生活環 高校生物
10分13秒
説明
【 note : https://note.com/yaguchihappy 】
生活環について講義します。
語呂「俺をコケにしやがって!俳句にして本にしてやる!(コケ植物は配偶体が本体)」
語呂「全曜日体育は廃(はい)止だ(しだ)!(前葉体は、配 偶体。シダ 植物。)」
問題:シダ植物の配偶体は何と呼ばれるか。
答え:前葉体
問題:種子植物、シダ植物、コケ植物の胞子体の核相はいくつか。
答え:2n
●実物ははこちらです。
高校生物 シダ植物の胞子体(本体です) • シダ植物の胞子体(本体です)【生活環】 高校生物 #Shorts
高校生物 コケ植物の配偶体と胞子体 • コケ植物の配偶体と胞子体【生活環】 高校生物 #Shorts
●生物が生きて死ぬ過程を生活史という。生活史を、世代および核相の交代、受精および減数分裂、からだ及び生殖細胞の発達段階の繰返しに着目して表現する方法を生活環という。むずかしいが、はじめは「生物が生きて死ぬまでを、核相に注目し、生殖細胞で世代を繋いで輪っかの形の図にしたもの」くらいに思っておけば良い。
●植物の生活環についてのポイント
① 胞子体は減数分裂で胞子をつくる!(胞子は成長して配偶体になる。)
*動物とは異なる。動物は減数分裂で配偶子をつくる。
*動物の配偶子が減数分裂を経て作られるのに対し、配偶子は単相(n)の配偶体が体細胞分裂することにより形成される。植物は動物と違い、減数分裂により配偶子を直接作り出すのではなく、減数分裂を経て単独で栄養成長する胞子を産生する。単相の胞子は、体細胞分裂を経て多細胞の配偶体を形成する。
② 配偶体は配偶子をつくる!(配偶子は合体して受精卵になる。)
③ 受精卵は発生・成長して胞子体となる!
●陸上植物の生活史は、単複相世代交代型と呼ばれる(複相の体である胞子体が減数分裂で胞子をつくる。胞子は成長し、単相の体である配偶体になる。配偶体は体細胞分裂で配偶子をつくる)。後生動物の生活史は、複相単世代型と呼ばれる(複相世代にのみ多細胞体を形成する。減数分裂で精子や卵などの配偶子をつくる)。
●コケ植物では、皆んながよく見る、目立つ緑色の体は、実は配偶体であり、核相nである。体細胞が2nの我々動物から見れば、核相nの体など信じられないことだが、事実だからしょうがない。
●コケ植物は、配偶体(n)が本体である。そこがシダ植物と異なる。コケ植物の胞子体は、配偶体に寄生している(ただ、実際には、胞子体から配偶体への物質の輸送も知られており[配偶体と胞子体の間で、水分や栄養のやり取りが行われている]、「寄生」という語を使うのは望ましくない。「半寄生」「なかば寄生している」と言うほうがまだ適切である。高校生は気にしなくてよい)。
資料集でスギゴケの胞子体を見てほしい。茶色である。茶色ということは、つまり葉緑体を持たず、自分で栄養を作れない。どのように生活しているかと言うと、配偶体の上に寄生し、配偶体から栄養をもらっているのである。
胞子体はシダ植物や被子植物では目立つ体、我々がよく見る本体なので、コケ植物のこの胞子体の弱々しい生活スタイルは目を引くものがある。やがて、陸上化に適応するにつれて、胞子体は独立生活するようになり、頑丈な胞子をばら撒くために巨大化していったとされる。
●動物の配偶子が減数分裂を経て作られるのに対し、コケ植物やシダ植物の配偶子は単相の配偶体が体細胞分裂することにより形成される。植物は動物と違い、減数分裂により配偶子を直接作り出すのではなく、減数分裂を経て単独で栄養成長する胞子を産生する。単相の胞子は、体細胞分裂を経て多細胞の配偶体を形成する。配偶子は、配偶体の体細胞分裂により形成される。
●陸上植物の祖先と言われるシャジクモでは、ほぼ配偶体の時期しか存在しない。
もしかしたら、そこから、新たに小さな胞子体が作られ、コケ植物となっていったのかもしれない。
この仮説に立てば、コケ植物の生活環はシダ植物のそれより祖先的であることになる。
一方、胞子体が、配偶体のもつ発生システムを転用し、同じ大きさの胞子体と配偶体がはじめに生じたとする説がある。このような生活環をもつ現生陸上植物は見られないが、可能性は否定できない。
●花粉四分子を小胞子、胚のう細胞を大胞子と呼ぶこともある。高校生は知らなくて良い。
●配偶体から配偶子ができるときに、体細胞分裂は必ずしも必要ではない。たとえば被子植物において、配偶体を胚のうと見なせば、すでに配偶子である卵細胞が生じている。
生活環の考え方には、精密な定義があるわけではない。本番では問題文の定義に従えばよい。
●前葉体とは、シダ植物の配偶体のことである。種子植物の花粉や花粉管を伸長中の花粉、および胚嚢に相当する。光合成によって独立生活を行う。
●シダ植物の胞子体は光合成機能を発達させている。維管束系や、頂端分裂組織を獲得しており、理論上無限に成長、分枝、器官形成することができる。胞子体の生理的独立と優位性は維管束植物の最も重要な特徴のひとつである。
●最も原始的な植物化石のひとつとして知られるクックソニアは、シルル紀からデボン紀前期の地層から見つかっている。体は二股分岐していて、軸の先端に胞子のうが見られる。
クックソニアの茎には通道組織が見られるが、細胞壁の肥厚はなく、維管束植物ではない。
●植物の進化的な順序は確定していない。シダ植物とコケ植物の系統樹の根もとがどうなっているのかについては未解明である。
#植物
#高校生物
#生活環
生活環について講義します。
語呂「俺をコケにしやがって!俳句にして本にしてやる!(コケ植物は配偶体が本体)」
語呂「全曜日体育は廃(はい)止だ(しだ)!(前葉体は、配 偶体。シダ 植物。)」
問題:シダ植物の配偶体は何と呼ばれるか。
答え:前葉体
問題:種子植物、シダ植物、コケ植物の胞子体の核相はいくつか。
答え:2n
●実物ははこちらです。
高校生物 シダ植物の胞子体(本体です) • シダ植物の胞子体(本体です)【生活環】 高校生物 #Shorts
高校生物 コケ植物の配偶体と胞子体 • コケ植物の配偶体と胞子体【生活環】 高校生物 #Shorts
●生物が生きて死ぬ過程を生活史という。生活史を、世代および核相の交代、受精および減数分裂、からだ及び生殖細胞の発達段階の繰返しに着目して表現する方法を生活環という。むずかしいが、はじめは「生物が生きて死ぬまでを、核相に注目し、生殖細胞で世代を繋いで輪っかの形の図にしたもの」くらいに思っておけば良い。
●植物の生活環についてのポイント
① 胞子体は減数分裂で胞子をつくる!(胞子は成長して配偶体になる。)
*動物とは異なる。動物は減数分裂で配偶子をつくる。
*動物の配偶子が減数分裂を経て作られるのに対し、配偶子は単相(n)の配偶体が体細胞分裂することにより形成される。植物は動物と違い、減数分裂により配偶子を直接作り出すのではなく、減数分裂を経て単独で栄養成長する胞子を産生する。単相の胞子は、体細胞分裂を経て多細胞の配偶体を形成する。
② 配偶体は配偶子をつくる!(配偶子は合体して受精卵になる。)
③ 受精卵は発生・成長して胞子体となる!
●陸上植物の生活史は、単複相世代交代型と呼ばれる(複相の体である胞子体が減数分裂で胞子をつくる。胞子は成長し、単相の体である配偶体になる。配偶体は体細胞分裂で配偶子をつくる)。後生動物の生活史は、複相単世代型と呼ばれる(複相世代にのみ多細胞体を形成する。減数分裂で精子や卵などの配偶子をつくる)。
●コケ植物では、皆んながよく見る、目立つ緑色の体は、実は配偶体であり、核相nである。体細胞が2nの我々動物から見れば、核相nの体など信じられないことだが、事実だからしょうがない。
●コケ植物は、配偶体(n)が本体である。そこがシダ植物と異なる。コケ植物の胞子体は、配偶体に寄生している(ただ、実際には、胞子体から配偶体への物質の輸送も知られており[配偶体と胞子体の間で、水分や栄養のやり取りが行われている]、「寄生」という語を使うのは望ましくない。「半寄生」「なかば寄生している」と言うほうがまだ適切である。高校生は気にしなくてよい)。
資料集でスギゴケの胞子体を見てほしい。茶色である。茶色ということは、つまり葉緑体を持たず、自分で栄養を作れない。どのように生活しているかと言うと、配偶体の上に寄生し、配偶体から栄養をもらっているのである。
胞子体はシダ植物や被子植物では目立つ体、我々がよく見る本体なので、コケ植物のこの胞子体の弱々しい生活スタイルは目を引くものがある。やがて、陸上化に適応するにつれて、胞子体は独立生活するようになり、頑丈な胞子をばら撒くために巨大化していったとされる。
●動物の配偶子が減数分裂を経て作られるのに対し、コケ植物やシダ植物の配偶子は単相の配偶体が体細胞分裂することにより形成される。植物は動物と違い、減数分裂により配偶子を直接作り出すのではなく、減数分裂を経て単独で栄養成長する胞子を産生する。単相の胞子は、体細胞分裂を経て多細胞の配偶体を形成する。配偶子は、配偶体の体細胞分裂により形成される。
●陸上植物の祖先と言われるシャジクモでは、ほぼ配偶体の時期しか存在しない。
もしかしたら、そこから、新たに小さな胞子体が作られ、コケ植物となっていったのかもしれない。
この仮説に立てば、コケ植物の生活環はシダ植物のそれより祖先的であることになる。
一方、胞子体が、配偶体のもつ発生システムを転用し、同じ大きさの胞子体と配偶体がはじめに生じたとする説がある。このような生活環をもつ現生陸上植物は見られないが、可能性は否定できない。
●花粉四分子を小胞子、胚のう細胞を大胞子と呼ぶこともある。高校生は知らなくて良い。
●配偶体から配偶子ができるときに、体細胞分裂は必ずしも必要ではない。たとえば被子植物において、配偶体を胚のうと見なせば、すでに配偶子である卵細胞が生じている。
生活環の考え方には、精密な定義があるわけではない。本番では問題文の定義に従えばよい。
●前葉体とは、シダ植物の配偶体のことである。種子植物の花粉や花粉管を伸長中の花粉、および胚嚢に相当する。光合成によって独立生活を行う。
●シダ植物の胞子体は光合成機能を発達させている。維管束系や、頂端分裂組織を獲得しており、理論上無限に成長、分枝、器官形成することができる。胞子体の生理的独立と優位性は維管束植物の最も重要な特徴のひとつである。
●最も原始的な植物化石のひとつとして知られるクックソニアは、シルル紀からデボン紀前期の地層から見つかっている。体は二股分岐していて、軸の先端に胞子のうが見られる。
クックソニアの茎には通道組織が見られるが、細胞壁の肥厚はなく、維管束植物ではない。
●植物の進化的な順序は確定していない。シダ植物とコケ植物の系統樹の根もとがどうなっているのかについては未解明である。
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