はじめに
終戦後、世界平和を目指す機関として発足した国際連合。
国際連盟と第二次世界大戦の反省を生かして設立された国連にはどのような機関があってどんな活動をしているのか、詳しく解説します。
【復習】国際連盟
1920年1月ヴェルサイユ条約の発効と同時に発足。
加盟国は当初連合国32カ国のみで、ドイツなど旧同盟国とソヴィエト=ロシアは排除された。
本部:スイスのジュネーヴ
理事会:英・仏・伊・日の四カ国が常任理事国
問題点
1.アメリカの不参加…対外的義務の負担、外交的自由の拘束を嫌う共和党保守派の反対、ウィルソン大統領自身の非妥協的姿勢により上院でヴェルサイユ条約批准が否決。
2.全会一致の原則
3.経済制裁のみ
国際連合とは
国連(国際連合)は、第二次世界大戦後に設立された国際機関であり、世界平和と安全保障の維持、国際法の発展、人権の促進、経済発展の推進、人道支援などの目的を持っています。
活動分野
国際平和と安全保障: 平和維持活動(PKO)、紛争解決、軍縮など。
持続可能な開発: 気候変動対策、貧困削減、教育、ジェンダー平等など。
人権: 世界人権宣言の推進、人権侵害の監視、保護活動など。
人道支援: 飢餓、災害、紛争による被災者への支援活動。
国際連合発足までの流れ
1941年8月
ローズヴェルト(米)大統領とチャーチル(英)首相間で太西洋憲章が合意される。これは戦後の国際平和と安全を確保するための基本原則を打ち出したものであり、国際機関の設立も提唱された。
→42年1月にはソ連も含めた連合国共同宣言に取り入れられ、連合国全体の戦後構想に
1944年8~10月
ワシントン近郊のダンバートン・オークスにて国際連合憲章の草案が提案される(米・英・ソ・中)
・「一国一票」原則に基づく総会
・常任理事国中国、フランス、ロシア、英国、米国と、非常任理事国10国(任期二年)で構成される安全保障理事会
(常任理事国には拒否権が認められたが、これが米ソ冷戦が激化するにつれて安保理が機能麻痺に陥る原因となった。)
1945年4~6月
サンフランシスコ会議で草案に若干の修正が加えられる。この会議には50カ国以上が参加し、国際平和と安全、経済的発展、人権の保護などを目的とした国際機関の設立が合意された。
1945年10月国際連合正式発足
国際連合の主要機関
1)総会…すべての加盟国の代表から構成され、各国はそれぞれ1票の投票権を持つ。
2)安全保障理事会…手続き事項に関する決定は15理事国のうち少なくとも9理事国の賛成投票によって行われる。
3)経済社会理事会…国際連合や専門機関、その他各種機関の経済社会活動を調整する主要な機関として設置。54カ国で構成され、任期は3年。
4)信託統治理事会…国連加盟7カ国の施政下に置かれた11の信託統治地域の施政を国際的に監督し、かつ適切な措置を取ってこれらの地域が自治もしくは独立に向けた準備ができるようにすることを目的として設置。現在はパラオの独立をもって信託統治理事会は作業を停止した。
5)国際司法裁判所…世界法廷とも呼ばれる。一般的管轄権を持ち、普遍的性格を有する唯一の裁判所。
6)事務局…国連の他の主要機関に役務を提供し、それらの機関が決定した計画や政策を実施する。現在の事務局長はアントニオ・グテーレス。
国際司法裁判所のみオランダのハーグにおかれているが、他はアメリカのニューヨークの国連本部に位置している。
国際連合の専門機関
経済・社会・文化・教育・保健その他の分野で国際協力を推進するために設立された国際機関で、国連憲章第57条、第63条に基づき国連との間に連携協定を有し、国連と緊密な連携を保っている国際機関をいいます。すべてで15の国連専門機関が存在します。
1)国連教育科学文化機関(UNESCO)
2)国際通貨基金(IMF)
3)世界知的所有権機関(WIPO)
4)国連食糧農業機関(FAO)
5)国際農業開発基金(IFAD)
6)国連工業開発機関(UNIDO)
7)世界銀行グループ(World Bank Group)
国際復興開発銀行(IBRD)
国際投資紛争解決センター(ICSID)
国際開発協会(IDA)
国際金融公社(IFC)
多数国間投資保証機関(MIGA)
8)国際民間航空機関(ICAO)
9)国際労働機関(ILO)
10)国際海事機関(IMO)
11)国際電気通信連合(ITU)
12)万国郵便連合(UPU)
13)世界観光機関(UNWTO)
14)世界保健機関(WHO)
15)世界気象機関(WMO)
国際連合で採択された目標や条約
1)世界人権宣言:
1948年に国連総会で採択された。人間の尊厳や基本的な人権に関する普遍的な原則を定めたものであり、言論の自由や信教の自由、生存権や教育の権利などが含まれている。
2)ジュネーブ条約:
1949年に採択され、戦時における国際的な人道法の基礎を築いた。戦時における負傷者や病人の保護、捕虜の待遇、市民の保護などを規定している。
3)核兵器不拡散条約(NPT):
1968年に採択され、核兵器の拡散を防止し、核軍縮を進めることを目的としている。
4)児童の権利に関する条約(Convention on the Rights of the Child, CRC):
1989年に採択され、子どもの権利を保護するための国際的な枠組みを提供する。生存権、発達権、保護権などが規定されている。
5)ミレニアム開発目標(MDGs):
2000年に採択され、2015年までの15年間に貧困の削減や教育の普及、ジェンダー平等の推進など8つの具体的な目標が設定された。
6)持続可能な開発目標(SDGs):
2015年に採択され、2016年から2030年までの15年間に貧困の撲滅、地球環境の保全、平等な教育の提供など17の目標が設定された。
7)パリ協定:
2015年に採択され、気候変動に関する国際的な枠組みを提供する。温室効果ガスの排出削減目標を設定し、地球温暖化を1.5度未満に抑えることを目指す。
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まとめ
いかがだったでしょうか。国連は戦後の流れと一緒に覚えるのがポイントです。第二次世界大戦の反省から設立された国連がどのようにして世界平和を築いていったのか、しっかり復習しておきましょう!
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