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ハーディー・ワインベルグの法則の演習問題について講義します。
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• ハーディー・ワインベルグの法則【進化】 高校生物
<追加問題>
問題:あるハーディー・ワインベルグの法則が成り立っている集団において、遺伝子型aaの頻度が0.09だった。遺伝子Aの遺伝子頻度は?
解答)ハーディー・ワインベルグの法則が成り立っているのならば、遺伝子型頻度から遺伝子頻度が推定できる(実はこれがこの法則の最も便利な使い方の一つである。現実の遺伝子の研究などにも使っている方法である)。
遺伝子Aの頻度をp、遺伝子aの頻度をqとする。
ハーディー・ワインベルグの法則が成り立っているならば、
遺伝子型aaの頻度はq2なので、
q2=0.09
よってq=0.3
p+q=1より
p=1−0.3
(この集団にある遺伝子はAかaかのどちらかである。全体を1と考えている。たとえば、当たりくじの頻度が10分の3なら、ハズレくじの頻度は、1からそれを引いた数、すなわち10分の7である。)
p=0.7・・・答え
●教科書では、ハーディー・ワインベルグの法則の
「①集団が十分に大きい②外部との出入りがない③突然変異が起こらない④自然選択が働かない⑤雌雄間の交配が自由に(任意に)行われるなどの条件が揃っていれば、遺伝子頻度は変化しない。」
という側面が重大な事実であるかのように扱われている。しかし、そもそも、特別な条件が加わらない限り、遺伝子頻度が変わらないというのは当然な話である。
遺伝子は自己増幅する因子(自分をコピーしていく因子)なのだから、突然変異などが起きなければ遺伝子頻度が変化しないのは当然。
重要なのは、むしろ今回の演習で用いた規則、『突然変異が起きないなどの条件が整っていれば、遺伝子頻度から遺伝子「型」頻度(遺伝子型AAやAaやaaの出現頻度)を推定できる』ということである。これは、各遺伝子の頻度(pやq)がわかれば、遺伝子型の頻度(AAの頻度など)がわかるという便利な規則である。
●ハーディー・ワインベルグの法則が成り立っている集団において、遺伝子型Aaの頻度がpqではなく2pqなのは、遺伝子型Aaが生まれてくる時には、Aの入った精子とaの入った卵が受精する場合と、aの入った精子とAの入った卵が受精する場合の両方が考えられるからである。
●動画では比と個体数を同じように扱っているが、厳密には異なる。しかし、AA:Aa:aa=1:1:1の比で存在している集団を考えるときは、ある野原にAAが1匹、Aaが1匹、aaが1匹存在している野原を考えても、同じように問題は解ける。
頻度を扱うときも同様で、AAの頻度が1/10、Aaの頻度が3/10、aaの頻度が6/10で存在する集団を考えるとき、つまり、
AA:Aa:aaが、1/10 : 3/10 : 6/10 の比で存在しているときは、
AA:Aa:aa=1:3:6の比で存在している集団
を考えて問題を解くことができる。頻度を生物の数として考えて問題を解くことができるのである(そう考えた方が多くの場合簡単に解ける)。
●ハーディー・ワインベルグの法則が成り立っている集団において、AAの頻度はp2(pの二乗)である。なので、本来、動画でAAが「p2匹いる」と言っているのは少し不正確である。ただ、先ほど述べたように、AAがp2匹、Aaが2pq匹、aaがq2匹いると考えて問題を解いても答えを出す上で問題ない。
●動画の中で、遺伝子を袋に入ったボールにたとえている。特に書かなかったが、ボールは理論上無数に(無限に)あるものとしている(Aが1個選ばれたら、Aが残り9個にはならない。1個Aを選んでも、そんなの問題にならないくらい、Aが集団に膨大な量あり、集団中のAの数は変わらないと考える)。ハーディ・ワインベルグの法則も、多数の個体からなる集団を相手にする法則である。
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