【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
血糖調節についてわかりやすく講義します。
語呂「グルカゴーン(怪獣の名前みたいなグルカゴンがグリコーゲンを壊す。角はAの形である。A細胞から分泌される)」
語呂「ずいずいアドレナリン(副腎髄質、アドレナリン)」あまり意味のない語呂ですね。すみません。
●低血糖の時に働くホルモン:①グルカゴン②アドレナリン③糖質コルチコイド
①グルカゴンの分泌
・間脳視床下部が低血糖の血液で刺激される(すい臓ランゲルハンス島A細胞自身も低血糖の血液に刺激される)。
・間脳視床下部は交感神経(空腹時はイライラ→交感神経と覚えよう)を介してすい臓ランゲルハンス島A細胞に命令を送り、グルカゴンを分泌させる。
・グルカゴンは肝臓でのグリコーゲン分解などの反応を促進し、血中グルコース濃度(血糖値)を上げる(グルカゴン受容体は肝細胞にある)。
②アドレナリンの分泌
・間脳視床下部が低血糖の血液で刺激される。
・間脳視床下部は交感神経を介して、副腎髄質に命令を送り、アドレナリンを分泌させる。
・アドレナリンはグリコーゲンの分解を促進し、血糖値を上昇させる。
(アドレナリンは肝細胞と骨格筋の筋細胞の両方に作用する。)
③糖質コルチコイドの分泌
・間脳視床下部が低血糖の血液で刺激される。
・間脳視床下部は副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(「放出ホルモン」と省略されることがある)を分泌する。
・副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンは脳下垂体前葉に作用し、副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促進させる。
・副腎皮質刺激ホルモンは副腎皮質に作用し、糖質コルチコイドの分泌を促進させる。
・糖質コルチコイドは筋肉などに作用し、タンパク質をグルコースに変える反応を促進させ、血糖値を上昇させる。
●極度の低血糖状態では、脳の機能が低下し、意識喪失などの症状が現れ、生命にかかわる(脳はグルコースを唯一のエネルギー源としている。低血糖状態が続くと、頭痛、精神錯乱、痙攣が起こり、最終的には昏睡に至る)。
●糖質コルチコイドは骨格筋に作用し、タンパク質の分解を起こさせる。それによって生じたアミノ酸は肝臓に運ばれ、そこでグルコースに変換される。グルコースは血中に放出され、血糖値が上昇する。
●コルチコイドは副腎皮質でつくられるステロイドホルモンの総称である。副腎皮質ホルモン、コルチコステロイドなどとも呼ばれる。
●脳下垂体前葉から分泌される成長ホルモンにも血糖値を上昇させるはたらきがある。
*成長ホルモン:成長を促進させる。また、血糖値を上昇させる。
●チロキシンにも血糖値を上昇させる働きがある。
●19世紀末、副腎から分泌され、血圧を上げる作用を持つ謎の物質が知られていた。それはギリシア語で「腎臓の上」を意味するエピネフリンと名付けられていた。
この物質を不純物なしで結晶化したのは日本人の高峰譲吉で、ラテン語で「腎臓の傍」を意味するアドレナリンと名付けた(アドレナリンは、海外ではエピネフリンの名前で呼ばれることが多い)。
●低血糖を治す仕組みの方が、たくさんのホルモンが関わっている。これは、それだけ手厚い仕組みであるということである(複数の仕組みがあれば、どれかの仕組みが壊れても、他の仕組みで補うことができる可能性がある。携帯のアラームと目覚まし時計とモーニングコールをすべて利用する状況に似ている)。おそらく、進化の過程で、生物は、常に低血糖状態(飢餓状態)にさらされてきたのであろう。餌が常に豊富にある環境は、自然界では珍しい。むしろ、飢餓状態であっても、獲物を探し、捕らえなければならない事態の方が多かったであろう。また、低血糖は、昏睡を引き起こし、致命的になり得る。
問題:(1)グルカゴン(2)アドレナリン(3)糖質コルチコイドを分泌する内分泌腺を答えよ。
答え:(1)すい臓ランゲルハンス島A細胞(2)副腎髄質(3)副腎皮質
問題:すい臓ランゲルハンス島A細胞や副腎髄質に、それぞれグルカゴン放出、アドレナリン放出を命令する自律神経は、①交感神経 ②副交感神経 のどちらか。選べ。
答え:①(低血糖状態[食事を長くとっていないので、はやく獲物をしとめたい時]に優位に働く自律神経は、イライラ・闘争を司る交感神経である。「食事をとらないとイライラしてしまうのは交感神経が闘争状態に体を切り替えるから」と覚えよう)
●副腎、すい臓の位置を、かならず教科書で確認しておきましょう!また、アドレナリン、グルカゴン、糖質コルチコイドが分泌されるまでを自分で図を用いて説明してみましょう。
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