【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
光合成速度の問題についてわかりやすく講義します。
*生物学で使う「補償点」とは、ある反応系に対して、それと逆の反応系がある場合、両者が相殺しあって、双方の反応が機能していないように見えるような反応点を指します。
●今回のグラフの縦軸を、「見かけの光合成速度」という。
●見かけの光合成速度は、「真の光合成速度ー呼吸速度=見かけの光合成速度」という式で表されるが、この式だけ暗記するのはお勧めしない。理解の浅いうちは(放出や吸収で+ーを誤り)、ケアレスミスしてしまう。
『呼吸でCO2を排出、光合成でCO2を吸収。差し引き分が測定値として測定される。』これは間違いないのだから(基本的に例外はない)、試験中、今回の動画のように、図を描いて考えた方がよい。
●真の光合成速度を直接測定することはできない。実際に測定できるのは、光合成速度と呼吸速度の差である。
●植物は光合成を行っている時でも、同時に常に呼吸も行っているので、光合成で二酸化炭素を吸収しながら同時に呼吸で二酸化炭素を放出していることになる。
したがって、実際に測定できるのは光合成速度(光合成による二酸化炭素吸収速度)と呼吸速度(呼吸による二酸化炭素放出速度)の差である。
この差のことを、「本当の光合成速度を表しているわけではない」という意味を込めて『見かけの光合成速度』という(本当の光合成速度をあえて「真の光合成速度」などとよぶこともある)。
*「見かけ」は「嘘」というイメージである。「見かけは金持ち」は、真の金持ちではない。
●光合成速度=呼吸速度となり、見かけの光合成速度が0になっている時の光の強さを光補償点という。
*光補償点より小さい光の強さでは生育できない(光合成速度<呼吸速度となってしまう[有機物を生産する速度<有機物を消費する速度になってしまう])。
●光の強さをそれ以上強くしても光合成速度が上昇しなくなるような状態を光飽和(ひかりほうわ)といい、光飽和に達したときの光の強さを光飽和点(ひかりほうわてん)という。
問題:呼吸によるCO2放出速度が3、光合成によるCO2吸収速度が6のとき、見かけの光合成速度はいくらか。CO2吸収速度で答えよ。
答え:3([単位時間当たり]呼吸でCO2を3出している。光合成でCO2を6吸っている。あたかもCO2を3吸っているように見える)
問題:陽生植物は光補償点と光飽和点は、陰生植物に比べて( )。空欄に言葉を埋めよ。
答え:大きい
(柵状組織が発達していて、光合成できる細胞数が多いので、光合成の最大速度が高い。細胞数が多いので、呼吸速度も高い)
●光飽和点について考えてみよう。どうして光飽和点が存在するのか?
それは、光合成は、最も悪い条件でその速度が制限されるからである。そのような、最も悪い、反応全体を制限している要因(通常1つ)を限定要因という。
そもそも板書のようなグラフを光合成曲線[photosynthesis curve]というが、横軸は光の強さに限らない(光やCO2、温度などの要因が横軸になりえる)。
そして、それらの光合成曲線は、光合成の限定要因の解析に用いられる。
例えば、光−光合成曲線の弱光領域においては、光合成の速度が光によって限定され、光合成速度は光の強さとともに大きくなる(このように、その条件をより良くしたとき、光合成速度が上がれば、その要因が限定要因である)。
一方、強い光で光合成活性が飽和する点(光飽和点)より上では、光は限定要因ではないことが知られている。
その場合、温度や二酸化炭素濃度など、他の条件のうちどれか1つが限定要因となっている。限定要因をよりよい条件に変えなければ(いくらその限定要因『以外』を改善しても)光合成速度が上がらないことがわかっている。
これは、文化祭準備全体の進行速度が、最も準備の過酷な、最も進行の遅い仕事に制限されるのと同じである。舞台台本作成の仕事がなかなか進まない中で、大道具の人員を増やしても、全体の仕事にプラスの影響はない。
発展内容なので、難関大受験者以外スルーしていいが、一応noteで限定要因について少し詳しく解説している。
https://note.com/yaguchihappy/n/nf0252b309f03
#生物基礎
#光合成曲線
#光合成