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惑星科学チャンネル Planetary Science Channel

巨大民間資本が推進する地球外知的生命探査の光と影【ブレイクスルー・リッスン】

次の動画:"ホット・ネプチューン砂漠"で発見された巨大な固体惑星(TOI-849b)【論文紹介】

概要

動画投稿日|2020年10月11日

動画の長さ|5:56

地球外知的生命探査(SETI)は常に資金不足との戦いを強いられてきましたが、近年大富豪によって強力な財政支援を受けて、前代未聞の大規模な計画が遂行されています。しかしその強引な手法には懸念の声も聴かれます。 (目次) 0:00 SETIの始まり 0:33 資金不足との闘い 2:11 救世主の登場 2:39 Breakthrough Initiatives 3:22 中間報告 3:49 研究者からの批判 4:45 変わりつつある研究者の意識 (参考文献) D.C. Price, J.E. Enriquez, B. Brzycki et al. The Breakthrough Listen Search for Intelligent Life: Observations of 1327 Nearby Stars Over 1.10–3.45 GHz. The Astronomical Journal. 159:86 (16pp), 2020. https://doi.org/10.3847/1538-3881/ab65f1 S.Z. Sheikh, A. Siemion, J.E. Enriquez et al. The Breakthrough Listen Search for Intelligent Life: A 3.95–8.00 GHz Search for Radio Technosignatures in the Restricted Earth Transit Zone. The Astrophysical Journal. 160:29 (13pp), 2020. https://doi.org/10.3847/1538-3881/ab9361 M.J. Klein, D.J. Burns, C.F. Foster et al. The NASA SETI Microwave Observing Project Sky Survey. 3rd Decennial US-USSR Conference on SETI ASP Conference Series, Vol. 47, 1993. https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1993ASPC...47..335K/ NASA Technosignatures Workshop, Houston, TX, September 26-28, 2018. https://www.hou.usra.edu/meetings/technosignatures2018/ D.R. DeBoer, W.J. Welch, J. Dreher et al. The Allen Telescope Array. Proc. SPIE 5489, Ground-based Telescopes, (28 September 2004) https://doi.org/10.1117/12.551737 Breakthrough Initiatives https://breakthroughinitiatives.org/ D. Clery, How big money is powering a massive hunt for alien intelligence. Science Sep. 10, 2020. doi:10.1126/science.abe7011 https://www.sciencemag.org/news/2020/09/how-big-money-powering-massive-hunt-alien-intelligence (映像素材) NASA/JPL, Breakthrough Initiatives, UC Berkley, SETI Institute, Green Bank Observatory, CNBC, Wall Street Journal (字幕全文) 地球外知的生命探査、通称SETI。 その歩みは常に資金不足との戦いの連続でした。 1960年、まだ太陽系外に惑星すら発見されていなかった時代に、 フランク・ドレークは直径26メートルの電波望遠鏡を、 比較的近傍の太陽に似た恒星に向け、 人工的なシグナルを検出しようとしましたが、 有望な信号は得られませんでした。 オズマ計画と名付けられたこのプロジェクトは小さな試みでしたが、 地球外文明を検出しようとする初の科学探査という点で画期的でした。 その後もNASAやアメリカ国立科学財団からの資金助成をもとに、 より大きな望遠鏡や高性能の受信機器を用いて観測が続けられましたが、 SETIに割り当てられる望遠鏡の観測時間は年間でわずか数時間程度であり、 あまり大きな進展はありませんでした。 しかし1992年にNASAが本格的にSETIに取り組みかけたことがありました。 マイクロ波観測プロジェクトと名付けられたSETIの計画が承認され、 10年間で1億ドル、日本円でおよそ100億円の大規模な予算がついたのです。 ところがわずか1年後には連邦議会によって予算がカットされ、 成果を上げる前にプロジェクトは頓挫しました。 それ以来NASAはSETIからほぼ身を引いたのです。 それでも1990年代はSETIにとって予想外の進展があった時代でした。 系外惑星の発見です。 1995年の最初の発見をきっかけに系外惑星の発見数は年々飛躍的に増大し、 現在では惑星を持つ恒星は普遍的な存在であることがわかってきたのです。 こうした機運を背景に、2007年にマイクロソフトの共同創業者、 ポール・アレン氏が1100万ドル、およそ11億円を寄付して、 SETI専用のアレン電波干渉計が建設されました。 しかしここでも悲運が襲います。 2008年に起こった世界金融危機です。 大きなダメージを負ったアメリカ経済の影響を受けて、 連邦予算や州予算が大幅に削減されたことで、 運営の半分を担っていたUCバークレーが計画から撤退してしまったのです。 資金不足から望遠鏡は8か月ものあいだ稼働を停止し、 42台まで建設されていたアンテナを350台まで拡張する計画も頓挫し、 当初の計画は無期限に凍結されてしまいました。 こうしてSETIの灯は再び潰えてしまったかのように見えました。 しかしここで救世主が現れます。 ロシア生まれの大富豪、ユーリ・ミルナー氏です。 もともとロシアで素粒子物理学者として働いていたミルナー氏は、 ソ連崩壊を機に米国に渡り、投資家としての才能を輝かせます。 彼の興した投資ファンドは初期のFacebookやTwitter、 後にはSpotifyやAirbnbなど、今や誰もが知る巨大企業にいち早く投資し、 巨万の富を築いていきました。 フォーブス誌によると個人資産額は約4300億円と見積もられています。 彼は2015年にブレイクスルー・イニシアチブと名付けられた、 地球外生命探査に関わる大規模な総合プロジェクトを立ち上げ、 10年間で約100億円を投入することを発表しました。 このプロジェクトのコアを成すのが、ブレイクスルー・リッスンです。 地球外からの人工的な信号を受信するために、 世界で最も強力な可動式電波望遠鏡である、 米国のグリーンバンク望遠鏡とオーストラリアのパークス望遠鏡の、 それぞれの観測時間の20%から25%を買い上げることで、 地球近傍の100万個の恒星と100個の近傍銀河をサーベイし、 これまでのSETIの10倍の空間領域を、5倍以上の周波数でサーベイし、 従来の100倍の速さでデータを収集するという、 前代未聞の野心的な計画となっています。 今年の2月と6月にはこれまでの中間報告となる観測結果が発表され、 地球外文明のポジティブな信号は検出できなかったものの、 プロジェクトが粛々と進んでいることが印象づけられました。 こういった動きと呼応して、NASAも重い腰を上げようとしています。 2018年にはテクノシグネチャーに関する、 NASA主催のワークショップが開かれ、 系外惑星の観測データから地球外文明の検出可能性を調べる研究に、 資金が下りたのです。 しかしこういった動きには懸念の声も聴かれます。 そもそも地球の歴史を考えた時に、 人類が無線を発明して地球外と交信できるようになったのは、 最近100年ほどの出来事でしかありません。 地球外生命を検出するなら、 まずはもっと単純な生命が惑星大気に及ぼす影響を調べるのが先であり、 いきなり文明の信号を検出しようとするのは、 あまりにも確率の低い博打であるという、至極妥当な批判があります。 また通常は、望遠鏡を使用するにはプロポーザルを書き、 科学的価値やこれまでの業績を審査された上でマシンタイムを獲得します。 しかしブレイクスルー・リッスンでは、 マシンタイムをお金で購入しているため、 本来なら他の分野にも割かれるべき観測時間を圧迫しているとの批判や、 民主的・科学的な審査過程を経ていないとの懸念もあります。 実際に2018年に全米科学アカデミーが公表した報告書では、 SETIに関する記述はほとんどなく、 税金を投入してまでNASAが追求すべき課題ではないとの姿勢が伺えます。 様々な意見がありますが、一つ言えることは、 ミルナー氏のプロジェクトによって、 研究者たちの意識が変わりつつあることです。 これまでSETIは科学の本流から外れた異端の分野と見られてきました。 しかし系外惑星分野の発展とともに、近年ではSETIの論文が、 権威ある学術誌にも掲載されるようになってきました。 人類が地球外文明を検出するために、 サーベイすべき全てのパラメーター空間を地球の海だとすると、 これまでSETIで探査された領域は、わずか浴槽1杯分にしかなりません。 ブレイクスルー・リッスンを遂行しても、 浴槽数杯分にしかならないでしょう。 そもそも私たちは永遠に当たらない宝くじを買っているのかもしれません。 しかし宝くじは、買わなければ絶対に当たらないのです。 地球外文明とのファーストコンタクトを迎える日がくるまで、 私たちは宝くじを買い続けることができるのでしょうか。 金持ちの道楽か、人類の究極的な問いの追求か。 プロジェクトの残り期間は、あと5年です。 それでは今回もご視聴頂き、ありがとうございました。 この動画が面白かったという方は、 チャンネル登録や高評価していただけると嬉しいです。 それではまた。 #惑星科学チャンネル #PlanetaryScienceChannel #行星科学频道

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