【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
細胞骨格と細胞間接着についてわかりやすく解説します。
語呂「密着!接着剤で付けるボタンですの!(上から、密着結合、接着結合、ボタンの様なデスモソーム)」
語呂「悪に接着、夢中デス(アクチンフィラメントが関わる接着結合、中間径フィラメントが関わるデスモソーム)」
問題:カドヘリンがはたらくために必要なイオンを答えよ。
答え:カルシウムイオン
問題:物質が、中の空洞を通ることができるような形式の結合を何というか。
答え:ギャップ結合
問題:真核生物の鞭毛や繊毛の形成に関わる細胞骨格を答えよ。
答え:微小管
問題:アメーバ運動や細胞質分裂、原形質流動、筋収縮に関わる細胞骨格を答えよ。
答え:アクチンフィラメント
●ほぼすべての真核生物に、アクチンとミオシンからなる収縮装置が発見されてる。我々の筋細胞は、この収縮装置を高度に発達させたものだと考えられている。
●植物に中間径フィラメントのケラチンは見つかっていない。植物細胞では細胞壁が細胞「外」骨格として存在し十分頑丈なので必要ないのかもしれない。植物にもラミンは存在することが知られている。
●語尾が「-in」で終わるものは一般にタンパク質。チューブリン、キネシン、ダイニン、ケラチン、アクチン、ミオシン、カドヘリンは全てタンパク質。
●密着結合は、G. E. Palade(1974年度ノーベル生理学・医学賞受賞)が、上皮組織の細胞-細胞間結合構造として、電子顕微鏡上において見いだした。
密着結合は水も漏らさぬぴっちりした閉鎖結合をつくる。このため、皮膚の上皮細胞層、あるいは血管の内皮細胞層から体液は漏れ出てこない。
腸における上皮細胞でも密着結合は重要である。食べたものが細胞の隙間に入り込んでどこかへ行かないようにしなければならないからである。
このような密着結合の機能はバリヤー機能と呼ばれる。
密着結合の構成タンパク質は11種類知られている。京都大学の月田承一郎が発見したオクルディンとクローディンの2種類が膜介在型タンパク質である。この2種類のタンパク質を補佐する9種類のタンパク質が膜裏打ちタンパク質として存在する。
●高校で学ぶ接着結合は、大学ではアドヘレンスジャンクションと言うことが多い。密着結合とデスモソームの中間にあるので中間結合とも呼ばれる。これら三つの接着装置を一緒にして接着装置複合体と呼ぶ。
接着結合では、細胞膜が約20 nmの間隔をおいて平行し、細胞間隙を電子密度のわずかに高い物質が満たす。細胞膜に接する細胞質の部分にはαカテニン、βカテニンなどを中心とする細胞膜裏打ちタンパク質の蓄積が見られ、この裏打ち構造を介してアクチンフィラメントが密に結合している。
機能としては、隣り合う細胞間の接着にあずかると考えられ、接着分子としてカドヘリンが知られている。この結合は細胞表面を全周にわたって取り巻く。
*カドヘリンはcalcium-dependent adhesion moleculeが語源(カルシウム依存的な接着分子)。多くの種類がある。竹市雅俊が発見・命名した。
*カドヘリンが働くためにはカルシウムイオンが必要である(非常によくテストに出る)。
●デスモソームは、上皮細胞などにみられる細胞間接着装置の一つである。細胞膜の下には厚さ10~20 nmの電子密度の高い部分があり、デスモプラキンやプラコグロビンなどが存在する。その部分に向かって中間径フィラメントが近寄り、ループを描いて細胞質内へ戻っている。細胞間にはカドヘリンがある。
デスモソームは細胞間の機械的結合を強める働きをしていると考えられている。
●ヘミデスモソームは、上皮細胞の接着構造の一種で、上皮細胞がその下の基底膜に結合する細胞-細胞外マトリックス接着構造である。有名な細胞外マトリックスの成分としてコラーゲンがある。細胞膜介在タンパク質としてインテグリンなどがある。
*ヘミデスモソームは細胞-基質間接着装置である。まるでデスモソームの半分のような形をしている。いくつかのタンパク質を介して中間径フィラメントが密に結合している。
※生物の組織は、細胞と細胞以外の物質からできている。細胞以外の物質の固体部分(線維状、シート状の構造物も含む)を総称して細胞外マトリックスと呼ぶ。構成分子として有名なのはコラーゲンと言うタンパク質である。
noteに少し簡単な図があります。
https://note.com/yaguchihappy/n/n4e9d86b2e7a3
●原形質流動は、細胞運動のひとつで、厳密には植物や菌類において細胞の形が変わらずに内部の細胞質が流れるように動く現象をいう。生命活動であるので、細胞が死ねば止まる。たまにテストに問われる。
原形質流動は細胞小器官が輸送される現象であり、細胞小器官に結合したミオシがATPの加水分解エネルギーを用いてアクチンフィラメントの上を滑ることにより、流動力が発生する。
一部の菌類では、微小管系が細胞小器官の輸送に関与していることが知られている。
広義には、アメーバ運動を含め、細胞内において細胞小器官が輸送される現象を原形質流動と呼ぶことがある。
光原形質流動は、原形質流動が光で誘発される現象で、カナダモやオオセキショウモの葉肉細胞で観察されている。オオセキショウモでは、光は、細胞内のCa2+濃度に作用し、それによって原形質流動に働くミオシンの活性を調節していると考えられている。
生物学的な意義やしくみについてはわかっていないことも多い。
●動物の腸では、柔毛とよばれる突起があり、そこから分子やイオンを選択的に吸収している。
その一方で、細胞間を分子が自由に移動して毛細血管に入るのを防ぐために、密着結合という細胞間接着で小腸上皮細胞の細胞同士は隙間なく固く結びつけられている。
●植物の根は、表皮細胞のひとつである根毛と呼ばれる突起から水や栄養を吸収する。
内皮細胞の細胞間にはカスパリー線と呼ばれるバリアがあり、細胞間を分子やイオンが自由に移動して維管束に入るのを防いでいる。これは、動物の腸とよく似ている。動物の腸の密着結合と植物のカスパリー線は、本質的な働きは同じである。このような動物の腸と植物の根の類似性から、植物の根は裏返しの腸と呼ばれることもある。
●正確には、ニューロンでは、1本の微小管が伸びているわけではない。いくつもの短い微小管が同じ向きで、重なり合いながら配置されている。
0:00 ポイントの解説
3:29 微小管とアクチンフィラメントの構造
4:37 べん毛の9+2構造
5:27 微小管と紡錘体
6:04 モータータンパク質(キネシン・ダイニン)
7:20 アクチンフィラメントとアメーバ運動・細胞質分裂
8:11 細胞接着
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