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チロキシン(甲状腺から分泌されるホルモン)と負のフィードバック作用について解説します。
語呂「工場でつくられたチキンでいーか(甲状腺から分泌されるチロキシン、異化反応促進=代謝促進・発熱)」
●チロキシンは全身の細胞の代謝速度を増加させ、熱産生に寄与する。動物を極端な寒冷に数週間曝すと、甲状腺の大きさが20から40%増大するという。ちなみに、北極圏に数ヶ月滞在した人、アラスカに住む人々の代謝速度が増加しているという報告がある。
ちなみに、甲状腺とは別に、副甲状腺という内分泌腺(パラトルモンを分泌する。骨からCaイオンを溶出させ血中Caイオン濃度を上げる)もある。副甲状腺は、甲状腺の後面に埋め込まれている。大抵の人は四つの副甲状腺をもつが、たまに二個しか持たない人もいる。
問題:チロキシンの濃度を適当な範囲に保つしくみとして、負のフィードバック作用が知られている。このしくみにいて、チロキシンはどの内分泌腺に働きかけどのホルモンの分泌を抑制するのか。「間脳視床下部」「放出ホルモン(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)」「脳下垂体前葉」「甲状腺刺激ホルモン」という語を用いて説明せよ。
答え:チロキシンは間脳視床下部に働きかけ放出ホルモン(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌を抑制する。また、チロキシンは脳下垂体前葉に働きかけ甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑制する。
問題:人体におけるチロキシンの働きを説明せよ。
答え:チロキシンは、ほとんどすべての組織に作用し、酸素消費・熱量産生を促し、代謝を促進する(チロキシンには、両生類の変態を促進させる作用や、鳥類の換羽を促進させる作用もある)。
問題(発展):正しい文を選べ。
①負のフィードバックは、生体内で唯一チロキシンの分泌のみにみられるしくみである。
②あるシステムにおいて、結果が原因にさかのぼって作用する仕組みをフィードバックといい、特に、結果が原因を抑制する場合を負のフィードバック、結果が原因を促進する場合を正のフィードバックという。
③チロキシンが多くなると減らすように働くしくみを負のフィードバックといい、チロキシンが少なくなると増やすように働くしくみを正のフィードバックという。
答え:②(①について、チロキシンに限らず、ほとんどのホルモンの分泌は負のフィードバックによる調節を受けている。③について、ふつう、チロキシンが少なくなると増やすように働く作用も負のフィードバックとよぶ。結果が原因の反対方向に促している、つまり、ある変化[上がった・下がった]に対して、その変化とは逆方向に作用する[下げる・上げる]ことを「負」のフィードバックという。なお、正のフィードバックとは、結果が原因を促進する作用のことである。「ある産物が増えたら、さらにその産物を増やす方向に働く、もしくは、ある産物が減ったら、さらにその産物を減らすように働く」作用が正のフィードバックである。正のフィードバックの例が知識として問われることはほぼないが、たとえば、性ホルモンの分泌制御には正のフィードバックが関わることが知られている。また、視野を広げれば、大気中のCO2濃度が上昇すると、温室効果により気温が上がり、暖められた海に溶けきらなくなった分のCO2が放出され、さらに気温が上がると言われている。つまり地球温暖化は正のフィードバックである可能性がある。)
●負のフィードバックにより、過剰な生成物の蓄積や、無駄な基質の消費を防ぐことができます。負のフィードバックは生体内の様々な代謝に存在する働きです。
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