慶應義塾大学経済学部 赤林英夫 研究室
タイトル:教育と家族の経済学の研究
慶應義塾大学経済学部 赤林英夫研究室では、教育の経済学と家族の経済学を中心とした研究を行っています。 家計の変化や政策の変化が子供にどういった影響を与えるのか、子供の長期的な追跡調査を通じてパネルデータを構築し、また、経済実験なども利用して、日本の教育政策の効果の分析や、教育格差の発生原因などの調査をしています。
「例えば、文部科学省の全国学力調査を用いますと小学校六年生と中学校三年生の時点で親の所得と子供の学力の間に正の相関があることがわかっています。しかしながらその相関関係がいつどのようなメカニズムで発生しているのかということは十分研究されていません。」
グレート・ギャッツビー曲線は、所得格差の指標であるジニ係数を横軸に、格差の固定化や機会の不平等の指標である世代間の所得弾力性を縦軸においた図です。
この図によると 所得格差も世代間の格差の固定化が著しいのは米国や英国で、 ノルウェイ、デンマークなどの北欧諸国はその対極にあります。また日本はこの両グループのほぼ中間に位置しているといわれています。
つまり結果の平等と機会の平等の達成は、トレードオフではなく、政策により両立可能であると言えます。その鍵の一つが教育であると考えられています。
「では日本で経済格差がどの程度教育格差に結びついているのか?どのような政策を施せば教育格差を減らすことができるのか、そういった疑問を持たれるかと思うのですが、日本ではまだ詳しくわかっていません。」
赤林英夫研究室では、子どものパネルデータを分析・発展をさせて、子供の成長段階における家庭環境や教育政策がどのように影響するのか、ということの包括的な研究を実施し、子どもの成長全体を視野に入れた経済学の構築を目指しています。
「そのような視野の元で、ほかにも私たちは、例えば学級規模の縮小が学力に与える効果はあるのか、幼児教育や教育バウチャーの効果、家庭教育の経済実験など、個別の教育の効果を計測する研究も行っています。これらを通じて私たちは日本の教育経済学をリードする研究をこれからも続けていきたいと思います。」