古典作品についてお話をする「万葉ちゃんねる」のよろず萩葉です!
【目次】
00:34 「貧しき俗、仏性を観じて富める事」原文音読
02:28 語句の解説
02:47 アニメーションによる意訳
◆「万葉授業」再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list
こちらは授業風の映像となっています。
題材は、「【宇治拾遺物語】貧しき俗、仏性を観じて富める事」
教科書よりも内容が理解しやすい教材を目指していきます。
【動画編集】
yu-can:https://twitter.com/u_canyu
【楽曲提供】
花城宮 季都輝さん:https://twitter.com/Kagimiya_Itsuki
【現代語訳】
今となっては昔のことだが、唐(もろこし)の僻地に一人の男がいた。
家庭は貧しく、財産はない。妻子を養う力もない。求めても手に入らない。
こうして年月が過ぎた。思い嘆き、ある僧侶に会って、財産を得る方法を尋ねた。
その僧侶は知恵のある僧であって、答えるには、
「あなたが、財産を得ようと思うならば、ただ誠の心を起こすべきです。
そうすれば、財産も豊かになり、死んでからは極楽に生まれるでしょう」と言う。
この人は、「誠の心とはなんですか」と聞くと、僧が言うには、
「誠の心を起こすというのは、他のことではありません。仏法を信じることです」と言うので、
また聞いて言うには、「それは、なんと。たしかに伺って、納得して、頼みに思って、この上なく信仰して、お仕え申しましょう。承知いたしました」と言うと、僧が言うには、
「自分の心は仏なのです。(仏は自らの心の中にいます。)自分の心以外に仏はいません。
だから、自分の心によって仏はいるのです」と言うと、
手をこすり合わせて、涙を流しながら拝んで、それからはこのことを心に留めて、夜も昼も思っていたので、梵天、帝釈天、諸々の神が来てお守りになったので、思いがけず財産が出てきて、家の中は裕福になった。
亡くなる時、いよいよ心の中で仏を深く祈ったので、極楽浄土に速やかに参った。
このことを見聞きした人は、尊み、しみじみと感動した。
【引用・参考】
帝釈天立像:根津美術館所蔵
梵天立像(重文):興福寺所蔵