コンピュータグラフィックス。
今日、私達の日常にはありとあらゆる場面においてコンピュータによって生成された画像 に触れる機会が多くなっています。 慶應義塾大学理工学部情報工学科 藤代研究室ではそんなコンピュータグラフィックスを 自己表現の基本ツールとして捉え、研究を進めています。
Q. よくコンピュータグラフィックスって言いますと、単なるフェイクじゃないか、という 風におっしゃる方もいると思うんですが、実はフェイクというのは、非常に大きな意味を 持っていまして、 フェイクはいかさまかということなんですが、いかさまというのは元々こういう二つの「如 何」な「様子」であるかというところから出て来た言葉です。元々現実にあるものを表現 したものであるという風に言うこともできるわけです。 このフェイクを生み出すのが CG だというのが私達の研究室のモットーでして、フェイクで あってもそれが意味のあるものであれば、それは事実になっていることを意味します。実 は視覚的体験こそが事実なのであって、より社会に意味のある映像を作り出す事によって、 私達は人間社会に対して、有効な自己表現の手段や社会問題の解決を提供していけるとい う風に考えています。
藤代研究室では、人々が目に見えてる通りの絵をコンピュータの力を借りて作り出す"フォ トリアリティ"、人間と機械が目に見える形で視覚を通して情報のやり取りをする"ユーザ ーインターフェースの設計"、目に見えないデータを見えるようにする"ビジュアライゼー ションの可視化"の 3 点に重点を置いて研究を進めています。 医学から地球科学、量子化学、量子物理、原子力工学、様々な分野でのデータシュミレー ションや地震波エネルギー伝導の可視化、ゲームなどにも用いられるコンピュータとの相 互理解による情報電達等、多岐に渡ってコンピューターグラフィックスによる視覚化を押 し進めています。
Q. 今様々な所で情報のボーダレス化というのが起きています。どこまでがコンピュータクラフィックスで作られたものなのか、現実のものなのか、という境目が、だんだんわから なくなってきています。そういう時代だからこそ、先程フェイクと申しましたが、その境 がわからないような画像合成というのをしていくことで、世の中の人達が自然に、しかし 情報量たっぷりに自分の行動を決めて行く時の役立つような画像を作れれば、こんなに嬉 しい事はないわけですね。 そういうところでの下支えになる様々な描画方法、ツールの開発をするのは私達の研究室 の社会的責務ではないかと考えています。
藤代研究室ではこれからも視覚表現による"情報の生産者"として、社会応用にも役立つ森羅万象の視覚化を目指し更なる研究を進めていきます。