2019金沢大学より
モータータンパク質・神経の伝達の練習問題を解説しました。
国公立2次試験対策に使って下さい。センター試験の後で良いかと思います。
以下問題文(図は省略)
次の文を読んで,問1~6に答えなさい。
神経系を構成する基本単位は( ア )とよばれる細胞で,核のある細胞体と,そこから伸びる普通1本の長い突起である軸索と多数の枝分かれした短い突起である( イ )からなる。軸索の長さは,ヒトの場合は1mにも達するものがある。軸索には髄鞘をもつものと,もたないものがあり,前者は( ウ )神経繊維,後者は( エ )神経繊維とよばれる。情報は( イ )で集められ,①軸索を伝わって運ばれ,隣の細胞との接続部分である( オ )で次の細胞に情報が伝えられる。
軸索内ではタンパク質の合成はほとんど行われないため,必要なタンパク質は細胞体で合成された後,運ばれてくる必要がある。軸索内部の物質の輸送は軸索輸送とよばれている。②軸索輸送の速度としては,速いもの(5~40cm/日)と遅いもの(0.8cm以下/日)があり,輸送の方向としては,細胞体から軸索末端への方向(順行性輸送)とその逆の方向(逆行性輸送)がある。これらの輸送は,主に③微小管の上を移動するキネシンやダイニンなどの( カ )タンパク質の働きによって行われている。
軸索輸送の初期の研究では,④放射性同位元素で標識したアミノ酸などの前駆物質を細胞体に与え,その後合成されたタンパク質やそれを含む小胞が軸索内を移動する動きを放射線検出器で追っていく方法や,⑤軸索の一か所を結紮し(注)流れを止め,そのまわりに蓄積する物質を測定する,などの方法が用いられた。
その後,軸索輸送を利用した標識方法が開発され,神経ネットワークの解析に用いられるようになった。順行性標識物質は,細胞体で取り込まれた後に順行性輸送で軸索の末端まで運ばれるもので,逆行性標識物質は,軸索で取り込まれた後に逆行性輸送で細胞体にまで運ばれるものである。これらの標識物質が神経系のどこに分布するのかを可視化することで,神経ネットワークの解析が可能となっている。
(注) 結紮(けっさつ)とは,管状のものをしばって,管内の物質の流れを止める手技のこと。
問1 ( ア )~( カ )にあてはまる適当な語を入れなさい。
問2 下線部①に関し,(1)~(4)に答えなさい。
(1) 軸索内では情報は興奮伝導という形で伝わるが,興奮とは何が発生することか,答えなさい。
(2) 興奮が起こるために必要なチャネルは何か,答えなさい。
(3) 次の細胞に情報を送る化学物質は何とよばれているか,答えなさい。
(4) 次の細胞に情報を送る化学物質の代表的なものを1つ答えなさい。
問3 下線部③に関し,(1)と(2)に答えなさい。
(1) 微小管を構成しているタンパク質の名称を答えなさい。
(2) 微小管の上をキネシンやダイニンが移動するためにはエネルギーが必要である。そのエネルギーは何を分解して得ているか,答えなさい。
問4 下線部④の方法を用い,軸索輸送の速度を調べるために行った実験の一例を以下に示す。図は,ある大きな魚の嗅覚受容細胞(嗅細胞)の細胞体を含む嗅粘膜を放射性同位元素で標識したロイシンの溶液に短時間浸し,7時間後および10時間後の嗅神経への移出を計測したものである。このグラフより輸送速度(cm/日)を求めなさい。また,下線部②の分類のどの輸送をみていると考えられるか,理由とともに答えなさい。
問5 下線部⑤の方法を用い,キネシンの役割を調べるために行った実験の一例を以下に示す。表は,マウスの足の神経を結紮し,数時間後に神経を取り出し,結紮部位の両側0.2mmの範囲のキネシンの分布を,電子顕微鏡写真を用いて調べた結果である。表の数値は,キネシンに特異的に結合する抗体を使って,その存在が顕微鏡写真上に黒い点として見えるようにし,その点の数を数え平均をとったものである。数が多いほどたくさんのキネシンが分布していることを表している。この表より,キネシンは順行性と逆行性のどちらの軸索輸送に関与していると考えられるか,答えなさい。また,その理由を「分布」,「結紮部位」,「蓄積」の3つの語をすべて用いて答えなさい。
問6 マウスの脊髄に逆行性標識物質を注入し,十分な時間経過後にマウスの脳を調べると,脳のどの部分に標識物質が存在すると予想されるか,その部位を理由とともに答えなさい。