異 高校生物


矢口はっぴー

11分58秒

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説明

【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
密度効果(成長曲線への影響・最終収量一定の法則・バッタの相変異)についてわかりやすく講義します。
語呂「そう?へん?茶色の軍手(相変異、茶色の群生相)」

「朝がくると東風はいなごを運んできた。いなごはエジプト全土を襲い、エジプトの領土全体にい坐った。これ程沢山のいなごはこれより先にもなかったし、これから以後もないであろう。いなごは全地の表面をおおい、地はそれで黒くなった。」『旧約聖書 出エジプト記』より


問題:バッタにおいて、褐色で、翅の相対的な長さが長く、脂肪含有量が多く、集合性が強く、卵の大きさが大きく、産卵数が少ないのは、( X )相である。Xに入る語を「孤独」か「群生」から選んで答えよ。
答え:群生
(脂肪が多い方が、長距離の飛行に有利。たくさんいる子供の中で生き残るには、卵にたくさん栄養を含ませることが大事。卵はでかくなるが、数は少なくなる)


●個体群密度が個体(の形態や生理・行動など)に影響を及ぼすことを密度効果という。
*厳密には、密度効果は個体群(の成長曲線・増殖率への影響)に対しても、その個体群に属する個体(の相変異・体重等発育の程度・生態・形態・生理上の機能への影響)に対しても使う言葉である。
●密度効果の例
①ショウジョウバエなどでは、個体群密度が高くなると、雌1匹あたりの産卵数が減少する。
②ダイズなどをいろいろな密度で育てると、密度が高いほど光や栄養などをめぐる個体間の競い合い(種内競争)が激しくなる。結果、個体の成長は悪くなる。→最初の密度(まばらに植えるか密に植えるか)にかかわらず個体群全体の重量は最終的にほぼ一定になる(最終収量一定の法則)。
③相変異(そうへんい):ある種の昆虫は、幼虫時などの個体群密度によって形態・生理・行動などが変化する。この現象を相変異という。
*バッタの相変異が有名である。低密度の時出現する型を孤独相、高密度の時出現する型を群生相という。
●最終収量一定の法則は、「種を蒔く時の密度や、苗木を植える密度を変えても、十分生育が進んだ時の単位面積当たりの植物体の現存量が、初めの、密度に関わりなく一定になるという密度効果の法則」である(文字通り「最終」の「収量」が「一定」になる法則)。なお、厳密には「収量」は植物体全体の現存量を表しており、穂や種子などの実用部分のみを指すわけではない。
●相変異の原因は、視覚・匂い、物理的な他個体との接触・他個体の体表に存在する化学物質との接触など、さまざまな原因が考えられてきたが、現在では、主に他個体の体表面にある化学物質との接触、そして視覚により個体群密度を認識していると考えられている。(その後、体内におけるホルモン分泌の変化が、様々な形態や行動の変化、つまり相変異に繋がっていくとされる。)面白いことに、その体表面に存在する化学物質は、種を超えた共通性があるらしい。
●相変異がどの程度の時間で起きるのかについても研究が進んでいる。かつては数世代にわたり、少しずつ何らかの生理物質の蓄積が起こると考えられていたが、現在では、一世代で相変異が起こることが知られている。
●オンブバッタやショウリョウバッタは相変異を基本的に起こさないので、本来「イナゴ」と呼ぶべきである。
●表現型可塑性[phenotypic plasticity]とは、生物個体が環境に応答して一連の異なる表現型を示す性質のこと。単一の遺伝子型が示す表現型の変化を指し、個体間の遺伝的変異による表現型変異とは明確に区別される。動画の中では、可塑性を、変化したり元に戻ること、と言ってしまっているが、本来、可塑性とは、粘土のように、外から力が加わって変化し、すぐに元には戻らないことを指す。今回は、孤独相、群生相の間で、柔軟に相変異が起こることを表現したくてそう表現してしまっている。ご理解いただきたい。
●相変異[phase variation]とは、同一種の個体の形態、色彩、生理、行動などの変化が、個体群密度に応じて引き起こされる現象のことである。主に昆虫類にみられる。B.P.Uvarov(1921,1928)はワタリバッタ類について、それまで別種とされていた大発生時にみられる群移動性の個体と、平年にみられる非集合性の定住的な個体とが、同種であることを明らかにした。そして、それぞれを群生相、孤独相と名付け、孤独相から群生相への相の転換(phase transformation)が大発生と大移動の機構を解く鍵である、との説を提唱した。
●バッタにおいて、群生相の個体の子供はお互いに惹かれ合い、群れを成す。この高密度による正のフィードバックを介して、さらに群生相の特徴が増幅される(群生相は2~3世代にわたって維持される)。。
このように、密度効果における相変異は、歴史的に、昆虫類をはじめとした動物に対して使用する用語である。たとえば植物が密度効果によって成長に差が出るような現象を指して「植物の相変異」などという用語は使うべきではない。

*「表現型(ひょうげんがた)の可塑性」は「表現型可塑性(ひょうげんけいかそせい)」と言うこともある。高校生は気にしなくてよい。

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0:00 密度効果とは
0:32 成長曲線
2:13 最終収量一定の法則
4:58 バッタの相変異
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