山﨑研究室では、組み込みリアルタイムシステムを構築するためのマイクロプロセッサのアーキテクチャやオペレーティングシステム、その上に載るミドルウェア、さらにそれらを利用したロボットのアーキテクチャに至るまで、つまりLSIからロボットに至るまでを一式作っています。
Q「研究室としては、組み込みリアルタイムシステムいうものに取り組んでいます。ロボットなどを制御しようとするとある一定周期でモーターを回すだとか時間を守らないとシステムが動かないことになります。そのために時間を守るための仕組みをプロセッサのアーキテクチャからオペレーティングシステム、ミドルウェアに至るまで全て組み込んで作る必要があるということになります。」
リアルタイム性とは、いつまでに処理や通信を完了するかを保証する性質であり、分散制御やマルチメディア処理において非常に重要な概念です。具体的には、リアルタイム処理用プロセッサアーキテクチャと分散制御用のリアルタイムネットワークの研究を行い、さらにそれらの研究を融合して分散リアルタイム処理アーキテクチャをシステムLSIとして実現します。
Q「我々の研究室が他の研究室と違う所は、システムとして上から下まで全て作っているという所です。普通、LSIの研究だとLSIのある機能を一生懸命研究してシミュレーションして終わりだったり、LSIを作るにしても、LSIだけを作ってテスターで評価して論文を書いて終わりといったようなパターンが多いかと思うんですが、我々はそうではなくトータルとしてシステムを作り上げているというのが大きな違いです。例えばLSIにしてもSoC(System on a Chip)といって、システムをシリコンの上に全て作り込んでいって、それに全ての機能を集積しています。時間を守るようなプロセッサの機能や時間を守るネットワークの機能や制御用のIO、パルスカウンターやエンコーダのようなものも全てシリコンの中に集積し、メモリーまで集積したものをLSIとして作っています。実際にそのようなものを動かしているというのが大きな違いで、SoCにさらに、SiP(System in Package)といって、DRAMやフラッシュメモリーを足して3センチ角くらいの非常に小さい基盤を作って、その小さな基盤でノートパソコンにあるような全ての機能を集積し、且つ制御するための機能というのも全て集積しているわけです。そのようなものを実際に作ってさらにその上にオペレーティングシステムを載せてアプリケーションを載せてロボットの中に組み込んで動かして評価してトータルなシステムを作り上げているというのが我々の研究室の大きな特色です。」
Q「例えばLSIを一個作ろうとすると、非常に高額な予算が必要になるわけですが、我々の研究室は主に国のプロジェクトで研究していますので、国から予算をもらっています。科学技術振興調整費やJSTやNEDOのプロジェクトなど国関連の予算をたくさんもらっていて、その予算で実際にLSIを作るということを実現しています。実際に物を作って動かして評価して、ちゃんと動いているというのが分かると、それが正のループになって、次のプロジェクトにもつながっていってうまく成果も出るようになっていると思います。」